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【横塚裕志コラム】UNLOCKした方がいいと思うこと

DBICは、2021年度のキーメッセージを「DX by UNLOCK」とします。
20世紀のままの固定概念を捨てないと、10年後に向けた新しい企業を創造(DX)することはできない、という考え方です。2021年2月にDBICが発表する、DXを実践するためのガイドブックである「エスカレーション・ガイドブック」(EGB)でも、UNLOCKを命題にして、企業ビジョンから組織改革、ビジネス改革、人財育成の21世紀型の新しいモデルを解説します。
このコラムも、2021年は特にUNLOCKに焦点を当てて書いていこうと思います。

時代は21世紀に入って20年を経過しており、大量生産・大量消費の20世紀の考え方から脱皮しないと時代についていけない状況にあります。しかし、相変わらず「昭和の香り」を金科玉条のごとく守り抜いている方々が多い。成功体験が忘れられないのか、時代が変わったことに気が付かないのか、20世紀のままに生きている方が多い。

しかし、「24時間戦えますか」という時代感覚では、21世紀の経営はうまくいかない。まさに、20世紀の世界から解き放たれないといけない。20世紀からUNLOCKされないといけない。そういう想いから、20世紀の風情を時々指摘してみようと思う。昭和の良き風情は吉田類氏にお任せして、私たちは新しい時代の新しい感覚で経営していかなくてはいけない。

1.経団連会長(中西宏明氏)の年頭あいさつを例に引いて

「(DXについて)政府はまだ遅れているが、多くの日本企業は手を打っている」との発言が報道されている。どの組織でもトップの年頭あいさつは恒例で、年頭だから明るいことを言おう、というのが昭和の常道になっている。
しかし、黙っていても人口が増え、売り上げが右肩上がりの時代はそれでいいのかもしれないが、21世紀の時代にこれでは「共感」が得られない。量より価値を創造しようという時代に、あえて危機感は言わない方がいいという判断は古いと私は思う。せっかくの年頭であるからこそ、その組織が持つ危機感を本音で語ることが必要だと思う。そうすることで、組織の内外に多くの共感者を得ることにつながり、その共感が創造となって芽を吹くのではないだろうか。

年頭に限らず、トップの挨拶はなるべくネガティブなことは言わない方がいい、というLOCKが多くの企業にかかっていると思う。それは早くUNLOCKして、本音で危機感を語るトップ像を創ることが求められていると思う。そのスタンスこそ、企業ビジョンのベースとなるし、創造企業への第一歩だと思う。
ただ、トップの挨拶は社長室のスタッフが書いているケースが多いので、そのスタッフの頭をUNLOCKしないといけないし、それをチェックする室長の頭も変えないといけない。さらに言うと、危機感をスタッフが書けるのか、という本質的な課題に直面することになるであろう。だから、昭和を捨て去ることは簡単ではない。しかし、これができなければ、20世紀型の原稿棒読み社長を生産し続けるだけで進歩はない。

2.ORIGAMIでの朝食を例に引いて

2021年1月7日の朝、首相は例によって赤坂のホテルのレストランで秘書官と会食をしている。その7日の午後、国民に向かって「会食がコロナの最大のリスク」と訴えた。まさに「国会議員は偉くて特別なものだ」という特権意識にLOCKされている典型だと感じた。昭和の時代は、国会議員に限らず企業内でも、上・下という感覚で人を格付けする。社長は偉くて平社員は口もきけない。役員専用食堂や役員専用エレベータまで普通に存在する。国会議員は、新幹線も乗り放題など多くの特権を有するらしい。この上・下という概念でLOCKされたまま、21世紀の新しい時代を生きていけるのだろうか。もちろん、他者への敬意の念は大事にするべきと思うが、それは階級が上下という概念とは違う。大企業の社員は、スタートアップに対して上から目線で扱う態度の人が多い。常に上下を意識するというLOCK常態で生きている。これでは、創造のための「共感」は得られない。10代のグレタ・トゥンベリさんが国連で噛みつくように、誰もが自由に発言する文化へUNLOCKしていかなければ「創造」する国・組織になれない。くしくも、経済同友会の櫻田謙悟代表幹事が2021年の年頭あいさつで「イノベーションを生み出すために、ダイバーシティが重要だ」との旨を発言しているが、このダイバーシティも人に上下はないというUNLOCKがされなければ実現できないように感じている。

スウェーデンでは、国会議員はタクシーにさえ乗らない、ということを聞いたことがある。デンマークでは、社長に平社員が普通に「元気にやってるかい」とあいさつすると本で読んだことがある。実はこれらの国が世界競争力ランキングの上位を占めている。上下をつくらないという考え方がなぜ競争力に関係するかは、DBICの次のVISION PAPERで分析する予定であるが、日本にとってはとっても大事なUNLOCKだと私は感じている。

今回は以上ですが、今後もUNLOCKについてシリーズで書いていく予定です。

著者紹介

横塚 裕志 Yokotsuka Hiroshi
一橋大学卒業。1973年、東京海上火災保険入社。2007年に東京海上日動火災保険の常務取締役に就任、2009年に東京海上日動システムズ株式会社代表取締役社長就任。2014年より特定非営利活動法人CeFIL理事長となり、2016年にデジタルビジネス・イノベーションセンター(DBIC)を設立、以降代表を務める。DBICでは日本を代表するメンバー企業約30社と共に、DX促進や社会課題の解決に取り組んでいる。
  • 特定非営利活動法人CeFIL 理事長 / DBIC代表
  • 日本疾病予測研究所取締役
  • 富山大学非常勤講師

デジタルビジネス・イノベーションセンター(DBIC)が活動を続ける理由

設立エピソード

2014年、世界で起きていることを肌感覚で確かめるため、半年をかけて世界を回った。そこで感じた危機感を日本企業に正しく伝え、行動を促すための研究会を発足するために奔走。26社の名だたる企業と世界有数の大学と連携し、デジタルビジネス・イノベーションセンター(DBIC)の立ち上げとともに我々のイノベーションジャーニーが始まった。

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