IMDの世界競争力ランキングで上位を占める国はみな小国だ。1位のデンマークから始まりアイルランド、スイス、シンガポールと続く。上位の国がどのようにして競争力を高めたのかをDBICが調査し、それを「VISION PAPER 2」として発刊している。 今回、小国ベトナムのFPTコーポレーションを訪問し、まさに小国の戦略そのものを感じたので、FPTソフトウエア社の戦略の一端を書いてみたい。
年率20%で何年も継続して売り上げを増やしているが、それは営業努力ではなく、2つのアジリティの高さだ。
(1)顧客の課題に素早く呼応する 顧客の課題をタイムリーに感じ取り、それに素早く対応するべく体制を整えることを戦略の基軸に置いている。これが簡単そうに見えて難しい。まず、顧客の要望を組織的にキャッチする体制、能力が必要。個人的に感じていましたでは組織対応にはならない。そして、それに対応するかどうかの判断が速く、加えて、新しい体制をすぐに構築できる能力を持っている必要がある。日本企業はすぐに変われないという弱点を持っているが、FPTはすぐに変われることを競争力としている。
顧客の課題とは例えば以下の通りだ。 ● チャイナリスクで、中国への発注を他へ変えたい ● 富士通がホストから撤退する ● 日本ではSE不足が深刻になりつつある ● サイバーセキュリティの監視や対応を行える人材がいない ● 電気自動車のソフトウエアを開発できる能力が不足している ● AIを使ってみたいが社内にノウハウがないなどなど。
(2)技術の進化を世界レベルで取り入れる 例えば、クラウドとAIを大きなテーマと捉えて、以下の施策を実施している。
日本企業はどうだろうか。「AIやってます」とはいうものの、世界レベルの取り組みや人材確保まで行動しているのだろうか。なにか中途半端になっていたり、スタートアップにお任せで主体的な取り組みが薄いようにも見える。
大国やGAFAのような巨大企業とは、同じような規模の大きな投資ができないので、身の丈に合わせた戦略を考えている。例えば、以下の通り。
通訳をしていただいたFPTの社員の方に、技術的なことも含めてパーフェクトな対応だったので感謝を申し上げました。また、多くの部門とのセッティングをいただいた秘書室の方にお礼を申し上げました。お二人からのお答えが同じでした。 「私たちの会社は Learning Organizationですから」というもの。エンジニアではない部署でも、「Learning Organization」が芯から浸透していることに驚いた。
ビン会長は、毎年ダボス会議に参加することはもとより、欧米、日本、アジアなど世界中で社員の先頭を切って学ぶことを率先している。その姿を皆が見ているのだろうか、インタビューさせていただいた方々みなさんが、謙虚に、素直に、世界から学ぼうとしている姿勢を痛烈に感じた。 この「学ぶ姿勢」は、言葉からではなく全体の雰囲気からにじみ出てくるものだから言語化しにくいものだが、デンマークやスウェーデン、シンガポールの優れた方々から感じる雰囲気と似ている。 たぶん、世界で戦う武器は「Learning」という真摯な姿勢なのだろうと思う。
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