気候変動、高齢化、少子化、などなど社会課題は日本と同じで山積している。 デンマークでの課題解決の考え方について、デンマークにある非営利組織「デンマークデザインセンター」のクリスチャン・ベイソンCEOからDBICのプログラムの中で学んだ。
〇デンマークでは、その課題を解決するために、以下のような行動をとる。 市民・企業・自治体・学者など深く関係している人たちが集まって、プロのデザイナー(ファシリテーター)が考えるプロセスやツールを使って、その課題のステークホルダーそれぞれにとっての問題意識をできるだけ広くイメージし、それを踏まえて、優先順位の高い課題に絞り込み、「How might we...(私たちはどうすれば...できるか)」を対話しながら決めていく。そして、そこで決めた実現すべき価値をいかに実行するかの案を思いつくまま書き出していき、その中から実施する案を絞り込み、それを試してみる。その結果をみんなで振り返り、改善するか、別の案にするかを相談する。それを繰り返していき、みんなが納得する実行策を見つけ、それを行う。
この考え方やプロセスは、日本での「有識者会議」、政府や自治体の政策、ハッカソン、オープンイノベーション企画、などとは全く違う考え方をとっている。
〇社会課題の解決では、企業にとってのマネタイズが難しいことが多い。 企業にとって収益があがるビジネスになるように、ステークホルダー全員が集まって、その課題の本質的な意味や価値を徹底して深堀する。本質が深堀されるとそこにそれを負担する意義を持つステークホルダーが決まっていく。その課題に関わる人たちの本音の深堀や、専門の学者などの知見を集めた「本質」の追究なしにはマネタイズ案を考えることはできない。
日本では、マネタイズができないとあっさり引き下がってしまうケースが多いが、深堀が足りないということなのだろう。
〇解決案の実行には、必ずしも賛成しない関係者も存在する。 指示や命令で従わせるのではなく、また、金銭的なインセンティブで誘導するのではなく、解決案への共感を持ってもらうように工夫する。共感を得ることができるような動画やリアルなインタビューなど、困っている市民がこれほど待ち望んでいるのだということを理解していただく施策を実行する。例えば、病院での変革では、従来通りのやり方を主張する医師や看護師に対して、患者の切なる気持ちを動画にして見ていただき、変革への共感を得るということをしているそうだ。
一人でも取り残さないようにするには、それなりの努力が必要だが、それをすることでお互いをリスペクトする清々しい国をつくっているように感じる。
他のDBIC活動
他のDBICコラム
他のDBICケーススタディ
一覧へ戻る
一覧へ戻る
一覧へ戻る