生産ラインを設計できる人材が枯渇しかけていると、食品工業の方から人づてにうかがった。この問題は、「会社の根幹を揺るがしかねない深刻な事象で、頭を悩ませている」とのことだった。
他の製造業の方からも、工場を一から新設した経験を持つ人材がいなくなったとの危機感をうかがったことがある。
この原因は、以下のようなことかと推測する。
損害保険の代理店をされている方からのご指摘。
「最近の保険会社の営業の人は、代理店に対して、手数料率の上げ下げという露骨な手法で販売を督励するだけで、代理店経営や代理店の品質を上げるなどのことについては何もアドバイスがない。昔の人の方が奥が深く信頼感があった。」
つまり、保険会社の営業社員の質が下がっているのではないか、というご指摘だ。
生命保険会社の最前線の営業で働く方からのご指摘。
「営業職員を育成せよ、と本社から指示は来るが、本社には育成に関する一貫した考え方がなく、縦割り部署からばらばらと細かいコンテンツだけがおりて来る。育成について、総合的に考えている人がいないように思える。」
つまり、保険会社の本社の質が下がっているのではないか、というご指摘だ。
いくつかの限られた事例だけだが、本業の足元を揺るがす人材問題が起きているように思えて心配になる。
一方で、DX人材の育成とか、人的資本経営とか、一見華やかな活字が躍り、多くの企業がその事例を競っている姿がある。
何が起きているのだろうか。単なる人材不足ではなく、「人材育成の構造的な崩壊・停滞」が起きていると考えるべきではないだろうか。
私のDBICでの体験から、以下の構造的な問題が起きているように見える。
縷々書いてきたように、日本企業に起きている人材に関わる問題は、本業の足元を揺るがす問題だと私には見える。製造業と保険業を例に挙げたが、多くの企業で起きているとも想像される。
DX人材だとか人的資本経営だとか株主への耳触りの良いことにとらわれることなく、本業の現場で起きている人材問題を認知すべきではないだろうか。短期的な成果主義で、「育成や学び」が腐り始めているようなにおいを私は感じる。
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