今回は、ビジネスアナリスト(BA)の仕事と密接なかかわりがある「ビジネスプロセス」という考え方について考えてみる。
皆さんは、「ビジネスプロセス」という考え方を活用されているでしょうか。
「ビジネスプロセス」とは、企業や組織が業務を効率的に遂行するために定めた一連の活動や手順のことを言うのだが、これを理解して活動している企業は少ないように思う。
欧米の企業では、いかなる活動であっても、最も効率的と考えるプロセスを標準プロセスとして定義して、その手順で世界中が仕事を進める。そして、プロセスの実践状況を可視化してデータを集め、課題を見つけてそれを改善する。そのプロセス改善サイクルを「マネジメント」と言う。
一方、日本企業は、現場や個人の努力に任せるという考え方をとる。一所懸命努力することで生産性や品質を上げていく。「頑張る」の世界だ。しかし、残念ながら、このスキームを続けることで、この20年競争力を失ってきたともいえる。この日本企業の経営姿勢について、反省をすべきではないだろうか。
私の仮説だが、欧米は「経営者に対する利益率20%必達の圧力」が強く、それを実現するための経営行動として、ビジネスプロセスによる科学的なマネジメントを採用したと思われる。(最新のデータで、米国・小売業はROE 25.4%、日本・非製造業8.5%) 高い利益率を目指せば、必然的に全社最適な経営を考えることになる。その理由はシンプルで以下の通りだ。
「現場の改善」を軸に経営している日本では、既存のプロセスを変えることができない。結果、現場の要求する細かい、効果の薄いIT化しかできない。「ビジネスプロセスという考え方」と「全社最適」は同じ意味を示しており、経営の軸を「現場や個人の努力」に置くのではなく、「プロセスの変革」に置かなければ、たぶん正しい「デジタル化」はできないだろう。社長やCIO、CDOがビジネスプロセスをもっと学ばなければ、本質的な変革を起こすことは難しいだろう。
経営者が学ぶためにも、BAという役割を認知したうえで、社内に配置することが有効ではないだろうか。BAが分析する会社の構造的な課題を、BA、事業部門、経営者が議論する中で、全社最適な発想が芽生え、全社最適という考え方が理解されていくことになるのではないだろうか。そしてそれが、正しいDXの企画につながっていくことが期待できる。それなしに、現場からのDX提案を待っていても、それは細かいことしか出てこないだろう。現場は現場しか見えないのだから。
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