記者:DBICディレクター 渋谷 健
DBICがお届けする、新しい未来を担う変革リーダーたちのためのDBICの総力を結集したプログラム DBIC EXECUTIVE QUEST。2023年に沖縄科学技術大学院大学(OIST)で開催したプログラムの様子と、そこから得られた学びをレポートいたします。 本プログラムはDBIC会員企業のエグゼクティブ(執行役員・部長級以上)を対象に、DBICのパートナーであるスイスのIMD、DDC(デンマーク・デザイン・センター)、OISTの協力のもとに開催いたしました。テーマは「WHYの探求」。全4日間のプログラムでは業種・業界・組織・立場の壁を超えて変革リーダー同士がつながり、自分自身の使命を見つめなおし、いま社会から問われていることに向き合い、真に為すべきことが何かを探究し、それぞれの変革の実践アクションにつないでいきます。
今回のEXECUTIVE QUESTに参加したエグゼクティブの方々は、当然ながら各社において組織を動かす立場。社会に対しても影響力を持っています。その学びをどう活かし、このつながりをどのように発展させ、そしてどんなインパクトを起こすのかで未来は変わり得ます。EXECUTIVE QUESTの探求は、そんな新しい未来への胎動が聞こえる4日間となりました。
【DAY1】 旅の始まり 「なぜ・いま・ここにいるのか?」(DBICセッション)
① 学び考える力を取り戻す
② あなた自身の使命は?
③ ともに旅を始めよう
④ いかに未来を描き出すのか
⑤ 真の意味でデータを武器にする
⑥ そしてつながり、対話する
【DAY2】 世界から考える 「何が求められているのか?」(IMDセッション)
新しいリーダーシップの時代
①「進化」と「深化」の必要性
② すでに新しい未来は始まっている
③ そして再び、対話する
【DAY3】 自分の手で実践する 「真に何を為すのか?」(DDCセッション)
① 未来をデザインする
② イノベーションのためのデザインを体感する
③ 三度、対話へ
【DAY4】 未来の鍵を手のひらに 「どの未来を選ぶのか?」
DBICとの提携関係にあるOISTの全面協力により、DBIC EXECUTIVE QUEST in OKINAWA 2023 がスタートしました。OISTにDBIC会員各社よりエグゼクティブ31名と、全DBICディレクター、IMDアジアパシフィック代表 高津氏が集結。超複雑化する社会環境を超えた新たな未来への、4日間の探究の旅が始まりました。
午前中はアイスブレイクを兼ねて、DBICの活動やそこに込められた想いを代表 横塚、副代表 西野から紹介。DBICはソーシャル・イノベーションの実現に向け、徹底的かつ実践的な試行錯誤を企業組織や国・地域の枠を超えて繰り返してきました。そこから得られた学びは「WHYの探求」の重要性でした。 日本社会はこの30年で学び考える力を喪失してしまいました。結果、可能性が閉ざされ、日本社会・日本企業の競争力は低下してしまっています。だからこそ原点から考え、行動することができるリーダーの育成と、それを支えるチームを築くための「WHYの探求」がなによりも重要となっています。
そしてその実現には個人が自らの考え・行動のパターンをUNLOCKして新たな可能性を受け入れ、従来の組織構造・文化・慣習という縛りからUNCHAINして未来に踏み出し、試行錯誤を繰り返しながら本当に必要な社会の価値を築くことによる変容=TRANSFORMの3ステップが必要だとDBICは考えています。 この考え方に基づき、現在、DBICでは会員企業に向けて日本企業・社会に向けた提言であるVison Paperなどの発刊物や、QUESTシリーズなどの育成プログラム、IMDと連携してのトップ会議などの場を提供し、変革を担うリーダーたちのコミュニティ(≒プラットフォーム)を築いています。
今回のEXECUTIVE QUESTは、組織を担うリーダーたちとともに、学び考える力に真剣に向き合い、ソーシャル・イノベーションに向けてそれぞれの変革を推し進めていくための"WHYを深く探究する旅"として提供しています。
(副代表 西野からDBICの取り組みを紹介)
