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【横塚裕志コラム】サステナビリティとイノベーション

DBIC代表の横塚裕志です。2020年7月1日はDBICのビジョンペーパー発刊のリリース日でした。このペーパーの反響はすごいものがありますが、それは別途書くとして、今回はこの日に行われた二つの講演をテーマに書きます。

1つは、DBIC主催の「横塚裕志が聞きたいシリーズ第22回 『サステナビリティ』というディスラプション」。『ESG思考』(講談社+α新書)を著した株式会社ニューラルのCEO夫馬賢治氏をゲストにお招きしての講演です。 『イノベーションのジレンマ」で有名なハーバード・ビジネス・スクールの故 クレイトン・クリステンセン教授が主張する「Jobs-To-Be-Done」、「片づけるべき用事」が、まさにSDGsに書かれているのだ。これをテーマに据えて欧米の企業はイノベーションを起こそうとしている。なぜなら、SDGsは人類の課題であるがゆえに将来のブルーオーシャンである、というお話でした。 日本企業のIRは一時代前の状況で、相変わらず、四半期決算の発表と通期決算予想を繰り返していて極めて短期志向の経営になっています。しかし、欧米企業は数年前にすでにその段階を卒業しており、今や、10年単位の長期戦略を機関投資家に問われる時代になっているのです。だから、サステナビリティをテーマにした破壊的イノベーションが必須だと理解しています。これに着手しなければ企業は退場に追い込まれるというのが世界の常識です。GAFAたちも実は10年後を見据えたテーマでイノベーションチームを別に作り活動しています。具体的なテーマの紹介もしていただきました。自然エネルギー、医療、農業・・・などなど、SDGsをクリアするための新しい産業群です。 あらためて、日本の遅れと世界の動きの速さに大きなショックを受けました。あらためて、ビジネスにとってのSDGsの重要性、そして、すでに世界企業はそれを分解したテーマを作りつつあるという実態に大きな刺激を受けました。こんな大事な話を聞かない選択をする人の気がしれないとも感じました。 もう一つは、一般社団法人Next Commons Labで実施された長野県立大学大室悦賀教授の「『ソーシャルイノベーション』研究の第一人者に聞いてみた。激動の時代を生きる個人と企業の生存戦略『サスティナブル・イノベーション』って何ですか?」という講義。これからのイノベーションは、企業・政府自治体・研究機関・個人(市民)のすべてのステークホルダーが参加することで初めて実現するものだ、という主張がベースです。「個が確立」された市民が価値観を変えることにより、産業が変わり、制度は変わり、社会全体がイノベーションを起こしていくという全体構想だ。規制が邪魔していたら、それは個人や産業がマーケットを変えることで、政府自治体の制度を変えていけばいい、という考え方。私は、この考え方に「ソーシャル・イノベーション」の本質を見るような気がしてなりません。サステナブルな社会とは、そうしてできていくもので、カリスマが現れて進むべき方向を指し示すということではない、ということでしょう。 DBICも9月からセンター拠点を都内での大規模開発の先駆けである、恵比寿ガーデンプレイスの人の行き来が多いガラス張りのオープンな環境に移転する。ビルの4階オフィスにこもるのではなく、街に出ていき、市民とのコラボやパブリックな世界でオープンに活動しようとするのは、それが理由です。街に出て、街に溶け込み、街と一緒に新しい価値を作る。どうもこれが北欧流のやり方のようだし、そこに明日の世界があるように、大室教授の話を聞きながら感じました。

著者紹介

横塚 裕志 Yokotsuka Hiroshi
一橋大学卒業。1973年、東京海上火災保険入社。2007年に東京海上日動火災保険の常務取締役に就任、2009年に東京海上日動システムズ株式会社代表取締役社長就任。2014年より特定非営利活動法人CeFIL理事長となり、2016年にデジタルビジネス・イノベーションセンター(DBIC)を設立、以降代表を務める。DBICでは日本を代表するメンバー企業約30社と共に、DX促進や社会課題の解決に取り組んでいる。
  • 特定非営利活動法人CeFIL 理事長 / DBIC代表
  • 日本疾病予測研究所取締役
  • 富山大学非常勤講師

デジタルビジネス・イノベーションセンター(DBIC)が活動を続ける理由

設立エピソード

2014年、世界で起きていることを肌感覚で確かめるため、半年をかけて世界を回った。そこで感じた危機感を日本企業に正しく伝え、行動を促すための研究会を発足するために奔走。26社の名だたる企業と世界有数の大学と連携し、デジタルビジネス・イノベーションセンター(DBIC)の立ち上げとともに我々のイノベーションジャーニーが始まった。

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