【レポート】UNLOCK QUEST2025上期レポート 問いを立てて行動し続けること

UNLOCK QUEST2025年度上期 修了インタビュー

2025年上期UNLOCKが終了しました。今回は、過去最多となる18人の方がご参加されました。
変革リーダーの方、マネジメントの方様々な役職の方の3か月の探求が終わりました。
参加者皆様のコメントはこちらからご覧いただけます。

UNLOCK QUEST 2025上期 ラップアップ

今回から新たに加わったセッションとして、DBIC創始者である西野さん横塚さんとの対話会があります。
今回の記事は、このパワフルな対話会について記載したいと思います。

「組織変革の必要性」対話会について

企業内でヒエラルキーを上り、その中で感じた問題意識と今も対峙し続けている 横塚さん
大企業の外から、ご自身の気づきを大企業に投げ込み「目を醒ませ」と言い続けている 西野さん
こうした「問題意識を持ち、変革を推進する方」の生のお話を聞けるのは、UNLOCK QUESTの魅力の1つです。

座談会は、西野さん横塚さんそれぞれのこれまでのご経歴紹介から始まります。
ご経歴具体内容は、皆さんがUNLOCK QUESTに参加いただいた際にお聞きいただければと思いますが、お二人の共通点は「問いを立て行動し続けたこと」。
その結果、問題意識が生まれます。
この記事ですべてをご紹介することはできませんが、その問題意識の一部をご紹介します。

1980年頃、日本の一人当たりGDPは世界一でした。
IMDの世界競争力ランキングでも当時日本は1位でしたが、今は大きく順位を落とし35位になっています。
日本は当時に比べ貧しい国になったということです。それのに、それを自覚している人は少ない。
理由はいくつもありますが、根底には「仕組みを作らない文化」があります。

例えば、デンマークでは、残業はほぼゼロで、年間5週間の休暇が当たり前。
病院も対応し、全員が順番に休めるように仕組みが組まれています。
一方、日本では「そういう制度は無理だ」と最初から諦めてしまう傾向があります。
結果として、生産性は下がり続けます。

韓国でも、国民全員が確定申告をし、病院予約も3時間前まで可能といった効率的な仕組みが整っています。
日本では、こうした改善の必要性すら議論されにくいのが現状です。
なぜなら、多くの人が「おかしい」と思っても、それを口に出して問題提起する文化が弱いからです。

社会全体が「ぬるま湯」に浸かってしまっているのが現状なのです。
本来なら「おかしい」と指摘し、議論を巻き起こすことが必要なのに、そういう行動が組織でも社会でも評価されない。
これが、日本の競争力を削いでいると感じています。

日本企業のもう一つの大きな課題は、人材育成と企業文化です。
多くの会社で、上司や経営層が「自分たちのやり方が絶対に正しい」という前提で動いており、新しいやり方や外部の知見を受け入れる土壌がありません。

たとえば、海外ではプロジェクトマネジメントの現場で、担当者が3か月先の進捗やリスクを高い精度で予測できる体制が整っています。
一方、日本では「今のやり方で何とかなる」という感覚で、計画も予測も曖昧なまま進めてしまう。結果として、納期遅れや品質低下が頻発します。

さらに深刻なのが、日本人の「質問力」の低さです。
海外の会議では、誰もが積極的に質問し、疑問点を明らかにしながら議論を進めます。
ところが日本では、会議で質問する人はほとんどいない。
「質問すると面倒くさい人だと思われる」という空気が根強く、若手ほど発言しにくい状況になっています。

質問を受ける側も、質問を想定して準備していないから、答えられないことが多い。
それがさらに「質問はしない方がいい」という悪循環を生みます。
結果として、組織内の知識共有も議論も深まらず、外部環境の変化についていけなくなる。
この構造が、今の日本企業の弱さにつながっています。

対話会参加後に感じたこと

この対話会にコーチとして参加し、改めて私は府落ちしました。
「指摘しない」、「質問しない」、「対話しない」をよしとする社会に対して、「それではだめだ」と言い続けているのが横塚さんであり、西野さんであり、DBICなのだと。
そして、その原動力は常に問いを立てて行動し続けることなのだと。

UNLOCK QUESTでは、正しい問いを立てるための方法論、HOWとして、

  • 「気づく力」メタ認知能力
  • 「社会を見る力」リベラルアーツ、プラクティカルマネジメント
  • 「システムを俯瞰する力」システムシンキング

を伝えています。
QUESTに参加される方には、これらの方法論HOWを学ぶのみならず、横塚さん西野さんの姿勢・在り方を間近で見て、盗みとっていただけたら幸いです。

研修の成果は、スキル獲得や満足度で測られがちです。
しかし、表層的な研修では変化は生み出せません。上記のような問題にアプローチできませんし、問い自体を立てることができません。
DBICは、「それらとは違う」という意志を込め、QUESTと銘打っています。
本質的な変革へ向かおうとする皆さまの、QUESTへのご参加をお待ちしています。

まとめ

最後に、横塚さんの言葉を紹介し、このレポートを閉じたいと思います。

変革は小さな一歩から社会を変えるのは、一度に大きなことをする人ではなく、小さな行動を積み重ねる人です。
「バタフライ効果」のように、小さな羽ばたきがやがて大きな変化を生む──この姿勢が重要です。


吉本隆明は、著書「共同幻想論」の中で、古い共同幻想を覆すには、新しい共同幻想を作る必要があると言います。
日本を変えるためには、「このままではまずい」という共通認識=新しい共同幻想を広める必要があると思います。
現状維持バイアスを壊し、国際標準を理解し、自らルールを作る側に回る人を増やすこと。
それが、未来の競争力につながります。

(文責 DBICコーチ 神田 知典)

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