「あなたの個人的な使命はなんですか?」、EXECUTIVE QUESTの始まりにあたり、代表 横塚から参加者への問いかけです。そこには、上司にやれと言われたからやる、という姿勢ではイノベーションやDXはなし得ないというDBICの信念が込められないます。社会の流れを捉えて、組織の課題を捉え、なぜ=WHYを自分自身として深く深く探究したうえで、自分の内面から湧き上がる意思が必要なのです。 一方で私たちは社会に本当に向き合えているのでしょうか?世界はいまも大きく動き続けています。組織の課題を本質的にとらえているでしょうか?組織もまた変化し続けているのです。もし、それが見えてなければ、個人の想いはときにただの独りよがりにもなってしまいます。 だからこそまず、学ぶこと。一人ではなく、より多くの人と。そうすることで必然とした自分自身の命の使い方=使命が明確にやっていきます。それがDBICが提供する場の価値です。今回のEXECUTIVE QUESTではまさに個人の真なる使命を、仲間と共にWHYから探求していきます。
(代表 横塚からの参加者への問いかけ)
プログラムを始めるにあたり、参加者一人一人からなぜEXECUTIVE QUESTに参加するのかを共有していただきました。業種も職種も異なる総勢22社31名。しかしそこに共通しているのは超複雑化した社会のなかにある"いま"への危機感。そして新たな社会価値創出に向けた意思。DBICらしく経歴や役職などにとらわれず、人として対等につながることから探究の旅は始まりました。
(参加者による自己紹介)
「いま私たちは時代の大転換期にある」、現代社会を一言で言い表すならばこの言葉に尽きます。その中で真に何を為すことが求められるのか。もはや過去の延長ではこの変化を乗り越えることはできません。ましてや表面的なHOW(やり方)や、WHAT(見せ方)を求めているだけでは、到底太刀打ちできないのです。だからこそいま必要なことは、「WHYの探求」を深め、自分自身を含めて一人一人の考え方をグレートリセットすることが必要です。
ではいかにグレートリセットを行なっていくべきなのか。DBICは設立以降重ねてきた試行錯誤から、そのための気づきを得てきています。それはまず、一人一人のマインドセットをUNLOCKすること。ここで言うマインドセットは認知する力、気づく力のことを指します。そして社会システムを扱い組織・人を動かしてソーシャル・イノベーションの実現へとつないでいく、囚われのないデザイン思考が必要です。UNCHAINです。ただしこれらはあくまでも必要要素でしかありません。統合していまの時代に必要な変容を形にしていくこと、つまりTRANSFORMATIONが必要です。しかも誰かにやってもらったら与えられたりするのではなく、自分自身の手で。そして最終的には社会の価値に昇華していくこと、つまりいままでいた領域から踏み出し、新しい可能性に飛び込み、インパクトの創出=新しい社会の可能性を切り開いていくことが不可欠なのです。つまり実践なのです。
EXECUTIVE QUESTの本セッションは、DBICのディレクター陣たちからこの気づきが共有し、それぞれが真に目指すべき目的(=パーバス)を確認するところから始まりました。そしてディレクター陣がシェルバトなって、EXECTUVE QUESTの先に続いていくグレートリセットの長い旅に、参加者それぞれが踏み出しています。
(参加者がEXECUTIVE QUESTの先にみる真の目的)【参加者の真の目的(テキストマイニングツールによる要約・抜粋)】
- 社会課題を解決し、顧客とともに笑えるようにする
- 本当に2050年までにカーボンニュートラルを実現する
- 新しいことに挑戦する楽しさを次の世代に残す
- 10年20年先も持続可能なオペレーションを再構築する
- 社員の意識変革の推進役として、まずは自分が変革する
デジタル化が浸透してきた現代社会では、データを扱うことは必然です。思い込みのために見えていなかった可能性や課題を見出し、「WHYの探求」を深めるための武器となるからです。そのためには目的が明確であることが必要です。手法に囚われたり、流行りに踊らされてははいけません。しかしながら囚われ、踊らされ、データを活かさずに成果に結びつかないケースは少なくないのです。
