このフィンランドの閣僚と日本の閣僚との比較スライドを見ていただきたい。
一瞬で「ゲームが違っている」と感じる。IMDの世界デジタル競争力ランキング2020でフィンランドは10位、日本は27位。
私が感じる「ゲームの違い」は、以下の2点だ。
企業で言えば、顧客が真に求めるサービスを感じ取ってビジネスを行うか、企業の考えるビジネスを行うか、の違いだ。20世紀から培ってきた企業が持つ技術やリソースの中で工夫していくビジネスは、21世紀に入って、顧客の価値観の変化、地球環境への配慮などの要素からその限界を示している。しかし、そのゲームチェンジを日本企業はわかっていない。政治はさらにわかっていない。売り上げなどの規模を目指すビジネスの限界は今や世界の常識であり、顧客の価値や地球にやさしいサステナブルなビジネスへの変革が21世紀型のゲームだ。
そして、その新しいビジネスの根幹である「顧客が真に求めるサービスを『探求』する能力」は、男性より女性の方が数段優っている。したがって、女性がビジネスの主導権を取る方が顧客に寄り添うビジネスに変革しやすい。政治も同じで、国民の気持ちに寄り添う政策が必要な時代では、女性の政治家の方が望ましい。
つまり、「女性」が活躍している国、企業は、そのビジネスや民主主義が21世紀型に変革されているということだ。20世紀型のビジネスのまま「女性活躍」を標榜しても、うまくいかないのは自明の理。「誘われても断らない」とか「空気を読む」とか、20世紀型に戻してしまっては、女性の能力を活用するモデルにはならない。
顧客に寄り添うビジネスは、顧客の価値からすべてのプロセスを合理的に効果的にデザインする。一方、20世紀型の組織の調整型では、既存の縦割り組織を生かしつつその組み合わせでサービスを作っていく。結果的に、組織の調整型では無駄なプロセスが多く発生し、生産性が組織的に高まらない。ここに、21世紀型のビジネスが、20世紀型のビジネスに比較して3~5倍程度の生産性を発揮しているゆえんがある。だから、フィンランドの人は、皆4時には帰宅し、5週間の休みを完璧に取得することができるのだろう。真面目にやるかどうかという20世紀型の古臭い基準ではなく、お客様に価値があることしかしない、という考え方だ。以前からやっていた仕事でも必要なければどんどんやめる、といった感覚はやはり女性の方が上かもしれない。
「女性活躍」は手段であって目的ではない。21世紀型のビジネスに変革する過程で、結果的に女性が主導権を握るポストが増えたのだ。実行すべきは、顧客に寄り添うビジネス、国民の気持ちに寄り添う政治だ。
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