ページ内を移動するためのリンクです。

【シンガポールレポート】BuskBoxプロジェクトの実証実験

開催日:

2019年9月13日(金)から、シンガポールイノベーションプログラムの1チームであるBuskBoxプロジェクトの実証実験を実施しました。シンガポールのミュージシャンとカラオケファンをつなぐ、イノベーティブなプロジェクトへの挑戦が始まります。

BuskBoxチームメンバー(左から順に) ・住友生命保険相互会社 枝川 和貴さん(TomoWorkチームと兼務) ・株式会社野村総合研究所 輪湖 謙太さん ・東京ガスiネット株式会社 矢島 史康さん シンガポールイノベーションプログラムでは、プロブレムステートメントを繰り返しブラッシュアップした結果、現在は5つのチームに分かれて実証実験(PoC:Proof of Concept)に取り組んでいます。BuskBoxチームはその中の1チームで、DBICだからこそ実現できる3社合同の混成チームになっています。

BuskBoxプロジェクトとは

オーチャード通りで演奏するストリートミュージシャン 東南アジアの街を歩いていると、週末には多くのレストランで生演奏がされており、職業としてのミュージシャンが確立されていることに気付きます。一方で定期的な収入を得られず、生活に困っているミュージシャンが多数いる状況は日本と同じです。BuskBoxとは、そんなストリートミュージシャンが路上に置いている「投げ銭箱」のことです。 どうすればミュージシャンが収入を得ながらファンを獲得していくことができるのか。奥さんがオペラ歌手である輪湖さんが中心となってこの課題に取り組まれています。 株式会社野村総合研究所 輪湖 謙太さん シンガポールで様々な方からプロブレムステートメントのレビューを受け、週末にはライブハウスに通ってミュージシャンにインタビューを繰り返した結果、カラオケボックスにミュージシャンを呼ぶアイデアにたどり着きました。 カラオケボックスであれば騒音や安全性の懸念が少なく、カラオケファンに新たな楽しみを提供できる可能性があります。またミュージシャンにとっても日銭を稼ぎながら音楽とトークの腕を磨くことができ、ファンの獲得にもつながります。これはまるで「ミュージシャンのUber」のような仕組みです。 コワーキングスペースBridge+で計画を練る3名 とは言ってもこのアイデアを実現することは簡単ではありません。マッチングアプリを開発するだけではなく、ミュージシャン、カラオケファン、そしてカラオケボックスなど、実際のローカルコミュニティを巻き込んでいくことが必要になります。たった半年間でコネも土地勘もないシンガポールの地で実証実験することは困難に思われました。 住友生命保険相互会社 枝川 和貴さん しかしこの3名のメンバーは自分たちの足を使ってコミュニティを開拓し、実証実験に協力してくれるカラオケボックスを見つけることに成功しました。そして幸運にもシンガポールのスタートアップ企業を支援する政府機関の「Enterprise Singapore」から現地音楽レーベルの「Goose Infiniti」をご紹介いただき、現地ミュージシャンとネットワークを築くことができました。そしてコミュニティアプリの「Meetup」を使い、50名以上の現地カラオケファンが集まるコミュニティを作り上げました。 東京ガスiネット株式会社 矢島 史康さん アイデアは考えついただけでは価値がありません。実際に行動することにより経験とナレッジが得られ、それが他のサービスとの差別化要因になり価値の源泉になります。当プログラムが実証実験の実施にこだわっているのもここに理由があります。 実証実験に先立ち9月7日(土)に実施したDBICメンバー限定のリハーサルの様子 この3名は途中でくじけそうになりながらも、それぞれの得意分野で協力しあって努力を続け、予定通り9月の実証実験開始に漕ぎつけました。2019年9月13日(金)から、シンガポール在住の6名のミュージシャンとカラオケファンにご協力いただき、週末を中心に合計8日間の実証実験を実施しました。

実証実験3日目の様子

9月15日(日)の会場は、シンガポールでも多数の店舗を展開している日系カラオケチェーンの「元祖まねきねこオーチャード店」です。シンガポールのカラオケ店は10代~20代の若者に人気で、時には長い行列ができることもあります。 元祖まねきねこが入居するサマセット駅隣接の商業ビル 当日はMeetupのカラオケファングループに所属する9名のカラオケファンにお集まりいただき、まずは自由にカラオケを楽しんでいただきました。みんな初対面のメンバーですがカラオケ好きということもあり、すぐに打ち解けて熱唱モードになります。そして場が盛り上がってきたところでミュージシャンの入場です。 Tommy Dean氏 この日のミュージシャンは飲食店のバンドと結婚式場のシンガーとして活動されているTommy Dean氏です。さっそく始まったギター生演奏の迫力に観客は圧倒されました。 ミュージシャンの圧倒的な声量で最初は会場が静かになります まずは誰でも知っている有名アーティストのカバー曲を演奏し、場の雰囲気を盛り上げていきます。目の前で奏でられるギターの生音と圧倒的な声量はもちろん、そこに手拍子やサビの合唱が加わり、カラオケルーム全体が一体感に包まれます。これは今までにない衝撃的な体験です。 ミュージシャンのトーク術と観客のノリの良さで雰囲気が変わってきます 続いて観客と一緒に歌うデュエットタイムに移行します。ココがポイントです。カラオケボックスに来る人は自分が歌いたいから来ているので、単に音楽を聴くだけでは邪魔をされた気分になってしまいます。 ミュージシャンとデュエットできる貴重な機会 そこでミュージシャンと一緒に歌うことで、音楽のプロと一緒にハモれるという他にはない経験を得ることができます。これは最初の数日の実証実験で得られたインサイトをフィードバックしたアイデアです。予想通りデュエットは大成功し、観客を巻き込んで大盛り上がりしました。 他の観客も一体となって大きな盛り上がりを見せました これはミュージシャンにとっても確実にファンを増やしていくまたとない機会になります。そして最後はギターの弦が切れるというハプニングに見舞われながらも、オリジナル曲を歌いあげ20分のライブタイムが終了しました。 ギターの弦が切れその場でチューニングしながらの熱唱

実証実験3日目を終えて

実証実験をしてみると、計画段階では得られなかった気付きが多く得られます。今回は実験のためカラオケ室料とミュージシャン料金を無料で開催しましたが、参加した人はどれぐらいの料金を払ってくれるのか、またカラオケファンとミュージシャンはどのようなサービスを求めているのか、実施後にアンケートを取って多くのフィードバックを得ています。 Goose Infiniti / FounderのSam Padbidri氏 そしてこのアイデアは、将来的にはカラオケボックス以外への展開や、大道芸人などへの展開を視野に入れています。それがプロジェクト名を「BuskBox」と名付けた理由です。今後はカラオケボックス以外での開催に挑戦しながら、日本での実証実験に向けて準備を進めます。世界中のストリートミュージシャンをBuskBoxで救えるのか。3名の挑戦が始まっています。

関連リンク

イベント告知ページ【シンガポールレポート】2019年度プロブレムステートメント公開

デジタルビジネス・イノベーションセンター(DBIC)が活動を続ける理由

設立エピソード

2014年、世界で起きていることを肌感覚で確かめるため、半年をかけて世界を回った。そこで感じた危機感を日本企業に正しく伝え、行動を促すための研究会を発足するために奔走。26社の名だたる企業と世界有数の大学と連携し、デジタルビジネス・イノベーションセンター(DBIC)の立ち上げとともに我々のイノベーションジャーニーが始まった。

SHARE