私が最近気になっている二つの事例を使って考えてみる。
「月末締めの翌月末払い」という業務プロセスがあり、日本企業の多くが使っている。これは、「当月の取引によって生じた代金を、月末で締めて翌月末に支払う」という仕事の仕方だ。紙の請求書の時代のプロセスだと思うが、講演した後の講演料の入金を見ていると、多くの企業が昭和のままで固まっている。そして、それが問題だと認識している人はいない。
多くの企業で、お客様とのやり取りを紙からデジタルに転換する取り組みが行われている。
部分最適: 顧客とは関係がなく企業側の取り組み (事例2のケースも、紙をなくしたいという企業側の要請) 全体最適: 顧客の価値を上げる取り組み
事例1のケースで考えると、営業部門の人にとっては少し便利になる取り組みなので、「いいこと」なのかもしれない。しかし、営業部門ごとにその事務処理方法が異なることを放置すると、担当者の転勤での引継ぎ問題とか、ERPを導入するときの例外対応など、禍根を残すことになるかもしれない。 事例2のケースでは、部分最適の取り組みがかえって顧客のストレスを引き起こしている。顧客との直接的なコミュニケーションでのストレスは、企業のブランドを下げてしまうリスクをはらんでいることを認識すべきだろう。
以下の取り組みが必要だ。
全体最適の取り組みはかなり難しい。なぜか。
事例1、2で部分最適とした取り組みはDXと言わない方がいい。なぜなら、企業の競争力向上になっていないから。全体最適とはお客様の価値を上げる取り組み。これを唯一のDXと定義して、それに取り組むことを推進すべき。 各企業の「DX推進室」が勢いをなくしつつあるようだが、「プロセスオフィス」としてよみがえることを応援したい。
他のDBIC活動
他のDBICコラム
他のDBICケーススタディ
【レポート】IMD x PIVOT Strategy Boot Camp 開催
【レポート】企業変革実践シリーズ第34回 行動支援の時代 ~アフターデジタルで変質する顧客提供価値~
【レポート】UNLOCK QUEST 2024年下期 変革を生む「問い」と「対話」──自らの殻を破る旅
【レポート】2025年3月 DBICアップデート②『DXの入り口』に立つとは?〜プログラム参加者が語る、気づきとその先〜
一覧へ戻る
一覧へ戻る
一覧へ戻る