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【レポート】IMD/DBIC共催プログラム:ディスラプションを味方につける絶対王者の5原則

開催日:

DBICはスイスを拠点とする世界トップレベルのビジネススクールIMDとパートナーシップを結び、様々な専門分野のIMD教授から東京で直接講義を受けることができる特別プログラムを共同で提供しています。

そのプログラムの一環として、2020年1月16日(木)、日本郵政本社会議室において、IMD/DBIC共催の「ディスラプションを味方につける絶対王者の5原則」を開催しました。 今回は世界的ベストセラー「LEAP - ディスラプションを味方につける絶対王者の5原則」の日本語版発売(プレジデント社、2019年12月2日発売)を記念し、著者であるIMDのハワード・ユー(Howard Yu)教授を招いて共催した特別セミナーです。 セミナーでは、「LEAP」(跳躍)の考え方について製薬業界の事例などを交えてお話し頂き、また、参加者とのインタラクションや質疑応答などを通じて、「先行企業は敗退や停滞を防ぐために、何ができるのだろうか」、「リープするためにはどのような新しい考え方が必要なのか」、「リープするためには企業リーダーのディープダイブが必要不可欠」といったことを語ってもらいました。本レポートでは講演内容を再構成してお伝えします。

「セルフ・カニバリゼーション」のお手本企業

会場の様子 ハワード・ユー教授:近年の企業の歴史は、繊維業界を手始めに、家電や自動車メーカー、太陽光パネル、風力タービンまで常に先行企業が後発企業に倒されてきたものです。高級ピアノの米スタインウェイがヤマハに駆逐された例、米デトロイトの自動車メーカーがトヨタやホンダに追い越された例など数多くあります。 本書を書くにあたって様々な業界の研究に着手しましたが、とりわけスイスの製薬会社ノバルティスと家庭用品メーカーのP&Gにフォーカスを当てました。両社はともに一世紀以上繁栄し続けており、また、一度ならず何度も、自らを変革してきました。 今日、製薬業界の最先端で活躍し続けるには、高価な設備を備えた研究所や巨額の予算、大規模な研究者チームが必要になります。実際、ノバルティスだけでも、2014年の研究開発費は100億ドル。ノバルティスとロッシュの株式時価総額は合計で4,000億ドルにも膨れ上がっています。両社は、がんの薬からHIVの薬まで最先端の開発において業界をリードし続けています。 製薬業界で新興諸国の後発企業が西側の先行企業を倒せない理由は、こうした豊富な資金に裏付けされた設備投資額だけでは説明できません。 成功の秘訣は、外部リソースを含めた新たな知識に常に注力し、ビジネスのやり方を変えていったからです。それによって一世紀以上の歴史を持つ製薬会社がいまなお若々しさを保っています。 製薬企業の歴史から分かるのは、知識分野のシフト、つまり有機化学から微生物学、そしてゲノミクスへのシフトが先行企業の中でさらに先に行くための道を切り開いたことで、後発企業を阻むことができたのです。 ハワード・ユー(Howard Yu)IMD教授

三つのレバレッジ・ポイント

ハワード・ユー教授:企業が生き残るために重要なのは、「次の領域をどうやって見つけるのか」、「競争のやり方が次に書き換えられる場所はどこか」を探すことでしょう。その答えを導き出すのに有効なキーワードが三つあります。それが、1)ユビキタスなネットワーク環境の出現 2)知的なマシンの止めようのない進歩 3)人間中心のクリエイティビティの重要性拡大・・・です。 これを実行するには企業のリーダーが意欲的に対応する必要があります。高級ピアノの米スタインウェイやGM、そして多くの繊維メーカーが失敗したのは「長期的な存続のために、セルフ・カニバリゼーションが不可避」であることを受け入れられなかったからです。 これに対して、P&Gやノバルティス、アップルやアマゾンはセルフ・カニバリゼーションを率先して行う必要性を認識していると言えるでしょう。もちろん、これを実行するには企業トップが先陣を切って障害を乗り越える「ディープダイブ」をする決意が必要です。P&Gで創業者一族の最後のリーダーだったウィリアム・クーパー・プロクターは合成洗剤の開発について、「合成洗剤がいま主流の石けん事業を滅ぼすかもしれない。しかし、どうせ滅ぼされるのなら、それはP&Gに滅ぼされるほうがいい」と言っています。 レバレッジ・ポイントの一つ目は意思決定についてです。職人芸が大量生産に負けた時と同じように、私たちは新たな変化に直面しています。それは意思決定の仕方の変化です。勢いのある、競争力のある企業は、経験豊かなマネージャー数人の判断よりも、大勢の人々の知恵に頼るようになっています。すなわち、デジタル革命における「クラウドの知恵」を活用した意思決定手法です。 二つ目は、人間の直感の自動化です。グーグルの「アルファ碁」が人間に勝ったことは、グーグルが先頭を走り続けるうえで深い意味を持ちます。同社をはじめ、フェイスブック、IBM、マイクロソフトといったIT大手は先進的な機械学習専門の研究所を立ち上げています。ただ、ここで言いたいのは、予測分析や機械学習が行われる状況では、スモールデータが非常に重要になるという点です。ビックデータが生成される中では矛盾するようですが、人間の共感と人間学的な観察がより一層重要になると言えるでしょう。 これが三つ目で、クリエイティビティを拡大することによって、AIと人間の専門性が交わり合うということです。 事業のやり方を大胆に変革し、変革を支えるために新たな知識分野を求めることは、どんな業界にかかわらず可能です。さあ、リープしてみましょう。 セミナーでは、自動車の自動運転によって変革される世界について、投資家を説得するには戦略の中に将来の夢や目的を明記しなければならない、AI台頭の時代を生き残るには・・・といったテーマを織り交ぜながら、ディスカッションが行われました。 ディスカッションの様子

ハワード・ユー(Howard Yu)IMD教授

IMD教授。経営幹部向けのIMDのプログラム「AMP」のディレクター。 香港出身。ハーバード・ビジネス・スクールでクレイトン・クリステンセン教授(「イノベーションのジレンマ」著者)に師事、博士号を取得。2015年、「Poets & Quants」の「40歳以下の経営学教授の世界トップ40人」 に選ばれる。2018年、「Thinkers 50」で「組織経営の未来を形作るであろう」30名の経営学者のリストに入る。 最新著作:「LEAP - ディスラプションを味方につける絶対王者の5原則」(ダイヤモンド刊)

デジタルビジネス・イノベーションセンター(DBIC)が活動を続ける理由

設立エピソード

2014年、世界で起きていることを肌感覚で確かめるため、半年をかけて世界を回った。そこで感じた危機感を日本企業に正しく伝え、行動を促すための研究会を発足するために奔走。26社の名だたる企業と世界有数の大学と連携し、デジタルビジネス・イノベーションセンター(DBIC)の立ち上げとともに我々のイノベーションジャーニーが始まった。

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