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【横塚裕志コラム】DXのためのICTの役割

DBIC代表の横塚裕志です。2020年2月4日のコラムに「DXとイノベーション」の違いについて書きましたが、今回はDXとICTの関係について考えます。

DXを「企業の競争力を上げるためのビジネス改革」と定義する。
ICTを「スマホなどの機器とそのアプリと通信」と定義する。
DXを実行するためには武器が必要で、ICTはその武器の一つ。
ICTの役割は以下の4つあると考える。ICTへの理解が薄い方は下の1番だけをイメージしているが、実はそれ以外に3つあり、その理解不足がICTをうまく使えない理由だと考えている。

  1. ビジネスを効率的・効果的に運営するための道具
  2. 競争力あるビジネスをデザインするための道具
  3. 新しいビジネスモデルに組織を変革するための道具
  4. 古いビジネスに戻らないために固定化する道具

それぞれ解説する。

1. ビジネスを効率的・効果的に運営するための道具

端末とそれを動かすソフトウェアと通信機能を使い、以下のようなことが実現できる。

  1. 仕事を自動化する
  2. データを記録する
  3. データを検索する
  4. データを分析する
  5. 地理的に離れた人とコミュニケーションできる

2. 競争力あるビジネスをデザインするための道具

ビジネスプロセスをデザインするとき、見えないプロセスを可視化するためにはICTを道具として使うことが効果的である。例えば、お客様の課題を解決するための新しいサービスを企画しようとしたとき、ICTをベースにしたカスタマージャーニーを絵で描いていくことがわかりやすく、議論できる可視化の有力策である。ただ、抽象的に議論するだけでは具体案がデザインできない。

また、プロセスの効率化を検討するときも、ICTでプロセスをどのようにサポートするかをデザインすると、おのずとプロセスが構造的になり、効率を妨げている要因が可視化されてくる効果がある。

以上、二つの例を示したが、このフェーズに能力の高いSEを投入することができるかどうかで、プロセスそのもののレベルが決まる。コロナの給付金プロセスはそこを失敗した典型であろう。

3. 新しいビジネスモデルに組織を変革するための道具

企業として新しいビジネスモデルにトランスフォームしていくことは大変難しい作業である。人間は現状のままが好きであり、変えたくない。そこで、「新しい情報システムを使う」ことを、ビジネスモデルをトランスフォームするための手段にすれば円滑に変化していける。新しいビジネスモデルが「新しいシステムの操作」という形で可視化され、多くの現場でのシフトが円滑に進む。

4. 古いビジネスに戻らないために固定化する道具

現場では、新しいビジネスモデルを運営する新しいICTを使う限り、古いビジネスに戻ってしまうことにはならない。ICTがなくて掛け声だけでは、元へ戻ってしまうリスクがあるがICTで固定できる効果がある。

新しいビジネスをデザインし、開発し、組織を変革し、固定するための有効なツールだと経営者がICTを理解すれば、ICTをどこかへ丸投げする発想には決してならないと思います。そこが理解できていないのはなぜでしょうか。誰も教えないからかもしれません。

著者紹介

横塚 裕志 Yokotsuka Hiroshi
一橋大学卒業。1973年、東京海上火災保険入社。2007年に東京海上日動火災保険の常務取締役に就任、2009年に東京海上日動システムズ株式会社代表取締役社長就任。2014年より特定非営利活動法人CeFIL理事長となり、2016年にデジタルビジネス・イノベーションセンター(DBIC)を設立、以降代表を務める。DBICでは日本を代表するメンバー企業約30社と共に、DX促進や社会課題の解決に取り組んでいる。
  • 特定非営利活動法人CeFIL 理事長 / DBIC代表
  • 日本疾病予測研究所取締役
  • 富山大学非常勤講師

デジタルビジネス・イノベーションセンター(DBIC)が活動を続ける理由

設立エピソード

2014年、世界で起きていることを肌感覚で確かめるため、半年をかけて世界を回った。そこで感じた危機感を日本企業に正しく伝え、行動を促すための研究会を発足するために奔走。26社の名だたる企業と世界有数の大学と連携し、デジタルビジネス・イノベーションセンター(DBIC)の立ち上げとともに我々のイノベーションジャーニーが始まった。

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