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【レポート】DBIC2021年度サービス説明&意見交換会

2020年12月16日(水)、DBICでは2021年度DBICサービス説明&意見交換会をオンラインで開催しました。説明会は、DBICの2021年プログラム・サマリーから始め、2020年の活動報告として「発達障がい」や「睡眠障がい」、「働く女性の健康問題」といったソーシャル・イノベーション・プロジェクトの紹介と2021年2月に発刊予定のEGB(DXガイドライン)の説明、最後に2021年のDX留学プログラムの詳細説明がなされました。説明会は、参加者の交流を図り、互いの理解を深めるための対話の時間をはさみながら進められました。

本レポートでは説明会の内容を再構成してお伝えします。

横塚裕志: まず、DBICが2021年にかける思いからお伝えしたいと思います。私たちの思いはたった1つでして、「なぜ、DX(変革)は進まないのか」ということです。これについては今後、メンバー企業の方々とさらに突っ込んで議論を深めたいと思っています。DXは、企業が10年後も一層輝いていられるように今からビジネスモデルを変革したり、あるいは人財の育成、組織の能力向上などの変革に取り組むということです。11月28日ですが、DBIC TOP会議をメンバー企業16人の役員の方々にお集まり頂いて、マイケル・ウェイドIMD教授、それからシンガポール駐日大使のピーター・タンさん、コニカミノルタの山名昌衛社長をスピーカーにお迎えして意見交換を行いました。
「なぜDXが進まないのか」ですが、私はこう思っています。「能力がないからDXができない」、やや厳しい言葉ですが、これに尽きるとDBICでは考えています。残念ながら、それぞれの会社にDXを進める能力がないから、不足しているから、ということになります。
2020年7月に「DBICビジョンペーパー」を制作して皆さまにもお配りしました。その中の最初の問題意識はIMDの世界競争力ランキングで日本が毎年毎年順位を下げていって、2020年6月に発表された総合順位では34位、ビジネスのジャンルだけでいうと55位に転落しました。この30年間で世界のゲームの内容は変わっている。世界は株主第一主義、そして売り上げ拡大主義ではなく、いかに価値を創造していくか、そこに会社の存在意義をどう求めるかというESG(環境、社会、ガバナンス)経営に移行しているのにそれに気が付かないままでいます。ビジョンペーパーでは、日本では真剣に野球をやっていたのだけれど、いつの間にか世界のプレー内容がテニスに変わっていたという例えを使っています。
また、価値観も180度、変わったわけです。株主だけではなくて、お客さま、従業員、あるいは環境など、あらゆるところにステイクホルダーがいる。全体に価値をなしていくというビジネスにしないといけない。だから、我々は自分の価値観、マインドを全部リセットして、新しい世界にどのように向かうのかということをトレーニングし直さないといけない。現にDXを進めるといっても、どういったテーマで進めるのかという課題の定義がほとんど出来ていません。そうしたことからDBICとしては2021年度、UNLOCKにテーマを絞ってプログラムを構築していきます。最後に会員制度改定の話です。A会員とB会員の区別をなくし、年会費1社600万円に一本化します。是非、仲間を増やすことにご協力ください。宜しくお願いします。

西野弘: 私の方からは2021年度のプログラムについてご説明します。ご存知の通り、DBICは4つのDを主要なサービスとしています。①デジタル・トランスフォーメーション②デザインシンキング③ディスカバーマイセルフ④ダイビングプログラムの4つです。3年半くらい、これでやってきています。2021年度もこの基本コンセプトはそのままに押さえながらやっていきたいと考えています。今年7月には半年以上の編集作業を経て「DBICビジョンペーパー」を発刊しました。本来は予定していた六本木でのカンファレンスの中で大々的に発表しようと考えていたのですが、このコロナ禍で開催できず、ビジョンペーパーだけを発表する形を取りました。ただ、お蔭様でいろいろな方々からフィードバックを頂いております。それに続いて企画しているのがEGB(エスカレーションガイドブック)ですが、これはビジョンペーパーを読まれた方から具体的にどのように進めていったら良いのですかという質問を多く受けましたので、これに答える形、また何かサポートできないかということで出版を決めました。2021年2月には発刊できると思います。その一環として準備を進めているのが国内留学DXプログラムです。これについては後ほど、担当者から詳しくご説明します。

