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【横塚裕志コラム】上司が提案をOKしてくれないのですが・・・

DBIC代表の横塚裕志です。先日、ある会社の若い方からご質問を頂きました。 「自分の提案を上司がなかなかOKしてくれない。どうしたら、OKしてもらえるでしょうか。なにか、上司と私たちとのセンスが違う感じです。」

私は以下のように回答しました。 あなたの提案に上司が「NO」と言うこと自体がおかしい、上司のセンスがおかしい、という先入観をお持ちのように感じますが、その感覚はまず捨てたほうがいい。もちろん、そういう要素があることは否定しないが、その感覚を引きずっているといいことはない。 問題を上司におくのではなく、自分におくことを考えよう。納得いただけないのはなぜか、自分の説明や論理にどこか不足がないだろうか、を考えることが大事だ。 なぜ、あなたの提案が上司の「共感」を得られないのか、を考えてみよう。デザイン思考の原点で考えれば、上司がどこに反応して「NO」と判断しているのかを見極める必要がある。「共感」という言葉をあえて使ったのは、人間の判断には正しいかどうかに加えて、やりたいと思うかどうかという要素もあり、上司もやってみたいと感じるような「共感」が得られる提案になっているのか、という点も重要だからだ。あなたの提案の質がまだまだ低い、もっとレベルを上げないと共感して頂けるものになっていない、と考えてみてはどうか。

デンマークデザインセンターでの改革事例

ある病院の改革にデザインチームが取り組みました。 乳がんの疑いがある方を中心において病院の改革を進めるヒントを得ようというプロジェクトです。 乳がんの疑いのある方を徹底的にエスノグラフィーする。 その方自身が真実を語ることはないので、生活に密着し、検査に密着し、ご家族に密着し、たびたびインタビューして心の動きを観察する。病院の医師や技師などの関係者も緻密に観察して、状況をつぶさに明らかにしていく。全く先入観を持たずに、感覚を研ぎ澄まして体で感じていく作業を続ける。結果、「乳がんの疑いがある方の最大のストレスは、検査の結果乳がんと判明したことではなく、3か月間検査を続けているその間の不安感だ」ということに行きつく。 そして、その事実を踏まえ、検査期間の3か月間のプロセスを改革して4日間に短縮することができた。 このプロジェクトを進めるうえで大変だったのは、病院の医師や技師、看護師に、今まで長くやってきた検査期間の3か月を短縮する必要性を説得することだったそうです。関係者全員誰一人サボっているわけではないし、全力で仕事をしているのに検査期間が長いと言われてもね、と反発があるのは当たり前です。それでも、デザインチームは関係者全員の「共感」を得て、プロジェクトを実施したのです。では、どうやって「共感」を得たのでしょうか。 患者の表情を写した映像や音、インタビューで語る言葉などなど、稟議書の字とかパワポの図だけでは説明できない「共感」を得る努力がキーポイントだったとのお話でした。

新規事業の成否と共感

新規事業の成否はそのビジネスの目的やプロセスが多くの方の共感を得られる内容かどうかだ、とよく言われますが、大企業のなかの仕事でも同じことが言えるようです。上司の共感を得る提案ができているか、そこが重要ポイントです。そして、「共感」を得るためには、エンドユーザーの心持に対する深い洞察、加えてそれを裏付ける事実の積み重ね、そういう努力をすることでやっと上司や関係者の「OK」が出るのです。

最後に

「あなたはそこまで努力して企画を作成しているのですか。」 「大企業には、実は、予算や人員のリソースが大量に眠っている。それをうまく使って面白い企画を実現することは、起業するより面白いかもしれない。必死になって、人生賭けて、いい企画を提案して、でっかいことをやってみましょうよ。責任は重いけど人生1回しかないんですから、やっちゃいましょう。」

著者紹介

横塚 裕志 Yokotsuka Hiroshi
一橋大学卒業。1973年、東京海上火災保険入社。2007年に東京海上日動火災保険の常務取締役に就任、2009年に東京海上日動システムズ株式会社代表取締役社長就任。2014年より特定非営利活動法人CeFIL理事長となり、2016年にデジタルビジネス・イノベーションセンター(DBIC)を設立、以降代表を務める。DBICでは日本を代表するメンバー企業約30社と共に、DX促進や社会課題の解決に取り組んでいる。
  • 特定非営利活動法人CeFIL 理事長 / DBIC代表
  • 日本疾病予測研究所取締役
  • 富山大学非常勤講師

デジタルビジネス・イノベーションセンター(DBIC)が活動を続ける理由

設立エピソード

2014年、世界で起きていることを肌感覚で確かめるため、半年をかけて世界を回った。そこで感じた危機感を日本企業に正しく伝え、行動を促すための研究会を発足するために奔走。26社の名だたる企業と世界有数の大学と連携し、デジタルビジネス・イノベーションセンター(DBIC)の立ち上げとともに我々のイノベーションジャーニーが始まった。

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