【シンガポールレポート】TomoWorkワークショップ「オトングラスを使ったアイデアソン」

文字読み上げメガネ「オトングラス」オトングラス」は、目の前の文字を読み上げてくれるメガネです。使い方はとてもシンプル。読みたい文字のほうに顔を向け、メガネに付いているボタンを押すだけ。カメラで撮影した画像の文字を認識し、音声に変換して読み上げてくれます。日本のスタートアップ企業「株式会社オトングラス」が開発し、モニター向けに限定販売を予定しています。 メガネの弦に装着したカメラで文字情報を読み取ります 今回はTomoWorkにご協力いただいている15名のシンガポール在住の障がい者のみなさま(以下TomoWorkメンバー)と一緒に、このオトングラスを使ってどのようなことができるかを考えるアイデアソンを開催しました。

アイマスクを使った暗やみ体験

障がい者向けコワーキングスペース「TomoWork」 まずはアイマスクを使って目が見えない状況を体験します。実際に体験することによって課題を見つけることはデザインシンキングの基本です。例えば聴覚障がいを持っている人でも、視覚障がいの方がどのようなことに困っているのかは分かりません。自分で実際に体験することにより気付けることが多くあります。 車いすの方にとっても初めての体験 また視覚を奪われると、より緊密なコミュニケーションが必要になります。声を掛け合い、肩や腕をつかんで、人に頼って行動することが必要になります。これが障がい者の方が豊かなコミュニケーション能力を持っている理由です。そしてこの体験はチームビルディングに効果的で、体験後は明らかにチーム内の親密度が高まりました。 みんなで声を掛けあって、お互いを支えながら歩きます そしてこの体験は視覚障がい者の方が活躍するタイミングです。彼・彼女たちにとっては当たり前の日常です。どのように歩けばよいか、どう誘導してもらえると安心できるか、どうやって白杖を使えばよいか。普段はシャイな方も、この時ばかりは積極的にみんなにレクチャーしてくれました。 視覚が限られている状況で白杖はとても頼りになります

視覚障がい者による実体験のシェア

今回のアイデアソンには日本で障がい者の就業支援をされている視覚障がい者の成澤俊輔さんにもご参加いただきました。今回使用した「オトングラス」も成澤さんからご紹介いただいたものです。ご自身のご経験をお話いただき、自分の目は明るさを失っていくからこそ「世界で一番明るい視覚障がい者」になりたい、という力強いメッセージにTomoWorkメンバーも聞き入っていました。 日本の障がい者手帳を紹介する成澤俊輔さん

オトングラスを実際に体験

午後は日本から生中継でオトングラスの開発者である島影圭佑さんにオトングラスの使いかたを説明していただきました。オトングラスは「メガネに装着するカメラ」「ケーブル」「音声を読み上げる本体」の3つの機器で構成され、好きなメガネに装着することができます。また日本語以外にも英語など多言語に対応しています。 オトングラスの開発者である島影圭佑さんによるレクチャー そして実際にTomoWorkメンバーにオトングラスを体験してもらいました。まだプロトタイプであるため距離や範囲の調整が難しかったりしますが、正しく読み取れた場合は雑誌の1ページ分ぐらいの文章量でも流暢に読み上げてくれます。 文章が読み上げられると歓声が沸きます

オトングラスを使った新たなアイデア創出

実際にオトングラスを体験した後は、チームに分かれてアイデアを出し合いました。製品のフィードバックはもちろん、「近づいてくるバスの路線番号を読み上げてくれる機能が欲しい」といった実体験に基づいたアイデアが提案されました。 3チームに分かれて製品フィードバックと活用アイデアをプレゼンテーション 今回のフィードバックは島影さんにお伝えし、今後のオトングラスの開発に活用される予定です。日本で開発した製品をグローバルな障がい者の視点で評価してもらえる貴重な機会になりました。様々な障がい者の皆様に製品やサービスの評価をしてもらえるという「TomoWork」の新たな価値が確認できたワークショップでした。

関連リンク

住友生命保険相互会社ニュースリリース「シンガポールにおける障がい者活躍支援の実証実験の実施について」TomoWork専用サイト(英文)【シンガポールニュース】障がい者向けコワーキングスペースの実証実験を開催【シンガポールレポート】TomoWorkオープニングイベント

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