では目的に向かってデータを武器として扱っていくためには何が必要でしょうか。それは「問い」です。そして「問い」に多様な視点から向き合い、具体的に動くための知識やスキルと、それを実践へと後押しする心理的安全性のある組織が必要です。もっと言えばいつ、どこで、だれが、なにを、どう、どのくらいやるのか、「問い」から仮説を明確にし、KPIを設定し、失敗や不確実性を許容して、実験・検証を繰り返しながら学び進化し続ける、自分で考え動くリーダーシップとチームワークが必要なのです。つまりデータはUNKOCKとUNCHAINの上ではじめて武器になる道具なのです。そしてデータを武器としながら試行錯誤することでTRANSFORMは可能になり、インパクト=ソーシャル・イノベーションの創出につながっていくのです。
DAY1 の最後は、DBICの「データ・ビジネス・ラボ」のプログラム提供をしているデータミックス 堅田氏とのワークショップを通じ、参加者の真に目指す目的を踏まえた「問い」を立てていきました。そして「問い」に向き合い、見えてない・わからないことをありのまま受け入れ、社会や組織の現実の上で何が必要なのかを、対話を通じて探求していきました。そして参加者それぞれの新しい未来へと続く道を見定め始めています。
(参加者によるワークショップの様子)
【参加者自身が立てた向き合うべき「問い」(テキストマイニングツールによる要約・抜粋)】
DAY1の終了後はOSIT近くのリザンシーパークホテル谷茶ベイへ。たっぷりのインプットのあとは少しリラックスしながらの対話。それはただ楽しいだけでなく、参加者それぞれに感じたことや気付いたことををただ共有するだけではなく、真にいまの社会に、組織に、自分自身に、何が必要なのかを自然体で探究する時間。対面だからこそ伝わる熱量が「WHYの探求」にエネルギーを与えていってくれます。
(夕食時の副代表 西野からの挨拶)
2日目の朝は沖縄らしい晴れ模様。宿泊先の目の前の美しいビーチを眺めながら朝食をすませ、朝8:00に集合しOISTへ。そしてDBIC設立以来のパートナーであり、世界最高水準の経営幹部教育プログラムを提供しているスイス・IMDによるセッション。参加者それぞれの自分自身への「問い」を持って、世界の視点から自分自身のいまを見つめ直し、さらなる「WHYの探求」の歩みを進めていきます。
世界の中でもはや日本企業は注視すべき対象ではなくなってしまいました。日本市場も、です。日本型経営はかつて注目を集め、高度経済成長期にはJapan as No.1と言われた時代もありました。しかし変容しない多くの日本企業から世界が学ぶことはなくなっています。そして市場としても新興国のより大きな市場に見劣りします。もちろん文化面などユニークな側面はありますが、世界の潮流を築く地位にはもはやありません。先進国ではないのです。つまりこれら日本型経営や日本市場の世界的価値はもはや過去の遺産ですし、日本と世界という境界をつくること自体、意味をなさなくなっているのです。
一方で世界を見てみると、従来の価値観の大転換期にあります。たとえばヨーロッパ。ウクライナで高まる緊張は予測し得なかったエネルギー危機を起こし、各国で大きく政策転換することが求められています。そして新型コロナウィルスの影響。従来の事業構造では通用しなくなり、大きく転換が求められな企業は少なくありません。一方でこの新型コロナウィルスによる影響を機会に変えた企業もありました。さらにはそこからさらなる変化が起き、再転換が求められているケースも。例えばNETFLIXがその事例に挙げられます。
ではいま、何が求められているのでしょうか?それはこの大きな変化に適応するためには新たなリーダーシップです。だからこそ、DAY2の冒頭は、IMD教授/一橋大学名誉教授である一條 和生氏とのセッションでは、IMDや一橋大学でのイノベーション研究の知見を背景に、参加者それぞれに対してリーダーシップのあり方が問いかけられていきました。激変する社会の中で自分自身に必要な正解を自ら創り出すために「問い」を立て、世界を見渡し、創造性と勇気を持って、未来に向かって貪欲に真摯に学び、泥臭くも行動を起こし、成果に結びつけ、次に伝えていくか。そのために準備ができているか。参加者はこれまでの執着や囚われを手放し、それぞれに自分自身の、自分の組織の、そして社会のあり方を新たに捉え直しながら「WHYの探求」を深めていきます。
