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【横塚裕志コラム】DX戦略を進める4つの実践モデル

皆さんが自社のDX戦略を客観的に俯瞰するためのテンプレートとなるように、DXを4つの実践モデルに体系化する試みを行った。(私的な仮説)
4つのモデル別に、チームの作り方・投資・撤退の考え方・スケールアップの考え方・CDOの役割などが異なると思われるので、DXを一律にとらえるのではなくモデル別に意識して異なる戦略を検討すべきと考えたからだ。

〇DXの4つの実践モデル

1. 本業を新しいビジネスに変革する:

 1-a.本業を新しいサービスモデルに変革する

 1-b.本業を構造改革して新しい価値モデルに変革する

2. 新規ビジネスを新しい産業として創造する:

 2-a.自社が主となって新規ビジネスを創造する

 2-b.新規ビジネスを運営している会社をM&Aして本業にする

わかりにくいので、具体例で説明する。

 1-a.自動車の製造販売業から「移動サービス業」に本業をシフトする

 1-b.自社デザインの製品からお客様のデザインによる製品に変革する

 2-a.食品産業が長期的な食糧不足を展望して「細胞農業」に進出する

 2-b.「細胞農業」を始めた企業をM&Aして本業のリソースでスケールする

〇DXは一律ではない

DXの具体的な考え方や進め方は上記の4つのモデルでそれぞれ異なってくる、と考えるのが自然だ。1-a,1-bでは、会社全体のすべての部門の参画が必要となり、また、失敗は許されるものではないし、投資額も大きくなり、本業としてのスケールも要求される。一方、2-a,2-bでは、スタート当初は失敗覚悟の多くのチャレンジが必要で、投資のポートフォリオマネジメントが重要となってくる。そして、チャンスを見てスケールアップしていくというプランになる。ビジネス書やメディアでDX情報が多く存在するが、どのモデルを想定して語っているのかをよく分析してみることが必要だ。失敗することが大事とよく言われるが、失敗してはいけないことも多くある。

また、自社の「DX戦略」をこの4つのモデルのテンプレートで俯瞰してみることもお勧めする。意外と、いったい何をしようとしているのかがわからないDX、短期的な既存ビジネスの効率化をテーマにしたDXなどを多く目にする。例えば、デジタル庁が日本の行政をどのような姿にどのようなアプローチで変革していこうとしているのか、メディアの報道では見えてこない。目の前の短期的な課題に着目することも必要だが、長期的な展望を持ったビジョン・戦略がないと、せっかくの投資が効果を発揮せずにだらだらと衰退していくリスクがある。どこに向かって進んでいくのかを明確にすることが、とてもシンプルだが、重要で難しい。

著者紹介

横塚 裕志 Yokotsuka Hiroshi
一橋大学卒業。1973年、東京海上火災保険入社。2007年に東京海上日動火災保険の常務取締役に就任、2009年に東京海上日動システムズ株式会社代表取締役社長就任。2014年より特定非営利活動法人CeFIL理事長となり、2016年にデジタルビジネス・イノベーションセンター(DBIC)を設立、以降代表を務める。DBICでは日本を代表するメンバー企業約30社と共に、DX促進や社会課題の解決に取り組んでいる。
  • 特定非営利活動法人CeFIL 理事長 / DBIC代表
  • 日本疾病予測研究所取締役
  • 富山大学非常勤講師

デジタルビジネス・イノベーションセンター(DBIC)が活動を続ける理由

設立エピソード

2014年、世界で起きていることを肌感覚で確かめるため、半年をかけて世界を回った。そこで感じた危機感を日本企業に正しく伝え、行動を促すための研究会を発足するために奔走。26社の名だたる企業と世界有数の大学と連携し、デジタルビジネス・イノベーションセンター(DBIC)の立ち上げとともに我々のイノベーションジャーニーが始まった。

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