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上図が来年の全体のプログラムのイメージです。先ほどご説明したビジョンペーパー、EGB、国内留学DXプログラムという3本の柱を軸に立体感のあるプログラムを推進していきます。それに部長会であるとか、今年出来なかったフォーラムであるとか、TOP会議であるとかを組み合わせていきたいと。
また、会員企業とのリレーションも強化していきたいと考えています。会員企業のプロファイリングやコミュニティ・マネジメント支援、個人としてのエンゲージメントなどです。
DBICのオフィスは2020年10月に恵比寿ガーデンプレイスに移転しましたが、その際、「DBIC Me Tubeスタジオ」というものを併設しました。我々も情報発信の拠点として活用しますが、メンバー企業の方々にも積極的に活用して頂きたいと考えています。いろいろな企画もしていきたいと思っています。

渋谷健: 私の方からはUNLOCKについてお話しさせて頂きます。今、手掛けているEGB出版ですが、一部のメンバー企業の方々と白熱した議論を進める中で分かってきたことが、「DXは経営の血を入れ替えるくらいの大きな変革」なのだということです。そのためには今ある状態に捕らわれていてはダメだということです。止まっていてはそこから抜け出せないままだということです。最初に必要なことは危機感を共有できる「心理的安全性」なのですね。意外なことですが、皆さんは会社で危機感を口にすることが許されない。「この会社、今のままだと10年後に潰れてしまう」ということが皆さんの会社で普通に言えない。ですから、これをちゃんと言えるようにしましょうと。それにエビデンスをつけてしっかり検証していきましょう。変革を進めていったら、今のビジネスがなくなってしまうということを乗り越えてこそ、原点に戻って何をすべきかが見えてくる。議論する中で分かってきたのが、このUNLOCKが社内で20%の人で共有できるようになると変化の兆しが生まれてくることです。しかし、UNLOCKというのは扉の戸が開いただけという状態です。その後に扉から踏み出せればUNCHAINになり、それをムーブメントに変えて、それで初めてTRANSFORMに着手できる。DXの道は険しいのです。

西野: 次にDBICのソーシャル・イノベーション・プロジェクトについてお話しします。「発達障がい」と「睡眠障がい」についてです。実際、この2つを合わせると学校で16%超えと言われています。40人学級ですと8人くらいの子どもが何らかの症状を持っていると。かなり深刻な状況にあるわけです。日本はすでに眠らない国として世界でも有名です。まず、睡眠障がいですが、熊本大学の三池輝久先生の協力を仰いで、睡眠障がいの状態をセルフチェックできるアプリを開発して実証実験を行いました。2020年9月から、3か所の小学校で実施しました。4年生、5年生ですが、300人ほどデータを収集しています。なぜ、4、5年生かと言うと、ちょうど学習塾に通い始めたり、ゲームやスマホをいじるようになる時期だからです。このDBICの活動内容はお蔭様で9月にNHKで取り上げてもらいました。「おはよう日本」で9分のニュースとして放送されました。2021年2月以降に、追加で5,000人から1万人の実証実験を実施する予定になっています。

次に発達障がいですが、これも大変な課題です。これは埼玉の国立障害者リハビリテーションセンター病院の病院長らの協力を仰ぎながら、野村総合研究所のチームが中心になって統合ポータルを構築するというプロジェクトの支援に乗り出しています。まさにデザイン・シンキングを用いたカスタマー・ジャーニーマップを作っていて、これは2021年3月末には完成予定です。