(IMD 一條 和生教授によるセッション)
IMDは現在、DXの研究と教育で世界をリードし、持続可能性の分野でもグローバル連携を進めています。日本においても世界の視点で企業の進化と成長を支援してきています。一方で対面に特化したプログラムを提供していたため、新型コロナウィルスは大きな危機でした。しかし、自らのDXを推進したことによりその危機を乗り越え、大きな進化・深化を遂げ、過去最高の業績を達成しています。DAY2のメインセッションはIMD北東アジア代表 高津 尚志氏によるワークショップを通じ、IMDのケースを基に自分自身で考え、自らを再定義し、具体的な行動につないでいきます。
IMDは新型コロナウィルスで特に向き合ったことは4つ。一つはキャッシュ(原資・お金)を確保すること、そしてスタッフやパートナー、顧客といった利害関係者とのエンゲージメント(関係性)を維持すること。これは守りの戦略でもあります。そのうえでデジタル技術を活用して新たな価値提供の方法をデザインすること。そして新たな可能性に投資すること。守りとともに攻める、というアプローチ。その核心を握っていたのは人。事実を冷静に捉えたうえで、いかに人の考え方、行動パターンを変え、組織としてそれを活かすか。これはIMDに限らず変革を求める組織にとっては共通して向き合うべきDXの課題でもあります。
ではいかにDXの課題を解決するか。その答えは経験価値にあります。自らをUNLOCKして原点=社会における存在価値(パーパス)に立ち返り、いまの社会に求められる顧客体験を妥協することなく追及すること。組織内外を巻き込みながらUNCHAINして過去のパターンを手放し、真摯に学び、必要な技術を取り込み、徹底した挑戦的な試行錯誤を繰り返すこと。つまり自らの在り方の再定義・再構成=進化と、顧客との信頼関係をより強固に築く=深化により、オーケストラのように社会に価値ある新たな体験=経験価値を生み出すための変革=TRANSFORMに飛び込んでいくことが必要なのです。
社会の変化から課題を見出し、その解決から社会価値を創出するまでのプロセス。これこそがまさに「WHYの探求」の一つの姿です。今回のケーススタディをもとに参加者はそれぞれ、自分自身の"リアル"の中でなぜ、なにを、どこで、いつ、だれと、どう動くべきなのかを深掘りしています。つまりそれは、自分自身の「WHYの探求」を通じて、何にコミットするのか(覚悟をもって何を行動として起こすのか)、を明らかにする時間となっています。
(IMD北東アジア代表 高津氏によるワークショップの様子)
【参加者自身によるコミット(テキストマイニングツールによる要約・抜粋)】
ソーシャル・イノベーションの実現、DXの推進は非常に困難な途方もない旅にも見えてしまうかもしれません。しかしすでに日本でも確実に始まっています。その象徴の一つが今回、EXECUTIVE QUESTの舞台となっているOISTこと沖縄科学技術大学院大学です。DAY2の最後はOISTのMs. Lauren Ha 准副学長からOISTが創り出してきたストーリーから、参加者それぞれが起こす行動のためのヒントを得ていきました。
OISTの最大の特徴はインターナショナルであること。世界トップクラスの科学者による研究が行われいます。そのため公用語は英語、そして領域を限定することなく自由に開かれたコミュニケーションを重視しています。質も重視しており、5~6年の博士課程で1人の教官に対し、生徒3名。結果としてOISTは50以上の国から研究者が集まり、研究者として採用されるための倍率は約20倍に。シュプリンガー・ネイチャー発表の「質の高い論文ランキング2019」で世界9位、日本で1位。OISTのスバンテ・ペーボ教授は2022年のノーベル生理学・医学賞を受賞。スタートアップへのスピンオフや、企業との企業連携により技術の社会実装も強力に推し進めています。2011年の設立からわずか10年余りで。まさにイノベーション・ハブとなっているのです。日本政府(内閣府)が資金を出している、日本の大学として。
