【レポート】DBIC Monthly Meetup!(2018.07)

DBICの2018年度活動方針「DBIC 2.0」のうち、イノベーション実践を担う「Diving Program」関連のスタータス共有を目的にスタートした「DBIC Monthly Meetup!」の第3回目です。今回は内容を再構成してレポートをお届けします。

Innovation Talk

DBIC代表の横塚浩志と西野弘副代表がイノベーションについて語るセッション「Innovation Talk」では、横塚が2018年7月に開催されたイベントである「シンガポールにおける国家戦略としてのデザインシンキング」と「イノベーション部長会:イノベーションは、社会課題の解決でのみ実現される」を振り返りながら、日本の大企業においてイノベーションが生まれにくい背景について解説しました。 横塚浩志 国家戦略としてデザインシンキングを推し進めるシンガポールにおいて、その中心的な役割を果たしたティエリ・ドゥ氏は「既存の自社製品やサービスを改善したい、という視点ではイノベーションが生まれないのはなぜか?」という横塚からの問いに対して「イノベーションにおける競争領域は、顧客が本当に望んでいる価値や体験を提供できているかであり、企業側が何を売りたいかという視点からは生まれない」と答えました。 また「イノベーションは、社会課題の解決でのみ実現される」をテーマに講演した長野県立大学大室悦賀教授は「企業が社会課題に取り組もうとしても売上が立つ保証がないのでスタートが難しいのではないか?」という横塚の問いに対して「売上を最初に考えるのではなく、社会課題に取り組んでいるうちにエコシステムが形成されて持続可能な新規事業が生まれるのがイノベーションだ」と答えました。 短期的な売上を求めがちな日本の大企業にとってイノベーションは困難なように思えますが、横塚は自身が2月からスタートした「DBICイノベーションプロジェクト:自転車による歩行者殺傷事故の撲滅を実現する」を通してヒントを学んだと語ります。プロジェクトを通して横塚は金沢市で10年かけて自動車事故削減に取り組んだ三国成子様の活動を知ったのです。 三国様は10校1500人に及ぶ高校生へのヒヤリングから自転車事故ハザードマップ作成をするところか始め、国道・県道・市道といった縦割り行政の壁と戦いながら自転車専用道路の整備を進めました。地道な施策を続けて結果が出てくるにつれ、自然と国交省、県、市、そして警察が集まるコミュニティが形成され、自転車事故が半減したといいます。 イノベーションの必須条件とされるエコシステムは、最初から企業や個人を集めたりマッチングして意図的にできるものではなく、「まずは自分がやってみる」そして「改善を繰り返す」ことで地道に関係性が構築され、できあがります。斬新なアイデアを唐突に思いつくことがイノベーションではないのだと横塚は解説します。 西野弘 DBIC副代表の西野弘も、大企業に居ると上司と同僚ばかり気にするようになるが、それでは社会課題の解決はできないと語ります。まずは個人が「Discorver Myself」を通して、自分は何を想うかを起点に動かないと、どんなにお金や時間を費やしてもイノベーションを起こすことはできないでしょう。

Monthly Spotlight

実際のプロジェクトに参加された方々をお招きし、Diving Programの生の声をお届けする「Monthly Spotlight」コーナーでは、大日本印刷株式会社(DNP)の今崎浩一郎様(情報イノベーション事業部 事業企画本部第2部第2課長)にご登壇いただきました。 今崎浩一郎様 公開前のプロジェクトのため内容はここではご紹介できませんが、注目すべきはDNPにおいてデザインシンキングが新規事業開発における業務プロセスとして標準化されているところです。事業部内で日本全国に勤務する多用者職種の社員を50名集めて社会課題をテーマに行うアイデアソン、技術サポートのエンジニアを加えて行うハッカソンと審査、そこで選別されたアイデアのビジネスプラン検討へと進みます。 デザインシンキングを学んでも実際の職場で活用できないとうメンバー企業が多い中、当たり前のようにデザインシンキングを活用するDNPは一歩先を進んでいました。 岩井秀樹 DNPのプロジェクトをサポートするDBICディレクター岩井秀樹もこの「デザイシンキングの業務プロセス標準化」を評価し、同時に「観察による気付き」の重要性を指摘します。大企業の新規事業開発においては、予め技術、市場、または売上目標が定められていることが多いのですが、これはデザインシンキングの本来のプロセスとは異なります。デザインシンキングは最初に「観察」を行うことで生活者のニーズを理解することが必須です。 そこで、例え技術や市場が決まっている場合でも、後からでも「観察」を追加することを岩井は提案します。実際、DNPのプロジェクトにおいても、事後にユーザーインタビューを行うことで新たな気付きがあり、アイデア開発に立ち返った見直しも行われているとのことです。

Project Report

Diving Programの進捗を共有するProject Reportは海外編からスタート。2018年6月から開始した「シンガポールイノベーションプログラム」参加メンバーからのビデオレターが公開されました。各メンバーがシンガポール渡航前に設定し課題を現地で1ヵ月かけて練り直し、7月初旬に「プロブレムステートメント(取り組み課題)」としてウェブ上で公開しています。この内容について参加者本人による解説とコメントがまとめられたビデオです。

DBICメンバー企業7社から10名が参加し、6月から10月までの5ヶ月間シンガポールに滞在し、自社の課題を見つけ、現地のスタートアップ企業にプレゼン、パートナー企業選定と進み、プロトタイプを作成して成果発表を行うという究極の実践プログラム。「シンガポールイノベーションプログラム」の模様については、不定期で現地からレポートブログも公開しておりますのでご参照ください。 渋谷健 国内編では2018年6月のMonthly Meetup!でフィーチャーされた「イキイキ基盤」を中心にDBICディレクター渋谷健によるアップデートが行われました。 2018年8月のMonthly Meetup!はDBICの移転のためお休みです。次回は9月にお会いしましょう!

DBIC Diving Program に関するメールお問い合わせ窓口

前向きに参加をご検討いただける場合には、全体概要や個別プロジェクト詳細についてDBICディレクターが個別説明をいたします。まずはお気軽にメールにてご連絡ください。 contact@dbic.jp ※個別説明についての日程調整なども対応いたします

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