メンバー企業がシンガポールでプロジェクトを実践するなかで学んできたことであり、世界を眺めるとそれが当たり前になってきています。 「プロブレム・ステートメント」とは、プロジェクトの目的を文章で具体的に記述したもので、対象となる方々はだれか、その方々のプロブレムはなにか、その真因は何か、その解決策はなにか、を端的に描いたものです。 この「プロブレム・ステートメント」、「目的」を持たないプロジェクトは、表層的で対症療法的で、さしたる効果を持たないものになります。つまり、少し便利になった、という程度にとどまることが多いのです。
ハーバードビジネスレビュー2020年3月号「パーパスを戦略に実装する方法」※1の中で「目的を戦略のコアに適用することで戦略の幅を広げることができる」という内容が掲載されています。 「目的」が企業の戦略を2つの角度で広げることができる、と。
この2つの考え方で成果を上げている企業の事例が紹介されています。まさに「目的を持つこと」が企業の活動をドライブしています。シンプルに例えると、「保険会社」の目的を「保険事業を行うこと」と定義するのか、「事故から市民を救うこと」と定義するのかで活動の範囲が大きく異なってくることは容易に想像できます。 しかし、この「目的」「プロブレム・ステートメント」を策定することが実はとても難しい。企画することも難しいうえに多くの方の共感を得るものでなければならないからです。
2020年2月6,7日と2日間にわたって、デンマークデザインセンターによる「リーダーのためのデザイン」というワークショップを行いました。そのときに、クリスチャン・ベイソン氏(CEO)に聞きました。 「日本企業には、企業の目的、企業ビジョンがないのです。あっても、売り上げや利益率を目標としたものか、立派な会社になろうというような超抽象的なものしかありません。これでは、価値創造企業としてのスタートラインにも立てません。企業の存在意義や目指す価値を設定した真の企業ビジョンはどのようにして作成したらいいのでしょうか。」 クリスチャン・ベイソン氏は以下のように答えてくれました。 「2つの要素が必要だ。
つまり、実際のお客様の観察からのインサイトが重要、ということであり、これがまさに「デザインの力」だとの主張でした。 「デザインの力」がないと「目的」「プロブレム・ステートメント」は書けません。 「デザインの力」を武器として持たないとビジョンがつくれない、ということをあらためて感じました。そして、デザインの力を持っている方を会社のコアに据えなくてはいけない、ということが少しわかってきた感じがしました。 ※1 著者
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