まず、議論の出発点として「マインド」と「マインドセット」が改めて定義されました。
マインドセットは、個人の心持ちに留まらず、組織全体のパフォーマンスを向上させる「成功循環モデル」の起点となります。(マサチューセッツ工科大学 ダニエル・キム教授提唱)
マインドセットを扱うとは、このサイクルを回すために、まず自分たちの潜在意識にある「当たり前」や「癖」を意識化し、「どのような関係性を築き、どう思考し、どう行動すれば、望む成果を生み出せるのか」を意図的に再設計するための実践的なテクニックなのです。
DBICでは、このマインドセットの変革を組織全体で起こすため、階層別に最適化されたアプローチとプログラムを提供しています。
まずトップ・エグゼクティブ層には、グローバルな視点(現代の黒船)から現状を多面的に認識し、新たな選択肢を見出すこと、そしてその気づきから変革への強いコミットメントを確立し、組織に示すことが求められます。DBICでは、そのためのマインドセットを醸成する機会として、「EXECUTIVE QUEST」や「トップ・セミナー」、IMDといった海外機関との連携セッションを提供しています。
しかし、トップ層の変革意欲を削いでしまう「学習性無気力」の原因となりがちなのが、組織の中核を担うミドル層の存在です。彼らが多忙さや現状維持バイアスから本来のポテンシャルを発揮できず、むしろ変化への抵抗勢力となってしまうことがあります。この層を動かすことは変革の成否に直結するため、トップがリーダーシップを発揮して「余白」(不要な会議の廃止など)を作り、業務命令としてでも取り組んでもらうことが重要になります。DBICでは「UNLOCK QUEST」や「UNCHAIN QUEST」を通じて、彼らが変革への具体的なアクションにドライブをかけるためのマインドセットの機会を提供しています。
そして若手層には、変革への強い思いを持つ人材が確実にいるものの、多くの社員の中に埋もれてしまうことも少なくありません。長期的な視点では、この若手を未来のリーダーとして位置づけ、人財投資を行っていくことが重要です。この観点からDBICは、広く未来の可能性を見出し、各自が自律した挑戦につなげられるよう、共通言語を育むマインドセット施策として「トランスパーソナル」を提供しています。デジタル環境を通じて提供するため人数制限をかける必要がなく、手挙げ制で内発的動機を引き出し、会社の枠を超えて「自分の人生のキャリア」として成長を捉える視点を育むことが可能です。
DBICのプログラムはマインドセットというテクニックを磨き、具体的な実践につなげるための一つの手法です。重要なことは、単にプログラムを受講することではなく、このマインドセットの考え方を日々の仕事や組織運営に活かすためのアクションです。
DBICが提供する一連のプログラムは、単なるスキル研修ではなく、この複雑で奥深いマインドセットの世界を探求し、組織と個人の可能性を最大限に引き出すための、極めて戦略的な「組織エンジニアリング」のツールなのです。
なお、マインドセットのアプローチは、実はAIの理解にもつながります。意識づけを行い、どのように物事を認識し、考え、アウトプットするかを整理するマインドセットのアプローチは、昨今の生成AIのプロンプト・エンジニアリングなどに大いに応用できるからです。AI活用の観点からも、マインドセットを理解しておくことはとても有用なのです。
これらの考え方や施策をどのように活用していくかは、各社・個々人によって変わってきます。重要なことはマインドセットそのものではなく、その先のアクションを経て実現されるDXなどの変革とソーシャル・イノベーションです。 ぜひこのDBICの場を自社の成果を実現するための戦略・戦術オプションとして、今後もご活用いただければ幸いです。そのための個別サポート等は今後も充実させていく予定ですので、まずは気軽にご相談ください。
(文責:DBICディレクター 渋谷 健)
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