【レポート】横塚裕志が聞きたいシリーズ 第8回 「人生100歳時代のシニア向けデジタルビジネスのあり方」

牧様はシニアが自立・自活して元気にいるためには「全てのシニアがインターネットでつながる」が重要であるとの思いから、「IoS(Internet of Seniors)」をキーワードに大手企業向けに高齢化社会時代でのICTの在り方を提言しています。 厚生労働省が2015年1月に発表したデータでは、2025年には認知症を患う人の数が700万人を超えると推計されています。65歳以上の高齢者のうち5人に1人が認知症に罹患する計算となり、2012年の462万人と比較して大きく増えることがわかります。 更に認知症患者ひとりあたりにかかる介護や福祉のための国のコストは年間300万円を超えると言われ、「フレイル」と呼ばれる健康寿命以降の時間をどれだけ短くできるかが大きな課題となっています。 そんな中、予防医学研究者である石川善樹先生による「友だちの数で寿命はきまる 人との『つながり』が最高の健康法」で紹介されたように、健康にとっては喫煙、ダイエット、運動よりも「つながり」が効果的であるとのデータが紹介されます。経済損失5兆円以上とも言われるこの問題を重視したイギリス政府が2018年1月に「孤独担当大臣」をポストを新設したことも話題になりました。 聖路加国際病院の日野原重明先生が100歳からFacebookを始めるきっかけをつくった牧様は、世代と地域を超えて「つながる」ことのできるインターネットこそ健康寿命を伸ばし、認知症を減らすことのできる最適なツールだと訴えます。にも関わらず、日本におけるシニアによるデジタルデバイスやインターネット活用は先進国の中でも最下位レベルと言われているそうです。 避けることのできない社会課題である少子高齢化や社会コストの増大をICTを使って解決していくのは、企業にとって大きなビジネスチャンスとなるはずです。牧様の分析では、シニアへのICT導入ハードルになっているのは「高齢者だからできない」というシニア自身または家族による「偏見」が大きいと考えられています。牧様のFacebookネットワーク仲間であり「認知症になった私が伝えたいこと」の著者である佐藤 雅彦様は、認知症患者でありながらFacebookを学び、著作が評価を受けることで認知症が改善したという事例をご紹介いただきました。 家族の高齢化や認知症は参加者にとっても身近で深刻な問題であり、講演後半のQ&Aセッションでもシニアへのデジタルデバイス導入やUX設計を中心に多くの質問が飛び交いました。 牧様から出席者に対する「新卒研修ではなく、定年退職者向けの研修が貴社にありますか?」「貴社はシニアにフレンドリーですか?」といった逆質問に気付かされることも多かったのではないでしょうか。

DBIC副代表 西野弘がパーソナリティを務める「ダルマラジオ」で対談公開中

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