【レポート】DBIC イノベーションリーダーシップサミット 2017「イノベーションを生み出すためのリーダーシップ 」

まずはDBIC代表の横塚裕志が登壇。イノベーションを起こす要因やリーダーシップの「因数分解」がデモンストレーションされ「本日のスピーカー3名が、どうやって『行動をおこす目的意識×常識を破るための専門性×デザイン思考』を実現したか聞くのが楽しみです」というイントロダクションから開幕です。 横塚裕志 最初のセッションは株式会社マザーハウス代表取締役兼チーフデザイナーの山口絵理子様。「志をカタチに 〜逆境を切り拓くリーダーシップ〜」をテーマに、周囲から「できるわけがない」と言われたチャレンジに対して「絶対にやれるまで続ける」という強い意思を持ち、正面から乗り越えてきた数々のエピソードをご紹介いただきました。 山口絵理子様 現地工場がデザインと違うものを仕上げてくるなら、自らデザインの勉強をして誰よりも素材やデザインに詳しくなって職人を説得する。300万円で東京に店を出すことなど不可能だと言われれば、自ら天井を壊し床を貼って250万円で改装してしまう。インドネシアにダイアモンドはないと現地の人すら信じていたのを、古い文献を頼りにボルネオ島で発見して商品化してしまう。 「私にとっての失敗の定義は『選択肢をつぶした』とか『新しいものを生み出せなかった』ことであって、『チャレンジしてうまくいかなかった』は失敗ではありません」という山口様の言葉に、イノベーションの本質が込められていたように感じました。 続いてのスピーカーは南三陸ホテル観洋 女将 阿部 憲子様。「有事に問われる本当のリーダーシップ 〜被災地の当事者として感じたこと、伝えたいこと〜」をテーマに、2011年3月11日以降に南三陸を襲った災害の実態が語られます。 阿部憲子様 「高台にあるホテルから見ていると、いつも青く美しかった海が墨色に変化してぐんぐん水位があがり、陸地に黄色い土煙が立ち、何度も何度も津波が町に押し寄せました」という、あの日、あの場所にいた体験者にしか表せない言葉に、会場は静まりかえりました。 そんな極限の状況下で宿泊客を守り、地元住民を受け入れ、水も電気もない中でひとつずつ問題を解決していった阿部様。「(数ヶ月経って状況が落ち着いてからは)お子様がいるご家庭や、経営者を優先して受け入れました。子どもは未来につながりますし、経営者が南三陸を離れてしまえば雇用が守れません」という言葉には本当の意味で「地域」を守ろうとするリーダーシップが宿っていました。 「1000年に一度の災害は1000年に一度の学びの場」「津波てんでんこ(津波が来たら、自分だけでもいいからとにかく急いで高台に逃げろ)」といった真摯なメッセージの締めくくりに「ぜひ東北にいらっしゃって、おみやげひとつでも東北のものを買っていってください。私たちサービス業にとってはお客様の笑顔を見るのがいちばんなのです」と微笑んでくださった阿部様に「現地に行こう」と心を動かされた来場者は多かったのではないでしょうか。 最後は B2Bハッカー(ビジネスファシリテーター)飯室 淳史様による「イノベーションリーダーシップ 〜なぜ欧米にできて日本にできないのか〜」のセッションです。 飯室淳史様 GEヘルスケア・ライフサイエンスでの長いご経験を持つ飯室様。歴史ある巨大企業でありながら「インダストリアル・インターネット」を打ち出し、Predixでデジタルビジネス最先端を行くGEがどのようにイノベーションを断行してきたかを、日米文化を対比しながら解説していただきました。 「HOWよりWHYが重要」「権限委譲をして迅速な意思決定を」といったキーワードが立て続けに紹介された後、飯室様は来場者の心を先読みしたかのように「それはGEだからできた。外資だからできた。日本企業にはできない。と思っていたら勘違いです」と釘を刺します。 とにかく重要なのは「出る杭を打たない文化」「失敗から学ぶ文化」をつくること。GE時代、飯室様がトイレに行くときに腕を組むクセがあったことについて「腕組みして歩いていると部下が怖がって失敗を報告できなくなるので改めてください」と秘書から指摘を受けた、というエピソードが印象的でした。 お客様に「どんな問題がありますか?」と聞く代わりに、お客様を徹底的に観察し、お客様自身が気づいていない問題を発見することが重要だとわかる研究所の機器メンテナンスビジネスの事例もたいへん興味深く「『自社製品』に詳しくなるのではなく、『お客様』に詳しくなるのが重要です」という飯室様の解説にデザインシンキングの本質を感じました。 最後は2018年1月からDBICにて飯室様による「イノベーションリーダーシップ虎の穴」プログラムが開始することがアナウンスされ、本日のセッションがすべて終了。 会場のイイノホール&カンファレンスセンターRoom Aは大盛況となりました。スピーカーの皆様、ご来場の皆様、誠にありがとうございました。

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