【レポート】2022年 UNCHAIN QUEST

文責:渋谷 健(DBICディレクター)

DBICの中核プログラムの一つである、組織変革リーダー育成プログラムのUNCHAIN QUEST。2022年度は上期、下期の2回開催いたしました。今回はプログラムの様子と、そこから得られた学びをレポートいたします。


2022年度の上期は5月のゴールデンウイーク明けから8月上旬、下期は8月下旬から12月中旬にかけて、それぞれ約3か月間にわたって開催。共通テーマは変革の実践。DX推進やイノベーション創出などに取り組むリーダーが参加し、自分自身が実際に抱える課題を持ち込み、セッションと参加者相互の関わりの中でその解決策を創り上げていきました。非常に当然のことではありますが、知識は実践に活かしてこそ意味があります。こうした課題意識を持って参加いただくことは、本人の学びを深めるだけでなく、他の参加者や周囲との関係性を発展させ、実践につながる大きな力を得ることにもつながっていきます。

UNCHAIN QUESTでは変革に向けたマインドセットを持っていることが大前提となっています。このためまずはそのマインドセットの確認のためのブートキャンプからスタート。その後は全7回にわたるチームインサイトのセッションで、アート・シンキングやデザイン・シンキングの根本的な考え方を理解したうえで、自分と組織と社会をつなぎ直し、取り組むべき変革へのアクションの骨格を整理。2日間のビジネス・アジャイルのセッションでは事業環境の激しい変化にいかに対応し続ければよいか、その考え方と手法を身に着け、周囲を実際に巻き込んでいきます。EGB基礎では2日間を使って、DBICがまとめたDXのための手引きであるEGB(DX Escalation Guidebook)をもとにして自分自身と自組織に必要な変革の在り方とアクションを探究。最終回にはUNCHAIN QUESTの先にある真に求められる変革の実現へのコミットメントとアクションプランを発信。その後の実践につながっています。なお、プログラムはセッション当日だけでなく、セッションの間にも課題が毎回のようにありました。参加者それぞれが精力的にこの課題に取り組んだことが成果に結びついた大きな要因であることは言うまでもありません。

あらためてディレクターとしてUNCHAIN QUEST全体を振り返ってみると、大きな気づきの一つに、「学びとは投資であり、変革を実現して未来を築くための戦略・戦術である」というものがありました。学びは事業、実務と切り離してはいけないのです。仮に実務と切り離した学びの場があったとして、それは単に負担を増やすだけであり、効果も期待できません。一方で事業活動や実務とリンクしていれば、学びの機会を通じて飛躍的な進化を得ることも期待できます。少なくとも実践の機会を得ることで、理屈だけでなく感覚的にも学びを蓄積することが可能になるからです。加えて実践を行うことで関係者から自然とフィードバックを得ることができ、学びの質を高めることも十分に期待できるのです。

また学びを得るためには準備が必要だということも気付きとしてありました。どんなにいい道具をもたされたとしても、それを扱う意図がなければ、そしてそれを扱ってたどり着きたいゴールが明確でなければ、結局無用の長物になってしまいます。つまり前提としてのマインドセットは非常に重要になります。UNCHAIN QUESTはトランス・パーソナルやUNCHAIN QUESTで得られるマインドセットを前提としているからこそ、短期間で高度な知見を提供しても、それが実践につなげることができたと分析しています。

実際、参加者の最終成果を見てみるとマインドセットをより強いものに深化させ(深堀)、自らのチームの在り方を実践によって進化(発展)させていました。何よりも自分自身の器を大きく発達させ、会社を外から見る、社会の視点で見ることを可能にしていました。何かを変えるためには、それよりも大きな器(視野・視座)から捉えなければ実現はし得ません。それを体現していっていることは大きな成果だったといえます。

一方でまだUNCHAIN QUESTで見えてきた成果は"駆け出し"でしかありません。組織を変革することは一朝一夕でできることでは当然なく、長い旅を進めていくことが必要になります。そして社会にインパクトを与えることができなければ、その変革は真の意味を成さないのです。ただ、すでにその旅を進めていくだけの準備は参加者それぞれにできています。これから先、どんな未来が待っているか、DBICとしてもその旅をこれからも支えていきたいと思います。

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