文責:渋谷 健(DBICディレクター)
変革マインド形成のためのプログラム、UNLOCK QUEST。2022年度のプログラムは、上期は6月から8月まで、下期は11月から2月初旬までそれぞれ約3が月間にわたって開催。その内容はインプット型の研修ではなく、本気の実践を前提とし、事実参加者によるアクションも多数生まれています。今回はその開催レポートをお届けします。
UNLOCK QUESTの背景にあるのは、DBICがもつ大きな問題意識。それは日本がこの30年間で失ったものは、気づき、学び、考える力だということです。だからこそこのプログラムでは個を探求し、気づき、学び、考える力を取り戻し、変革の実践へと踏み出す意思を持って踏み出していくこと、すなわち変革マインドを自分のものにしてもらうことに焦点を当てています。
プログラム自体はDBICの恵比寿のセミナールームでのオリエンテーションから始まり、対話をしながら今、自分自身が真に向き合うべきことは何かを探求していきます。そしてオフサイトでの合宿。いつもとは違う場所で、いつもとは違う仲間と、いつもとは違う深い探求。とくに直接自然環境を感じることで、体感的にも世界の問題を捉えて、その視点から自分の関わる事業の意義、組織の状況、自分自身のあり方を捉え直し、未来の可能性を直観的に創発していきます。そして再び恵比寿でその可能性を言語化。さらに実現に向けたアプローチとしてリベラルアーツやマネジメント手法(プラクティカル・マネジメント、アジャイル・マネジメント、コミュニティ・マネジメント)を学び直し、自分自身が取り組む変容のマスタプランとして落とし込み。最後は実践の意志を改めて確認し、参加者それぞれに未来に踏み出していっています。
UNLOCK QUESTの最大の特徴はマインドセットに焦点を当てた徹底したコーチング。オンライン・チャット形式のデイリーコーチングによる日々の振り返りとフィードバックはもちろんのこと、各セッションではそれぞれアウトプットを取りまとめプレゼンテーション動画を提出し、コーチからのフィードバックを得ます。さらには参加者同士でもフィードバックし合うことで、フィードバックを受ける側としてだけでなく、する側の視点からも気づきを得られる仕掛けとなっています。また必要な知見を補完するためにプログラム期間中にトランス・パーソナルのオンデマンド・セッション(イーラーニング形式)を全て受講し、不明点などがあればコーチや参加者同士で随時フォローする体制がとられています。
3ヶ月にわたるUNLOCK QUESTは確実に参加者のマインドを変えていきました。例えば上期参加者の皆さんは、変革マインドの重要性を理解したがゆえに、それを伝えるための難しさと機会の少なさに強い問題意識を持ちました。ゆえに自らチームを組成して自主的な取り組みとして「トランス・パーソナルへのいざない」の企画を立ち上げ、実際に場を設けて仲間を増やしています。また社内での変革コミュニティの形成を進め、桑岡さん(富士通)は社内にFujitsu Creative Guildを立ち上げ、多くの仲間を巻き込んだ活動へと発展させています。下期も参加者同士でのDXの課題を共有し、解決策を探っていくための場を継続的に展開。異なる業者や職種、立場からの多様な視点で、いい意味で寄ってたかってアクションを創り上げる動きが加速しています。
改めてUNLOCK QUEST全体を振り返ると、本当にマインドセットが重要であることを痛感させられます。マインドセット自体を築き直すことができなければ、昨今言われるリスキリングは形骸化しますし、人によって構成される組織は表面を変えるだけで実質的に何も変わらないことになります。当然、DX推進やイノベーション創出などは叶いません。一方でマインドセットが変わるだけで、学ぶこと、考えること、そして実際に動くことの質が大きく変えることができます。少しの変化が大きな成果につながり得ます。今回の参加者の皆さんの成果から、UNLOCK QUESTはそのためのDBICの知見が集約されたプログラムになったと捉えています。
一方でUNLOCK QUESTは変革の入り口にすぎません。本当に変革を形にするには社会システムの視点から組織や人の在り方を問い、具体的な価値につなげるための本質的なデザイン・シンキングや、そのためにデータのエコシステムを描くアプローチ、さらには変化に適応し続けるアジャイルなビジネスデザインなどの知見が不可欠です。加えてEGB(DXのための実戦の手引き DX Escalation Guidebook)などに基づいて変革への具体的なアクションを描き、実践することが必要です。UNCHAIN QUESTやその先の事業としての実践までも含めて、DBICとしてこれからも参加者の皆様の仲間として支え続けていきたいと思います。
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