【レポート】ビジネスデザイン基礎講座 ~スペキュラティブデザインで学ぶ~ 基礎編 第1回

本プログラムの企画は早稲田大学WASEDA NEOプログラム・プロデューサーの高橋龍征様。講師・ファシリテーターは、株式会社SEN代表の各務太郎様。各務様は電通でコピーライターとしてご活躍後、ハーバード大学デザイン大学院にて都市デザインを学んだ経歴をお持ちです。 各務太郎様(左)と高橋龍征様(右) 各務様は「日本人のデザインに関する勘違い」を、様々な事例を通して指摘。最初に正さなければならないのは、日本において「デザイン」という言葉がセンスやクリエイティビティ、もしくは絵心と同義になっているという勘違いです。 本来は「デザイン」とは問題解決力であり、自己表現である「アート」とは異なります。日本人が「デザイン」から連想しがちな「意匠」は、海外では「スタイリング」、即ち「見た目のブラッシュアップ」であり、「デザイン=問題解決」とは区別されたプロセスです。 次に、ユーザーに対する観察やインタビューから課題を定義、プロトタイピングを繰り返す「デザインシンキング」と、従来型のPDCAの類似性から「デザインシンキングは1を10にする改善に向いているが、0から1を生むイノベーションには適さない」と各務様は解説します。 一方、今回のプログラムのテーマとなる「スペキュラティブデザイン」は、「未来がどうなるか予測する」のではなく「どのような未来にしたいか自らが提案する」手法を重視します。未来の水筒と提案するTakram同性愛をテーマにした長谷川愛のアート、そしてアメリカ初の完全食ベンチャーであるソイレントの事例を通し、ブレイクスルーとなるアイデアは従来型のユーザー目線からは発想することが難しいことが紹介されます。 とはいえ、突拍子もないアイデアが出ても、それを「商品」として成立するかという視点がビジネスでは必要です。各務様の提案で、参加者は「革新したいこと」「自分が個人的に取り組みたいこと」に加えて「社会の潮流」の3要素からなるベン図を描くエクササイズに取り組みます。 落語、または就職活動の筆記試験で見られる「三題噺」にも見られるように、強制的に「異物」を組み合わせることで、従来の発想の外側に出ることが可能になりことともつながります。革新したい事項について、自らとは異なる業種、例えば「これをユニクロがやるならどうする?」「アップルがやるならどうする?」と視点を変えて発想するのも有効です。 ワークショップ後の発表や質問では「革新したいことと、自分の個人の関心が似てしまう」「個人の発想に依存するリスクのあるスペキュラティブデザインは、どの場面で使ったらよいか」といった参加者からの悩みや質問に、迷わずスピーディに回答する各務様の発想力は圧巻でした。 本プログラムは基礎編が3回、実践編が2回予定されています。基礎編の第2回ではコピーライティング、第3回では本日ビジョナリーワードのつくりかたについて講義予定です。

関連リンク

「未来のシナリオを創る、人を動かす方法論」(各務太郎)

  1. What to say:人の行動をシフトさせる、コピーライティングの基本
  2. Visionary Word -「人を動かす言葉」の作り方
  3. Speculative Design - 事業を創造するデザインの力

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