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岩井秀樹: DBICの岩井です。私からは「働く女性の健康問題」プロジェクト(上図参照)の話しをさせて頂きます。日本医療政策機構の調査によると日本で働く女性2,500万人のうち17%が婦人科系疾患にかかる可能性があり、医療面、生産性の面での経済損失は6兆円になるという風に言われています。また、女性ホルモンに関する正しい理解がないと、それだけで約5,000億円の労働損失を被るとも言われています。プロジェクトは、女性がキャリアを諦めないとか、企業として労働力の損失にならないようにするということをテーマにやってきました。このプロジェクトにご参加頂いたのが、リンクレア、住友生命保険、セイコーソリューションズ、大日本印刷、日本ユニシス、インフォテックの各社です。キャリア・子ども・健康を諦める女性予備軍を救いたいというテーマでプロトタイプづくりをやってきました。住友生命さんと日本ユニシスさんが女性ホルモンを検査して体調と仕事のバランスをとるツール、そしてDBICディレクターチームで自律神経の測定をして適切な体のメンテナンス支援をするツールの2つのプロトタイプをつくりました。今後は、2つを合体したような形でのプロジェクトを進めていけたらと考えています。

西野: 次にさきほど触れましたEGBのサマリーをご説明します。企画の概要を一言でいうと、ビジョンペーパーで経営者向けに発信した提言をこのEGBでは具体的にどう進めていったら良いのかという手順や方法をまとめました。この編集にはメンバー企業から、コニカミノルタHD、住友生命、大日本印刷、東京電力HD、野村総合研究所の5社10人の方々に参加して頂きました。ビジョンペーパーは経営層に対する提言をまとめたもの、このガイドブックは経営層が腹を決めて変革に乗り出す時にどのようにやっていったら良いのかを示したものになっています。EGBはいったん2021年2月に出版しますが、当然、未完成でありますし、今後も様々なご意見を頂戴しながら改訂して参りたいと思っています。DBICの中に専門で研究するチームを立ち上げたり、実際に活用してみて浮上した課題などのデータも今後積極的に共有していきたいと思っています。そういった試みでガイドブック自身が常に変革していくというスタイルを構築していきたいと思っています。

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鹿嶋康由: ここからは2021年度のプログラムの詳細を説明したいと思います。全体像は上の図をご参照ください。次に、「DBIC国内留学DXプログラム」ですが、下図にあるような内容です。約3か月の実践トレーニングと3か月のフォローアップで構成しています。タイトルに留学としましたのはそれくらいの時間をコミットして欲しいという思いからです。ブートキャンプから始まってアート思考、デザインシンキング、ビジネス・アジリティ、IMDハイブリッド、EGBの6つのプログラムで合計130時間になります。

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次のビジョンペーパーは現在、準備中ですが、「賢い小国から学ぶ未来」です。小さな国でありながら、IMDの競争力ランキングでなぜ上位にいるのか、それらを学んで、我々が何をしなければならないのかを研究するプロジェクトです。
「シンガポールスマートタウンプロジェクト」というものも企画中です。シンガポールのCapitaLandグループが提供している5Gスマートタウンの実証プロジェクトへの参加です。これはコロナ禍が落ち着いたら参加できるのではないかと思っています。
デンマークデザインセンター(DDC)との共同プロジェクト「Deep Dive」について、これはEGBとも絡んでいるのですが、世界のデジタル推進のケーススタディーがどのように行われているのか、それらをどういう構造で捉えて、変革しているのかを研究していく考えです。

以上、ご清聴、ありがとうございました。

以上

デジタルビジネス・イノベーションセンター(DBIC)が活動を続ける理由

設立エピソード

2014年、世界で起きていることを肌感覚で確かめるため、半年をかけて世界を回った。そこで感じた危機感を日本企業に正しく伝え、行動を促すための研究会を発足するために奔走。26社の名だたる企業と世界有数の大学と連携し、デジタルビジネス・イノベーションセンター(DBIC)の立ち上げとともに我々のイノベーションジャーニーが始まった。

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