【レポート】デンマークデザインセンター(DDC)との提携強化の第一弾ワークショップを開催 特別ワークショップ:リーダーのためのイノベーション by デザイン

その第一弾として2月6日(木)7日(金)の両日、「リーダーのためのイノベーションbyデザイン」をDBIC Tokyoで開催しました。 今回のワークショップは、2019年の「第3回 経営幹部向け海外探索ミッション:スイス&デンマーク」の参加者が現地で受講したDDCのワークショップをアップデートしたもので、DDCのCEOであるChristian Bason氏とシニアサービスデザイナーのBrian Frandsen氏が来日した機会を捉えて、最先端のデザインシンキング理論と実践に基づくトレーニングを実施しました。 DDC Christian Bason CEO(右)とBrian Frandsen シニアサービスデザイナー(左)

デザインシンキングがもたらす価値への理解を深める

冒頭、DBICの西野弘副代表からワークショップ開催について、次のように説明がありました。 日本でもデザインシンキングに注目が集まっているが、テクノロジー寄りの議論に偏っている傾向にある。実際、多数の企業が研修を行ったり、導入するようになっているが、なぜ個人や組織がデザインシンキングを活用しなければならないのかという原点の部分が理解されていない。 今回、デザインシンキングの世界でリーダー的な役割を担っているお二人に講師を依頼したのは、その原点の部分を特にメンバー企業のリーダーの方々に理解してもらうため、また、デザインシンキングがもたらす新しい価値とは何かを知ってもらうためです。

デザインシンキングの概説とDDCの取り組み

ワークショップは、CEOのChristian Bason氏による「デザインがどのような価値を生み出すのか」というテーマの講演をはじめ、優れたデザインが企業のブランド価値をどう向上させ、それによって顧客満足度がどれくらい向上したのかなどのデータ紹介、さらにデザインシンキングを活用したノルウエーの大学病院における診断および治療計画の説明までの革新的な時間短縮プロジェクトなどが紹介されました。 DDCは1978年に設立された半官半民の組織で、その目的は「デザイナーのマインドセットとメソッドを活性化し、新たな価値の創造を促進すること」で、デンマークの社会全体にデザインシンキングの考え方を浸透させる活動を展開しています。 ビジネス社会における競争力強化のほか、福祉社会の充実のためのデザインシンキングの活用、さらに国連とも協調し、持続可能な開発目標の実現に向けた様々な取り組みをしています。

デザインシンキングがもたらした成果事例

Bason氏は、デザインシンキングの考え方が浸透した成果のひとつとして、数年前からデンマークのある銀行がビジュアル化できない提案は行内で採用することがなくなったという事例のほか、DDCが最近、問題解決を依頼されたノルウエーのオスローにある大学病院のケースを紹介しました。 この大学病院では当時、乳がんの診断を受ける来訪者が診断結果を知るまで平均3ヶ月かかっていたそうです。DDCのデザインチームはかなりの時間を費やして、医師や看護師などの大学病院関係者、さらに来院者や患者に対するインタビューを実施し、デザインシンキングの考え方をベースに導き出したのが、大学病院と地域の一般医との連携、新たな予約システムの導入などの解決策でした。 その結果、最終的には診断から治療計画の提案まで4日間で対応できるようになりました。

効果的な実践手法

シニアサービスデザイナーのBrian Frandsen氏によるセッションでは、問題を抱えているユーザーに対して、「どのようなインタビューが有効か」「インタビュー時に気をつけるべきポイント」「ユーザーを観察した後のディスカッションの方法」などについての実践的な講義が行われました。 Frandsen氏は、インタビューで本音を聞き出すために有効な手法として、「インタビューの内容を後刻、相手と一緒に確認する作業が効果的。そのために相手が理解しやすいようなビジュアルな資料づくりが重要になります」といったノウハウも紹介して頂きました。

理解を深める実践的ワークショップ

その後のプログラムでは、参加者によるグループを形成し、「10年後に迎えるであろう日本の高齢化社会における問題点」の洗い出しを行った後、いくつかのテーマに焦点を当ててそれぞれ問題解決に向けた議論を行いました。 ワークショップの参加者からは、「デザインシンキングがこれからの組織にとって、いかに重要であるのかの理由が明確になった」という感想も聞かれました。 DBICでは今回のワークショップの成果を踏まえて、今後、DDCと共同でイノベーションデザインの活用調査および研修プログラムなどを実施していく考えです。

デンマークデザインセンター(DDC)について

 1978年に設立された半官半民の研究機関で、日本の経済産業省に当たる官庁が50%の資本を保有。デザイナーのマインドセットをスタートアップ企業から中小企業、大企業に導入する試みを主に実施。メンバーは、デザイナーからエンジニア、文化人類学者などで構成し、多様性のある組織を標榜しているのが特徴です。  CEOのChristian Bason氏は2007年から2014年にかけて、デンマーク政府のイノベーションチームであるMindLabのディレクターを務め、1998年から2006年までは、国際的なアドバイザーグループであるランボル・マネジメント(Rambøll Management)でコンサルタント、ビジネスマネージャーとして勤務し、組織やマネジメントを担当していました。また、オックスフォード大学サイードビジネススクール(Oxford Saïd Business School)、欧州行政学院(European School of Administration)、コペンハーゲンビジネススクール(Copenhagen Business School)など、複数の教育機関で経営幹部教育分野の客員助教授として教鞭をとっています。 https://danskdesigncenter.dk/en/frontpage

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