2026年9月29日、「越境するトランスパーソナル vol.2」を開催しました。今回のテーマは、トランスパーソナルで得た学びや気づきを、自分自身の中だけで終わらせず、会社や世代を越えた対話を通じて次の実践へつなげていくこと。さまざまな企業、職種、年代の参加者が集まり、自分自身の仕事や組織への問題意識、これまでの学び、これから取り組んでみたいことを持ち寄りました。
トランスパーソナルを、対話を始めるための「下地」に
トランスパーソナルでは、知識やスキルを学ぶことだけでなく、「自分は何を大切にしているのか」「いま何に違和感を感じているのか」「本当は何を変えていきたいのか」「自分自身は何から始められるのか」といった問いに向き合っていきます。こうした一人ひとりの内省が、今回の越境対話の共通の下地になりました。
会社も仕事も違う人同士が初めて会っても、単なる自己紹介や名刺交換で終わらず、それぞれが抱えている問いや思いについて、一定の時間をかけて話すことができます。トランスパーソナルは、それ自体で完結するプログラムというよりも、人と人が少し深いところから対話を始めるための「きっかけ」や「共通言語」として機能し始めています。
会社を越えて話すと、自分たちの「当たり前」が見えてくる
異なる企業の人と話してみると、自社では当たり前だと思っていたことが、別の会社ではまったく違う形で捉えられていることがあります。一方で、「会社は違うけれど、同じことで悩んでいる」「それ、自分たちの組織にもある」「そのやり方なら、自分の現場でも試せるかもしれない」といった発見も生まれます。
他社について知ること以上に、他社との対話を通じて、自分自身や自分の組織をもう一度見直す。今回の場では、そうした越境ならではの時間があちこちで生まれていました。
世代も立場も越えて、「何かやってみたい人」が集まる
今回集まったのは、同じ年代や同じ役職の人たちではありません。20代から50代まで、メンバー層からマネジメントを担う人まで、経験も立場もさまざまです。だからこそ、若手が経験のある人から一方的に教わるのでも、ベテランが若い世代に答えを与えるのでもなく、それぞれが一人の実践者として同じテーブルにつくことができます。
共通しているのは、「今の延長線だけではなく、何か新しいことをやってみたい」という思いです。異なる時代や現場を経験してきた人が、未来について同じ目線で話す。世代の違いそのものが、新しい発想を生むための資源になっていました。
学びだけではなく、「人・問い・次のきっかけ」を持ち帰る
こうした場で持ち帰るものは、知識だけではありません。新しく出会った人、もう一度話してみたい相手、自分では思いつかなかった問い、他社の実践から得たヒント、そして「これなら一緒に何か試せるかもしれない」という小さな可能性です。
Learn → Dialogue → Connectという流れが生まれることで、学習の場が、次の挑戦へ向かう関係性をつくる場へと変わっていきます。トランスパーソナルが共通の下地になっているからこそ、単なる交流ではなく、次につながる対話が生まれやすくなっています。
AIで、個人と組織の「現在地」も見てみる
今回は、参加者一人ひとりのトランスパーソナルでのアウトプットをもとに、AIを活用した組織プロファイル分析も行いました。セルフマネジメント、主体性、逆境への適応、メタ認知、共感性などの観点から、一人ひとりの声を組織単位で重ね、「どんな強みが見えているのか」「どこに次の可能性がありそうか」「何が行動を止めているのか」を考える材料として可視化しています。
これは企業そのものを評価・採点するためのものではありません。現在参加している人たちの声から見えてくる一つの傾向であり、対話を深めるための鏡です。AIに答えを決めてもらうのではなく、AIが可視化したものを見ながら、もう一度人と人が話す。そんな使い方も、少しずつ見えてきています。
同じ会社だからではなく、「同じ問い」があるからチームになる
さらに今回は、企業別だけでなく、会社を越えた参加者をチームとして捉える分析も行いました。例えば、東京電力、JEPS、日立ACから5名が集まったチーム「とびだせインドアーズ」。会社も年代も役割も異なりますが、人材育成、学習、社員体験、GXなど、「人や組織をよりよくする」という領域にそれぞれの実務知を持っています。
分析から見えてきたのは、正確さや安定運用、支援力という共通した強みでした。一方で、その強さが慎重さにもつながり、最初の実験を始めるまでに時間がかかる可能性もあります。だからこそ、次のテーマとして浮かび上がったのが、「守る力を、試す力へ。」という方向性です。同じ会社だからチームになるのではなく、同じ問いや問題意識を持っているからチームになる。越境することで、これまでになかったチームの形も生まれ始めています。
学びの主人公が、参加者自身へ
そして何より大切なのは、参加者自身が次の動きを考え始めていることです。主催者がすべてのプログラムや答えを用意し、それに参加してもらうだけではありません。「この人ともう一度話してみよう」「自分の現場で小さくやってみよう」「このテーマなら一緒に考えられそう」「次回は試した結果を持ち寄ろう」といった動きが、参加者の側から生まれ始めています。
トランスパーソナルで自分自身を捉え直し、越境対話で他者と出会い、そこから次の実践をつくっていく。少しずつ、学びの主人公がプログラムから参加者自身へ移っているのかもしれません。
学ぶ場から、挑戦が循環する場へ
今回の「越境するトランスパーソナル」は、一度きりのイベントではありません。これからも、トランスパーソナルで生まれた問いや学びを持ち寄り、会社・世代・職種を越えて対話し、小さな実験につなげ、その経験を再び共有する場を継続していく予定です。
自分を捉え直す。人と話す。つながる。小さく試す。振り返る。そして、また持ち寄る。この循環が続いていけば、学習は個人の中だけに留まりません。組織を越えた関係性が生まれ、新しい挑戦の仲間が増え、そこから少しずつ組織や社会の変化へとつながっていきます。
トランスパーソナルは、そのための一つの入口であり、共通の下地です。学びから、つながりへ。つながりから、次の挑戦へ。これからも、参加者自身がつくっていく越境的な場を、みんなで育てていきます。
文責:DBICディレクター 渋谷 健
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