IMDは「フィナンシャル・タイムズ」によるビジネススクールランキングで2012年から7年連続世界1位(オープンプログラム部門)を獲得するなど、世界トップクラスのビジネススクールです。日本でもマイケル・ウェイド教授による「DBIC-IMD デジタルビジネス・トランスフォーメーションプログラム」を開催するなど、幅広い活動を行っています。 IMD ポール・ハンター氏 デジタルラーニングはパソコンやモバイルデバイスを使ってオンラインで世界中どこでも学習ができる仕組みを指します。IMDでデジタルラーニング部門を立ち上げる際、ハンター氏は「デジタルラーニングの品質を、対面の授業と同一にする」という目標を掲げました。実際に受講した参加者や企業からは「対面と同じクオリティを保っている」という評価を受けています。IMDはどのようにこの目標を達成したのでしょうか? 会場に集まった日本企業からの出席者に対して、ハンター氏から各社におけるデジタルラーニングの現状と課題について質問すると「CSR講習や自社史学習など基本的な部分でのみ導入している」「日本では活発だが、海外の事業所での導入が進んでいない」「技術的なトラブルが多い」「対面学習の方が優れていると考える人も多い」「継続が難しい」といったコメントが出ました。実際、従来型のデジタルラーニングの修了率は約8%と低水準です。 一方、IMDでは94%もの受講者がオンラインプログラムを最後まで完走しています。そのためにはIMDオリジナルのモバイルアプリの提供、IMDの教授陣が直接指導するといった基礎的な品質向上のに加えて「従来型の知識学習」を「学習内容の実践」に高めるための4段階のステップがあります。 最初のステップは「Learn(学習)」としてビデオや読み物、ケーススタディを通してカギとなるコンセプトを学習します。ビデオは、デジタルラーニング用に特別に設計された、短く、視覚効果に富んだもので、この段階から受講者をひきつけ、考えさせる内容になっています。2番目の「Interact(相互作用)」では、デジタルラーニングにおいても開講時期を決めて、一斉に数十人から数百人規模でスタートすることで、同じような課題や疑問を抱えている他の仲間がいることを肌で感じることができます。バディ制度によって、パートナーが選定され、講義期間中にペアになって悩みを話し合えることも心理的な安心感を生みます。 3番目の「Apply(応用)」では、それまでに学んだコンセプトを実際の自社ビジネスに当てはめる検証を行います。最後に「Improve(改善)」として、専任のIMDコーチが受講者の検証内容についてどこまで実践的かレビューし、フィードバックを行います。 ここでハンター氏が、実例としてマイケル・ウェイド教授による「デジタルディスラプション」オンライン講義の一部を上映しました。クイズの種明かしとなってしまうため詳細は明かせませんが、人間が「見えやすいデータを過剰評価し、見えにくいデータを過小評価」してしまうことを数分のビデオを通して会場の全員が体験しました。ハンター氏は「この体験をするのがひとりだけだと大きな影響は期待できないかもしれませんが、デジタルラーニングを通して社内の多くの人が体験すれば、組織のカルチャーを変えられるでしょう」と解説します。 IMDでは現在、誰でも受講可能で定形なオープンプログラムとして「デジタルディスラプション」以外にも「価格戦略」「ファイナンス」「リーダーシップ」など13種類のデジタルラーニングプログラムを提供しており、各プログラムは8つのユニットによって構成されています。 企業のニーズにあわせて、複数のプログラム内のユニットを組み合わせたコースを作成したり、特定の企業の課題解決用にチューニングしたカスタムプログラムを組み合わせることもできます。更には対面プログラムとデジタルラーニングをブレンドすることも可能になっています。 最後にハンター氏が効果的なデジタルラーニング開発と実施のためにまとめた「7つの秘訣」を発表して本セッションの終了となりました。
ファシリーテションをご担当いただいたIMD北東アジア代表の高津尚志氏 DBIC副代表の西野弘によるDBIC概要説明の模様
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