2020年11月28日、「第3回DBICトップ会議」というイベントで、メンバー企業の役員16名の参加をいただき(役員限定)、スピーカーとしてIMDのマイケル・ウエイド教授、駐日シンガポール大使ピーター・タン氏、コニカミノルタ株式会社の山名昌衛社長、IMD北東アジア代表の高津尚志氏をお迎えして、オンサイトとオンラインのハイブリッド開催かつ同時通訳で、「真のDX」について熱い議論をいたしました。その2時間15分の模様は今後WEBサイトに掲載予定のレポートをご覧いただくとして、ここでは、その一部をご紹介したいと思います。
マイケル・ウェイド教授からクイズが出されました。
「在宅勤務はDXですか?」
さて、みなさんはどのように考えますか。
もちろん、答えは「NO」です。
在宅でリモート勤務をすることは、デジタルツールを使って仕事自体をデジタル化してはいますが、それだけでは単なる「デジタル化」に過ぎない。もちろん、それによる通勤時間や交通費の削減効果はありますが、それだけの話です。
リモート勤務にすることによって、仕事の業務プロセスを変革して品質や効果を変革しましたか、意思決定プロセスをシンプルにしましたか、組織構造を変えましたか、業務分担の考え方を変えましたかなど、今までと違う考え方で変革しましたかということをDXは課題にしています。
「デジタル化」と「DX」は、違います。
もう一つ、クイズ。
「レストランがコロナ禍で、紙のメニューを廃止してテーブルの2次元バーコードをスマホでかざすことに切り替えた。これは、DXですか。」
さて、みなさんはどのように考えますか。
もちろん、答えは「NO」です。
メニューを紙からスマホに変えただけでは単なる「デジタル化」であり、ツールを変えただけでビジネスモデルを変革することはできていません。
スマホに変えることによって、その食事にはこのワインが合うとか、その食事の後はこのデザートが合うとか、紙とは違う新しい価値を加えることができなければ、ビジネス変革ができていることにはならない。スマホに変えただけでは、デジタル案件のシステム開発を実施しているだけで、レストランの価値を上げる効果は出せていないので「なんちゃってDX」だということです。
コニカミノルタの山名社長からもスピーチをいただきました。進行中のDXの考え方、その背景にある危機感を伺いました。その迫力ある真剣さに体が震えました。その中から、ほんの一節をご紹介します。
「両利きの経営」という言葉があるが、そういうものではない。新しい事業を開発することも大きなテーマではあるが、もう一つ大きなテーマは「本業の変革」だ。「両利き」というと、今までの事業を継続しながら別の新しい事業に乗り出していくというイメージだが、そうではない。今までの本業自体を大きく変革することがないと生きてはいけない。それを引っ張るのは「人財」しかない。
「真のDX」とは、「デジタル化」でもなければ「両利きの経営」でもない。「本業の変革」と真剣に向き合うことだ、というディスカッションでした。
メディアなどでは、DXに関する誤った情報が乱れ飛んでいますが、私たちは「真のDX」を深く考え、実践していくことが、難しいけれども生き残りの王道なのだということを改めて肝に銘じたディスカッションでした。
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