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【横塚裕志コラム】経営戦略自体の構造と役員の分掌の構造 

考えられる構造案を3パターン以下に列挙する。

1. 一般的な大手企業の構造

経営スローガン:規模拡大・利益率向上

  • 商品戦略:商品担当役員・・新商品・商品改定の計画
  • チャネル戦略:チャネル担当役員・・チャネル育成計画
  • デジタル戦略:デジタル担当役員・・デジタル案件の開発計画
  • 財務戦略:財務担当役員・・財務計画
  • ESG戦略・SDGs戦略:ESG担当役員・・形式的に書く

■特徴:
各担当役員の責任範囲が明確。縦に強く、横の関係は適宜調整。
安定期は効果的だが、大きな変革は難しい。
受け止める営業現場・IT部門は優先順位を迷う。

2. DX(大きな変革)を進めるときの構造案1

経営ビジョン:会社の存在意義・目指す実現したい姿

○変革担当役員:DX計画・・5年後の組織能力・ビジネスモデル・人材力

  • 商品戦略:商品担当役員・・既存商品の計画+DX実現の商品計画
  • チャネル戦略:チャネル担当役員・・既存計画+DX実現の計画
  • デジタル戦略・ESG戦略は各戦略に内包される
  • 財務戦略:財務担当役員・・既存計画+DX実現の計画

■特徴:
経営ビジョンを策定して、目指す方向を内外に明確に宣言する。
それを実現するため、全社横断のDX戦略を策定し、各分野に示す。
各分野は、DX戦略を受けて、日常の戦略とDX戦略を策定する。
ESGという概念はDX戦略に含まれ、デジタルツールも内包される。
変革担当役員が、各分野の役員を統率する。

3. DX(大きな変革)を進めるときの構造案2

経営ビジョン:会社の存在意義・目指す実現したい姿

  • 出島戦略:変革担当役員・・新ビジネスを新組織で実施
  • 商品戦略:商品担当役員・・既存ビジネスの商品改定計画
  • チャネル戦略:チャネル担当役員・・既存チャネル育成計画
  • デジタル戦略:デジタル担当役員・・既存のデジタル化計画
  • 財務戦略:財務担当役員・・財務計画
  • ESG戦略・SDGs戦略:ESG担当役員・・形式的に書く

■特徴:
新ビジネスと既存ビジネスを組織・戦略ともに分ける。
既存とは違う人材・文化を取り入れやすい。
既存ビジネスの競争力強化には弱い形態かもしれない。

(総括)
私は、1の構造では大きな変革は実現できないと考えるので、DX・コロナも含めた激動の時代を生き残る戦略には不向きと考える。しかし、現在の大手企業の実態はこの形態が多く見受けられ、また、コンサルティング会社やITベンダーがこの形態を推奨している状況を見ると、かなり危機感の不足を感じざるを得ない。
では、2がいいのか3がいいのか、それとも別の形態があるのか、そういう議論を進める機会を持ちたいと考える。
加えて、企業内イノベーターが持つべき能力・役割も、この戦略構造の形態と関係するのかしないのかも議論すべきテーマかもしれない。

著者紹介

横塚 裕志 Yokotsuka Hiroshi
一橋大学卒業。1973年、東京海上火災保険入社。2007年に東京海上日動火災保険の常務取締役に就任、2009年に東京海上日動システムズ株式会社代表取締役社長就任。2014年より特定非営利活動法人CeFIL理事長となり、2016年にデジタルビジネス・イノベーションセンター(DBIC)を設立、以降代表を務める。DBICでは日本を代表するメンバー企業約30社と共に、DX促進や社会課題の解決に取り組んでいる。
  • 特定非営利活動法人CeFIL 理事長 / DBIC代表
  • 日本疾病予測研究所取締役
  • 富山大学非常勤講師

デジタルビジネス・イノベーションセンター(DBIC)が活動を続ける理由

設立エピソード

2014年、世界で起きていることを肌感覚で確かめるため、半年をかけて世界を回った。そこで感じた危機感を日本企業に正しく伝え、行動を促すための研究会を発足するために奔走。26社の名だたる企業と世界有数の大学と連携し、デジタルビジネス・イノベーションセンター(DBIC)の立ち上げとともに我々のイノベーションジャーニーが始まった。

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