「デジタルの脅威」そして「サステナブルの脅威(資源・成長・適応・持続の限界)」という大きな二つの幽霊が企業を襲っている。企業は、自社のビジネスを根底から変革しなくては生きていけない危機にさらされている。
しかし、この二つの幽霊は過去には出てきたことがない幽霊であるために正体がよくわからず、これらを駆逐するための戦略を描くことがかなり難しい状況にある。DX戦略もデジタルという手段に偏っていることが多く、ビジネスの変革を狙ったものはほとんど見られない。では、なぜ戦略を描くことが難しいのだろうか、3つの理由があるように思う。
このピンチをチャンスに変えるには、二つの戦略が必要だと思う。
さて、「変革リーダー」を考えてみよう。大企業であれば社内の「デキル人間」を
変革推進組織にアサインすれば変革が進むと考えるのが常識だ。しかし、これが「誤解」であり、大誤算なのだ。私自身もDBICで活動するまでは誤解していた。多くの方が理解できないかもしれない。だって、偏差値の高い大学を卒業して、社内の競争を勝ち抜いてきた「デキル人間」ができないはずがない。もっと言えば、それ以外にどうすればいいのか、というのが大企業の言い分だろう。しかし、「できない」のが現実だ。多くの企業でDXの「X(ビジネス変革)」が行われていない現実、DXと言っても既存ビジネスをデジタル化しているに過ぎない現実を見れば「誤解」だということがお分かりいただけると思う。
DBICでも、デザイン思考の研修では、混じって参加した中学生・高校生の発想力が企業人をはるかに上回るという事実に驚き、実際の起業研修でも、市民の困りごと、社会課題を市民からの目線で感じるセンスが企業人には全くないことに愕然とする。
日本の社員には決定的に欠けているものがあり、いかに「デキル人間」でも、それが充足されないかぎり変革プロジェクトを進めることができない、という事実に気がつく必要がある。それは何か。以下の2点が大きな課題だ。
大企業の社員のほぼ100%は、この「洞窟住まい」と「認知の枠」という自身の内面に棲みついている二つの幽霊の魔術にかけられている。この魔術は限りなく視野を狭め、思考を止めている。従って、なにか新しいことをお誘いすると、それはうちの仕事ではない、上司に説明できない、忙しい、予算がない、という常套句で断ってくる。
この魔術を解いて目を覚まさない限り、今までの枠を超えたビジネスの発想、チャレンジはとてもできない。「デキル人間」でも、この魔術にかかったままでは新しい発想はできない。だから、デジタルスキルやデザイン思考を学んでも、それが身につかない。そこを多くの方に理解していただく必要がある。
そして、この魔術を解くためには、半年くらいの期間をかけたトレーニングとコーチングが必要だ。小・中・高・大と先生が求める「正解」を当てる教育を受け、会社に入ってからは組織の一員として黙って働けと言われ続けてきた我々にとって、見失ってしまった自分を取り戻すためには一定の時間と優れたコーチが必要だ。
この二つの魔術から覚醒するトレーニングが人財育成のベースとして必須のプログラムであることを日本企業は十分理解する必要があると考える。
よく二つの質問をいただく。
「洞窟から抜け出たら会社のために働くことをやめてしまうのではないか」。それは杞憂で、俯瞰した立場から本来のビジネスを企画する自立した人財に間違いなく育ち、まさにそのことが会社に貢献することになる。
「洞窟から抜け出たら、会社をやめてしまうのではないか」。そのリスクよりも会社を変革する人財を育成することの方が重要と考えるべきだ。洞窟に関係なく今や雇用の流動性は高くなっているのだから。
肌で感じていただくために、魔術から覚醒した人のコメントを紹介する。DBICは魔術を解く研修を「QUEST」と呼び、この2月に初めて半年間のプログラムを卒業した方が10人いる。彼らのコメントはおおよそ以下のような感じだ。
「本当にスタートラインに立った!」
「今は何でもできる・やれる気がしています。」
「自分の言葉で語ることにより実現性が増す、自分に対する期待値がある。」
「自分だけでは出来ないことだらけで、それを一つ一つ紐解きながら、如何にして仲間と共に歩むことが出来るのか。」
「人生をとり戻し豊かな人生を生きることのスタートライン」
「自分が心の底ではなんとなく思っているけれども、なんとなく人に話すべきではないよな(言ってはいけない)、と思っていること(言いにくいこと)を吐露することがUNLOCKなのかな、と思いました。」
「自分の枠を超えることが、力強いことであると感じた。」
「パーソナルビジョンは永遠に磨き続けるものと思った。」
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