日本社会は失われた30年の中にいます。しかし、OISTは過去に囚われることなく、新たな未来を確実に切り拓いています。つまり私たちはすべてを諦める必要はないのです。勇気をもって踏み出せば、可能性は現実になる。その事実は「WHYの探求」の旅を進める参加者に勇気を与え、強力に背中を後押ししています。
(OIST Ms. Lauren Ha 准副学長によるセッションの様子)
DAY2の終了後は再びホテルへ。そしてまたそれぞれにリラックスと対話の時間。「WHYの探求」をともにしてきたことで、業種・業界、組織、立場を超えて深まった関係性は対話の質を高めてくれます。そして夜。心地よい疲れに波音は心地よく。しばしの休息の後、EXECUTIVE QUESTは後半戦へと入っていきます。
EXECUTIVE QUEST 3日目。この日も朝8:00からOISTへ。この日のプログラムはIMD同様にDBICのパートナーで、デザインの可能性を探究し、持続可能な社会に向けたアクションを世界でけん引するデンマーク・デザイン・センター(DDC)によるデザインシンキングのセッション。今回はDDCのトップであるMr. Christian Basonと、ストラテジック・デザイナーのMr. Brian FrandsenがデンマークからEXECUTIVE QUESTのために沖縄に。この時間を通じて参加者は自分自身のコミットを踏まえ、いかに自分自身の"現実"の中で実践していくのか、「WHYの探求」をさらに深めていきます。DAY3 自分の手で実践する 「真に何を為すのか?」(DDCセッション)
(DDCのセッションのためにOISTのホールに向かう様子)
デザインシンキングは現在、イノベーション創出の手法として主流になっています。多くのグローバル企業で活用され、IMDやDDCをはじめ多くの教育・研究機関で扱われています。その核は一人のひととしての「WHYの探求」。過去のパターンや表面的に見える部分だけに囚われることなく、社会の問題を一人のひととして考え、ひととして行動をとる要因を解きほぐし、ひとに必要な形を何度も実験し試行錯誤しながら学び、具体的に組織や事業を通じて実現していくこと。つまり本質的なデザインは社会に変容を起こせるのです。事実、DDCはグリーン、デジタル、社会システムの変革、そしてその実現のための組織づくりをリードしています。
では、デザインシンキングの実践には何が必要なのでしょうか。好奇心を持って視野を広げて新しいアイディアを湧き上がらせていくこと。そしてそのアイディアを収束し、大胆に決断して行動に移すこと。何よりもそのプロセスを楽しみながら、まずやってみること。だから机上での表面的な知識ではなく、前に踏み出す勇気が起点になるのです。そして場数を踏んでいくことで成果の質を上げることが可能になります。 より効果的にデザインシンキングを成果に結びつけていくためにはミッション=使命が重要になります。自分自身をUNLOCKし、いま起きている問題を正確に捉え、目指すべき未来を見据えて、自分自身が果たすべき使命を明確にすることがまず必要です。そして過去のパターンを手放し、心理的安全性を前提に、多様性を武器に創造性を高めていくこと。つまりUNCHAINにより、組織的にデザインシンキングを活用可能にすることが必要です。そうすることで必然としてTRANSFORMは起き、イノベーション創出という大きな成果へとつながり得るのです。
DDCのセッションではこうしたデザインの本質に向き合い、SDG'sなど今解決が求められている問題と、自分自身が置かれている状況を踏まえ、真に為すべきことをどう実現するかを探究していきました。それは自らが進む未来のデザイン。今回のEXECUTIVE QUESTでの「WHYの探求」もいよいよ最終章。参加者それぞれがEXECUTIVE QUESTの先、それぞれの現実に戻った後で進むべき道を捉えていっています。
(DDC CEO Mr. Christian Basonによるセッションの様子)
