【横塚裕志コラム】一流のリーダーは どのようにして一流になっていくのか

1.一流のリーダーとはどんな人

企業を変革するためには、変革しようと社長が言い出せばできるわけではなく、「変革せねば生き残れない」と強く志す個人のリーダーの存在が必須の条件で、そういうリーダーを一流のリーダーという。
では、どんな人なのだろうか。二つの調査や主張をあげてみよう。

  1. IMDが世界で成功しているリーダーの共通の特徴を分析している。
     ①謙虚で誰からも学ぶ姿勢
     ②こだわりがなく柔軟に自分の考えを変えられる
     ③自分が果たすべき使命を持っている
     ④仲間と共感して進むことが得意
  2. 研究者・山口周氏「ニュータイプの時代」
    優秀な人材とは、「問題が与えられるのを待ち、正解を探す」のではなく、「問題を探し、見出し、提起する」人だ。「正解を出す力に、もはや価値はない。」
    「世界はこうあるべきではないか」「人間はこうあるべきではないか」「うちの会社はこうあるべきではないか」ということを考える構想力が重要。

2.偏差値が高く頭のいい人=リーダー ではない

知識とか技術的なスキルではなく、志とか姿勢とか視座とかいうものが大きな要素であるように感じられる。

3.一流のリーダーになるためにはどうしたらいいのか

上記のリーダーの特徴を得るためにはどういうプロセスを踏めばいいのだろうか。それを研究した理論を3つ挙げる。

  1. SECIモデル・・・「知識創造企業」野中郁次郎
    以下の4つのプロセスを継続的に循環させることで、個人が成長し、組織が成長するという理論。
    ①共同化:経験の共有で暗黙知を共有―>②表出化:報告などで形式知に言語化
    ―>③連結化:形式知を組織で利用―>④内面化:形式知が個人の暗黙知に転換する
  2. U理論・・・「U理論」C・オットー・シャーマー
    マサチューセッツ工科大学のオットー・シャーマー博士とマッキンゼー・アンド・カンパニーとで、130名以上の学者や起業家、芸術家など革新的なリーダーたちに対してインタビューを行い、実践的な共通のプロセスを整理したもの。
    プロセス:
    ①自分自身の観察を行い、思い込みや、自分が執着している思想を手放す
    ②自分の過去の枠組みから抜け出して、浮かんできたアイデアを言語化する
    ③その具体化したアイデアを実行し、構造として社会に定着させていく
  3. 日本で昔から言われていること
    修羅場をくぐると人間は一皮むける。

4.この理論をどのように実践すればいいのか

現実の修羅場は簡単に体験できないので、この3つの理論をベースにした「リーダー育成トレーニング」を受けるのが得策。スポーツのアスリートと同じで、本を読んだだけでは効果はなく、深い体験の繰り返しが必要だ。
入門コースであるDBICの「トランス・パーソナル」はU理論をベースにした以下のプロセスでコーチに支えられながら修羅場を進む。それぞれのステップでは、SECIモデルが回り、思っていることを言語化し、対話し、また考えるサイクルを回していく。

①ダウンローディング:あるテーマを語る
②保留:思い込みや先入観ではないかとコーチから聞かれ、手放し始める
③観察:自分を客観視して、思い込みや先入観を捨て、視座が転換する
④センシング:素の境地で、ほんとうは何なのか、を考え始める
⑤恐れの声:そうは言っても踏み出せない、コーチからなぜと聞かれる
⑥手放す:自分の根っこに気づき、恐れ、あきらめがはずれていく
⑦マインドフルネス:瞑想することで脳が再構成されていく
⑧プレゼンシング:自分は何者なのか、自分の存在意義は何か
⑨迎え入れる:自分の新しい可能性を見つける
⑩結晶化:自分でやりたいことがはっきりしてくる
⑪プロトタイピング:具体的な施策のレベルに落とし込んでいく
⑫実践:組織や社会の中で動き出す

このプロセスを10回くらい回し、プログラムは3か月で終了する。この間、あなたの存在意義は何か、とか、なぜできないのか、とか、50回を超える質問シートに応えながら進めていく。そのシートへのコメントなどコーチから毎週ささやきを受けながら自分の素に戻り、自分のやりたいことを見つけていく。
最後までたどり着けるのは参加者の20%程度となるまさに修羅場シミュレーションだ。これに耐えられないようでは、リーダーにはなれないということだ。

このプログラムは入門編で、自分のやりたいことをさらに磨くUNLOCK(3か月)、組織で何をするかを磨くUNCHAIN(3か月)と高度なプログラムが待っている。

5.なぜ、ここまで時間をかけてトレーニングしないといけないのか

マーケットがますますグローバルになってくるなか、世界の一流企業との戦いは激しさを増していく。そういうなかで日本企業が活躍するためには、世界に通用する一流のリーダーを育成する必要がある。
「でも日本人は優秀ではないか」とよく聞かれる。残念ながら、そういう声を外国からは聞かない。例えば、もう数年前になるが、DBICメンバー企業の中堅クラス10人がシンガポールで事業開発演習を実施した時のこと。支援いただいたシンガポールのアクセラレーターから「この10人のレベルではシンガポールの企業では採用されない」と厳しく言われたことがある。
また、DBICメンバーの中のグローバル企業では、世界の各国から「幹部育成プログラム」に参加する社員を選抜しているが、日本人がみな選抜で落ちしてしまう、というお悩みを聞く。
日本企業は、もっと真摯にリーダー人材の課題を考える必要があるのではないだろうか。いい大学を出ていい会社に入っても、OJTだけではその会社の中という狭い範囲では通用するが、世界で戦う「一流の真のリーダー」は育たないと認識すべきではないだろうか。みなさんはどのようにお考えだろうか。

DBICトランスパーソナル 短期集中プログラム 2024年5月~8月 開催

DXを実践するための変革マインド養成プログラム 「UNLOCK QUEST」2024年度上期 参加者募集開始

DXを実践するための組織変革リーダー育成プログラム 「UNCHAIN QUEST」2024年度上期 参加者募集開始

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