【横塚裕志コラム】組織のカルチャーを正しくしないと何も始まらない

1. 組織のカルチャーを語るパナソニック
コネクトの樋口社長

日経ビジネス電子版の記事(2022.4.1)で、パナソニック コネクトの樋口社長は以下の通り、企業文化や個人のマインドについて語っている。

「45歳で日本ヒューレット・パッカードの社長になり、ダイエー、日本マイクロソフトと経営トップを続け、いずれの会社でも変革に挑み、新しいことを始めて、業績を上向かせてきました。そこでわかった、確実に言えることがひとつあります。どんなに会社を変えようとしても、個人と組織のカルチャーやマインドを正しくしないと、何も始まらないということです。(中略)
これはパナソニックに限りませんが、日本の大企業の多くが陥っている状況があると思っています。新卒中心で長く同じメンバーで長期にわたって仕事をしていく。そうなれば、どうしても経験の多様性が欠落していきます。
外の世界、新しい世界を見る機会も減り、視野を広くすることも、視座を高くすることも難しくなっていく可能性が高い。(中略)
お客さまのためではなく、会社の内部のための仕事が増えていく。マーケットのことではなく、会社内のことばかり考えるようになる。これではビジネス感覚が薄れ、戦略的な思考も鍛えられません。(後略)」

2. 現実に起きている正しくないカルチャー

DBICで現実に目にした事象を二つ。

  • DBICのプログラムに手を上げて参加した方が嘆く。
    「上司にも承認をいただき、半年間の起業トレーニング・プログラムに参加した。しかし、人事評価を下げられた。意味が分からない。」
    その上司曰く。
    「人事評価制度のルールは、1年間の成果を評価する。働いていないのだから成果はなく評価はマイナスだ。私は正しい。問題があるのならそれはルールだ。」
  • 社外の研修やイベントへの参加は、すべて上司の承認が必要になっている。上司は、すぐに役に立ちそうなことしかOKしないので、今日は休暇を取ってきました。

この二つの事例で、「「できる人」が会社を滅ぼす」という本を思い出す。この著者、柴田昌治氏が「できる人」の問題点を以下のようにコメントをしている。

「その最も大きな弊害が、意味や目的・価値などを「考える習慣」の欠如です。上司や顧客から降ってくる仕事をただ素早くさばいていくだけで、「そもそもこの仕事にはどういう意味があるのか?」という本質的な問いかけを忘れて、流れ作業的に業務をこなす。これは、言い方を変えれば、「上司から指示されたことはやるが、それ以上のことは何もやらない」という働き方に通じるのです。」

3. 企業カルチャーは変えることができる

企業カルチャーというとお化けのような正体不明のように見えがちだが、要は行動パターンなので、時間がかかるが変えることができる。
私が元働いていた会社も一時は「〇〇県庁よりもっと縦割りだ」とあきれられた状態からスタートして、働き甲斐のある会社ランキングの上位まで改善した経験がある。それは、かなり意図的に取り組む社員が存在し、トップもそれに同調して動いたからできたことだ。意識して何年か実行し続ければなんとかなる。
DBICのメンバー企業に変化が起き始めている。役員の方から「UNLOCKした社員が何人か出てくると、彼らがリーダーシップをとって会社の雰囲気を変え始めている」という嬉しいご報告をいただいた。どんな取り組みでも、10%くらいの社員が同調し始めれば、会社は変わるようだ。ぜひみなさんも継続して実行し続けてほしいと思う。

4. おまけ

年末が近づいてきたので今年のコラムはこれで終わり。生成AIに頼んで、今年1年の私のコラムを読んでいただき、マトメテいただいた。以下に紹介する。

  1. デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進
    DXは単なる技術の導入ではなく、ビジネスモデルや組織文化の根本的な変革を伴う。企業は変革を生み出すために、従来のビジネスモデルを見直し、柔軟な思考と革新的なアプローチを持つ必要があります。
  2. 組織と人材の変革
    企業の変革には経営層の強い決断力と共に、社員一人一人のマインドセットの変化が重要です。自律性を高めた組織構造や、社員の専門性を活かす体制の構築が必要です。
  3. 未来への挑戦とイノベーション
    既存の枠組みを超えた新しい挑戦が必要です。DXを通じて、企業は革新的なサービスや製品を創出し、社会に新しい価値を提供することが求められます。

来年もよろしくお願いします。

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