3月27日に2022年度QUEST・EGB研究会の参加メンバーが一堂に集まった。それぞれから、旅の体験記が語られた。その場で私が感じたことを記してみたい。
まずは、プログラムの趣旨をリマインドしておく。
- UNLOCK QUEST (3か月のプログラム)
新たな未来に踏み出す"個"の変容に焦点。
自分自身のあり方を深く探究し、変革に向けたマインドを形成。
自分が変革に踏み出すためのマスタープランを描き実践する。
- UNCHAIN QUEST (3か月のプログラム)
変革を実現する"組織"の進化に焦点。
必要となる実践知を探究し、変革リーダーとして覚醒する。
組織の変革に向けたアクションを描き動かす。
- EGB研究会 (年間)
変革を実践するためのガイドブック(EGB)に従い、各社で変革行動を起こす。
各社での行動の状況から得られる真の行動知を探究する。
変革を起こす真のエネルギーを見定め、EGBに魂を吹き込む。
旅の体験記を聞いた。ほとばしる心の息遣いのようなものを感じたが、それを記す日本語が見つからない。なので、私がメモできた皆さんの言葉を連ねることにする。
- UNLOCK QUEST
「ちっぽけな自分に気がついた」
「自分のやりたいことってなに?」「やりたいを捜す」
「流されている自分に気づいた」
「もやもやしている人がいっぱいいる」
「一人のおもしろそうを 数人のやってみように変える」
「社内を捜したら 面白い取り組みをしている人たちがいた」
「楽しくなければ何かがおかしい」
「自分ができることが見つかる」
「踊ってみる」
「仲間を巻き込む」
「対話を武器にする」「対話のプロセスが楽しいんですよ」
「めっちゃ面白いんですよ」
「めっちゃ気持ちいいんですよ」
「プログラムが終了しても 続いているんですよ」
「LOCKされていたことが解けていく」
「何かしなければ 何かやっていきたい」
- UNCHAIN QUEST
「研修じゃねえ、行動しろと言われた」
「仲間を巻き込むと 自分が当事者になっている」
「自社オリジナルのサステナビリティを考えて、経営に報告してHPをつくった」
「忙しくて周りが見えていないことに気がついた」「散歩すらできていない」
「社内に向けて 自分の行動宣言をした」
「元々温めていた新規ビジネスの構想を行動に移した」
「ヒトをマネジメントするのではなく 仕組みをマネジメントすべきと知った」
「2つの経営課題にチャレンジすることを決めて 上司に許しを得た」
「できない やれないは自分自身の行動成果」
「10人のチームではうまく進まなかったけど 3人にして進んだ」
「社内の多くの部署の知恵をおかりしたらパワーは無限大だと知った」
「行動するとき フレームワークの知識やインタビュースキルが役に立った」
みなさんのプレゼンを聞いて感じたこと2つ。自己紹介がほとんど一言。どこの会社にいるかを説明することは意味がないことに気がついたようだ。そして、「会社を使って」何かをしようとし、「DBICを使って」共犯者を集めようとしている。
- EGB研究会
3社が実際に変革を起こす行動をしたところ、3社共通で気づいた「変革を進めるための新しいエネルギー」が報告された。
方向感が実に新鮮でユニークで、新しい時代の到来を実感する内容だ。
「企業の変革は、経営リーダーや組織のリーダーの統制で行うではなく、社員のコミュニティという社員自身の気持ちの発現をエネルギーにすべし」という提案だ。
マネジメントするから社員がLOCKしていいアイデアが生まれない、DX推進組織をつくるからそこにLOCKされて現場が思うDXができない、という内容だ。行動したい「目的」だけを明確にして、その目的に共感する人だけを集めて、メンバーの自主性、やりたい気持ち、自律に任せるという「コミュニティ」をベースにした組織運営を考えようという主張だ。
この新しい「組織観」に大きな潮目の変化を感じた。侍JAPANの躍動が重なる。球団のルールを直談判で変えて、決勝戦で投げる二人。想い溢れる個人の判断と行動が組織や事業を変革してしまう。高い目標に向けて共感した、個の強いエネルギーが「変革のためのエネルギー」になる。研究会メンバーのプレゼンからも感じたし、UNLOCK、UNCHAINのメンバーの言葉からも感じた。
以上3つの旅の感覚は、VISION PAPER2で書いた「信頼経営」に通じるものだと思うし、味の素が中期計画を廃止した考え方も近いのではないだろうか。この自律したコミュニティ感に、ワクワク感が止まらない。
参考
【レポート】2022年度 QUEST&EGB研究会 成果発表会