まさに、日本企業の多くで同じ感覚でDXなるものを実践している方々が多くいらっしゃるように思います。
ピースの一つ一つを見ると何か便利になったり見栄えがよくなったりするので、実施の反対はできないものが多い。その結果、リソースがあるだけ小さいピース作りに取り組むことになるが、さて、全体では何を目指しているのか、どんなビジネス戦略、経営戦略に寄与しているのかは誰もわからない、というのが多くの実態であるように思えます。 無駄ではないのかもしれないが、ほんとうにこういう状態を続けていていいのだろうか、という疑問をお持ちの方が多い。もっと、優先順位の高いことをやらないといけない時期であったとすれば、リソースの無駄遣いということになります。
経産省が以前から「2025年の崖」と言い、古くなった基幹系システムの再構築をしないと崖に落ちる、と警鐘を鳴らしています。情報システムが古くなり、現行のビジネスを維持することができなくなるとの警告だと思います。もし、現行のビジネスに支障が出ればそれは大きな問題であり、しっかり対応しておく必要はあるでしょう。 ただ、この議論がDXの文脈の中で出てくると誤解が生じます。基幹系システムを新しくすることがDXのなかの大きなピースの一つなのか、という議論です。 わかりやすい例で言うと、トヨタ自動車は自動車の製造販売業から移動サービスにビジネスをシフトしていく、と宣言してDXを進めていますが、古いビジネスである自動車の製造販売業を支える基幹系システムの再構築をDXのピースの一つとして考えてはいないと思います。 だから、基幹系システム云々は企業のDXの中身によって扱いが違うことになります。とにかく、各企業がDXの完成図を持つことが何としても必要です。
では、完成図をどのように作成したらいいのでしょうか。 会社のどの部門がDX完成図を描くのでしょうか。今ある部門で担当するとすればどの部門でしょうか。そして、誰がそのような絵を描けるのでしょうか。 デジタルイノベーション部の仕事でしょうか。 先述の『DX実行戦略』では、以下の手順が記されています。
この1~7を実行することが、成功している企業のノウハウのようです。 特に、変革理念の設定では、「競争力をどのように変化させたいか」を決めることだと書いてあり、この考え方は日本企業にとって新鮮なテーマです。 「実行力」ばかりに目が行きがちで、とにかく多くのDX案件をこなすことに注力しがちな日本企業、一度立ち止まって、進むべき海図を描くことも並行してトライすることが重要でしょう。
他のDBIC活動
他のDBICコラム
他のDBICケーススタディ
一覧へ戻る
一覧へ戻る
一覧へ戻る