1.優勝できた要因 下位に長年低迷していたオリックス・バファローズ球団が、2021年 中嶋監督のもとにリーグ優勝、2022年 日本一を果たした。当コラム表題と同名の著書(喜瀬雅則著)を読むと、多くの要因が書かれている。その中で、私は「選手の自立を促したこと」に注目したい。野球はチーム戦で団体スポーツだから、チームワークが大事ということは当たり前だ。しかし、それと同時に「選手個人の自立」が重要だという中嶋監督の考え方に興味をおぼえた。三つの事例から、中嶋監督のチーム強化の基本方針を学ぶ。
「個人の自立」がスポーツの上達には大変重要なこと、というのは、別の本「世界を獲るノート」(島沢優子著)でも、多くのアスリートが語っていることだ。明日の練習内容を自分で決められるようにならないと世界は獲れない、と卓球でもゴルフでもラグビーでも、選手もコーチも語っている。自分で強くなりたいと思わない限り、強くはなれない。自分で自分の課題を分析して練習プランを作成できなければ、決して強くならないそうだ。オリックスの中嶋監督はそれを実践している。
2.ビジネス分野での取り組みはどうか 翻って、ビジネスの分野に目を転じてみよう。上記の3つの視点からビジネス界を考えてみる。
ビジネス界では、「練習する・学ぶ」ということが全体的に疎かになっているように見える。一方、IMDなどから「世界の学び」に関わる最新の情報を入手するにつけ、世界と日本との差がますます開いていく焦燥感に襲われる。日本の「学ぶ文化・土壌」を大きく見直すべき時期に来ているように感じられる。
3.日本の「学び」(トレーニング)を構造的に改革しなくてはならない 練習して上手になる、とか、学んで成長する、ということは本来人間の楽しみであり、本能であるはず。しかし、現在の日本は、社会がぬるま湯で覆われて、個人が自分の人生に責任を持って学びつづけるという本能を見失っている状況とも見える。
日本のみんなで協力して、学び成長する楽しさをみんなで喜ぶ社会、そういう文化を日本に取り戻したいと思う。また、「世界で最新鋭の学びの科学」を学ぶ専門家を日本に育てることにも注力していく必要がある。そうすることで、昭和の感覚を捨て、世界レベルの最新の学びを日本に根付かせることができるのではないだろうか。そんな「LX(Learning Transformation)」を社会全体で起こしていくきっかけをつくっていきたい、と切に考える。
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