【レポート】企業変革シリーズ第27回「未来を拓く経営リーダーシップ教育の確立に向けて」

野田さんだから見られる最前線の景色があり、野田さんだから気づける様々な境界線もあるのだろう。そしてその野田さんだから切り開ける道があり、これまでの挑戦とさらなる挑戦がある。第27回の企業変革シリーズでは、講演頂いた至善館の野田さんの生き方、邁進する姿の一端を垣間見ることができた貴重な120分だったように思う。

講演は野田さんの自己紹介から始まった。彼が経験してきた既存の欧米のMBAを否定、それらは20世紀の遺物であり、これを追っていては日本が変われないと悟った彼は自分で動く。これが至善館の前進であるISLの誕生であり起業家としての野田さんの15年の幕開けだったようだ。
彼はその答えとしてまったく新しいMBAプログラムを組み立てる。「全人格育成(リベラルアーツ)」→「経営者育成(経営政策・ビジネス)」→「リーダー人間力(体験学習・東洋思想)」の流れである。講演の中で、故小林陽太郎氏の追悼会とISL紹介ビデオが流されたがそこには蒼々たる各界のトップランナーとの様々な挑戦が映っていた。

彼のメッセージは極めて明快だったように思う。
まず真のリーダーシップとは何か?を再定義する。その過程でマネジメントとの違いも明らかにされる。ここでリーダーシップとは変革と創造に挑むことであり、巷で言われる組織のヒエラルキーを前提としたトップ像をばっさり否定する。ここで描かれる真のリーダーは、変革と創造に挑み、ひとりでゼロ(無ではなく不)から新しい世界を作り出す人(始めた時は単なるバカ者、周りがついてきて結果としてリーダーになる人)のことである。
ここでリーダーシップは破壊的・創造的であるに対して、マネジメントとは課題解決、事業の安定・継続のための仕掛けであり、対照的に整理されていたのは非常にわかりやすかった。

次に結果としてリーダーになる人は何に挑戦するのか?彼はその要素として3つあげる。
1つめは、見えないものを見る力を持つことで、自分がどうしても実現したい、見えている1%から見えない99%を探し出す力を持つことを指す。どうしても実現したいことは周りの課題や健全な義憤からスタートする(無ではなく不)ことであり、そのためには深い洞察力を持つことが求められる。彼がリベラルアーツの重要性を説く理由のひとつはここにある。
2つめは自分の内から湧き出る思いや意志(Will-Power)が必要であり、これは外から与えられるものでもなく、自分の存在意義と向き合うことでしか出てこない力である。真のリーダーは熱い自分の思いがなければ超えられない、DBICでトランスパーソナル等のプログラムに参加される会員の皆さんも共感する部分だと思う。
最後となる3つめは、自分の志がみんなの夢になる挑戦をすることが必要であると説く。
つまり、自分が見たいものを見るためには、私心(私利私欲)を超えて他者(利他)を考えることが必要。リーダーシップは挑戦をする過程で成熟してゆくものであり、人に支えられていることに気付き、感謝(おかげさま)できる心を持てるかが大事で、それが責任を引き受ける意志を生むことになると展開する。

彼は日本の組織社会での最大の課題として、「不真面目な優等生」という表現をつかって、与えられた課題をそつなくこなし、それをやることで頭を撫でられることに快感をもつ人々が氾濫していることに警鐘を鳴らす。リーダーは真面目な不良でなければならないと強調する。つまり、誰も関心を持たないことでも、社会と企業と自分が必要と思うことを率先してやるのがリーダーで、日々の忙しさにかまけてやったフリをする(彼はアクティブ・ノンアクションと表現)の罠にはまってはならないと強調している。

そして、現在の至善館の挑戦へ話は展開する。ビデオでは、限定されたサークルの中から、どうやってオープンなエコ社会へ広げていくか?変革期に必要な実践的なリーダーをいかに輩出するか?の実践的な取り組みが紹介されていた。

山登りに例えれば、DBICも至善館も登るルートや手法も違うものの、日本企業をなんとかしなければという危機感、また世界に再度追いつき世界の中で大きく発信する新しい社会の姿づくりを目指すゴールは非常に近いことを改めて感じたのは私だけはないだろう。私としては、また新たな同士を見つけたような喜びがあった。

最後に、今回の登壇をお願いしたかつての職場の同期としてひとこと
野田君、これからもお互いの道を全力で駆け抜けよう。君が自分の人生設計を15年ごとにマイルストーンをおいているやり方は本当に素晴らしいね。お互い引退はない、次の一里塚(70才?)でまたいっしょに振り返る時間を持ちたいね。今回の登壇、本当にありがとう。

(DBICディレクター 島崎)

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