DAY3の最後は今回の会場となっているOISTのキャンバスを見学。イノベーション・ハブとして成果を上げ続ける現場はどんな環境なのか。創造性を高める空間のデザインとはどんなものなのか。DDCのデザインシンキングの学びを踏まえてたうえで体感する目前のリアルケース。OISTスタッフの方々によるるナビゲートは、参加者それぞれに具現化する未来のイメージを刺激しています。
DAY3終了後もホテルへ。「WHYの探求」を続けてきたEXECUTIVE QUESTも残すところ最終日のみ。4日間の学びをまとめ、それぞれの現実の中でのアクションにつなぎます。ただその前に少し休息。それぞれにリラックスと対話の時間を過ごして明日に備えます。
EXECUTIVE QUEST最終日。4日間の長くも短い「WHYの探求」の旅の終着点。副代表の西野から改めその意図を共有し、世界で起きている事実に目を向けます。デジタルは確実に世界を変えていっていること。デジタルは特別なものではなく、すでに目の前にあり、気付くことができればいかせること。それはすでに使うかどうかの選択でしかないこと。私たちの未来の鍵はすでに手のひらにあるのです。 ウクライナはその象徴かもしれません。現在、戦火の中にあるウクライナは自国の国民を守り、国民は避難先で生活を立て直し、企業は世界中と今もビジネスを止めることなく動かし続けています。それを支えているのがデジタルなのです。DBIC副代表の西野から紹介された、2022年8月にIT関連団体と共催した特別セミナーに合わせてウクライナ副首相兼デジタル担当大臣から送られたビデオメッセージが、その事実を衝撃をもって参加者に刻み込んでいます。
そして本当にこのEXECUTIVE QUESTの最後の時間。一人一人が全員の前に立ち、改めて自分自身の使命と、この4日間の自分自身にとっての価値と、自分自身が選んだこれから進む未来を言葉にします。それは自分自身に向けて、この4日間を共にした仲間に向けて、いまこの場にはいない自分自身の仲間に向けて、まだ見ぬ未来の仲間に向けて、つながり広がっていく世界に向けて。 4日間にわたる深く濃密な「WHYの探求」を終えたその場には、単に組織を変えるだけではなく、社会の未来を変え得る真の変革リーダーたちが立っていました。4日間の探求を終えたことの充実感を感じながらも、ここが単なるスタートラインでしかないことをこのリーダーたちは知っています。そして未来を自分の手で拓けることも。それぞれが自ら学び、周りを巻き込み、成長し、世界にインパクトをこれから起こしていくことは疑う余地もありません。いずれ時間がそれを証明してくれるでしょう。
DBICも彼らリーダーと共に未来を築くために新たな構想を発信します。副代表 西野から発信されたそれは「ラーニング・トランスフォーメーション(Learning Transformation: LX)」。未来のための学びによる変革です。LXは現時点では基本的にプラットフォームとして提供することを構想しています。DBICはプロデュース機能やプログラム機能の一部をラーニングデザイナーやキュレーターとして担うことを想定しています。一方で特定の考え方に引っ張られてしまっては実現し得ないため、全体の事業運営にあたっては新たに企画委員会を設置することを予定しています。LXに共感していただける方々と基本プログラムやコンセプトを創発的に考え、実現していきます。事実、DBIC自身も設立委員会を設置したことで、特定の考え方に偏ることなく、中立性と社会性をもって実現され、今回のEXECUTIVE QUSETにまで至っています。 私たちの未来は過去にはありません。未来は与えられるものでもありません。未来は創れる。あとは進むだけです。その鍵は私たちの手のひらあるのです。新しい未来はいま・ここから始まったのです。最後に代表 横塚が変革リーダーたちへ送ったメッセージを借りてこのレポートを終わりたいと思います。
「Good luck! See you again! 」
(4日間の旅を終えた変革リーダーたちとDBICの仲間たち)
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