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【横塚裕志コラム】人材育成の真髄をデンマークに見る

 デンマークは、スイスのIMDが発表する世界競争力ランキング2020で第2位(日本は34位)、世界人材ランキング2019でも第2位(日本は35位)を誇る。
 このデンマークの取り組みを学ぶことは、日本にとって大変重要なことだと思うが、そのような取り組みをほとんど見ない。DBICではランキング上位国からの学びを進めるべく準備を進めているが、今回はそのさわり、デンマークのサッカー協会が発信している子供に対するサッカーの指導要領をご紹介する。
 もちろん、サッカーがテーマではなく、スポーツの指導要領に人材育成の哲学が見えるので、それを学んでみようという趣旨である。

 そもそもeducation(日本語訳:教育)は、「エデュケート」というラテン語が起源で、「既に内にあるものを引き出し、開花させる」というのが真の意味だそうで、「教育」という訳は決定的に間違っているよう。
 つまり、「人は本来学習する意欲を持ち、何をいつ、どんな方法で学習するかを知っている」という思想なので。
なので、においては、学習の主役は1人の人間であり、自主性、自発性を大事にする考え方のよう。
「管理されなければ何も人は学べないし、何もしようとしない怠け者に育つから、学校に行、とか、研修をする」という考え方とは対極のよう。

 東大薬学の池谷教授の著書で面白い実験を知た。ヒルの実験で、ヒルに対して棒で突っついた時の生体反応と、ヒルが自分で動いて棒に当たった時の生体反応では、自分で動いた時の方が5倍高い、というもの。下等動物でもそういうことのよう。

では、以下にご紹介。

デンマークサッカー協会 親のための10ヵ条

  1. 子どもたちが自ら望んだときに試合やトレーニングに参加させてあげましょう。
  2. 試合中はすべてのプレーヤーに励ましの言葉を送りましょう。あなたの息子さんや娘さんにだけではなく。
  3. 成功にも失敗も同じように声援を送りましょう。批判ではなく、ポジティブな声をかけてあげてください。
  4. コーチの選手起用を尊重しましょう。試合中に選手起用について影響を与えようとするのはやめましょう。
  5. レフェリーの判定を批判するのはやめましょう。
  6. プレッシャーを与えることなくプレーに参加させてあげましょう。
  7. 試合の後は結果の話だけでなく、覚えているプレー、楽しかったシーンなどについても話し合いましょう。
  8. 節度を守り、分別のある行動をとりましょう。何事も度を越してはいけません。
  9. 所属クラブの運営には尊敬の念を持って接しましょう。保護者と指導者間のミーティングでは、明確な指針を持ち、どのような態度で子どもに接するのかを話し合いましょう。
  10. サッカーをプレーしているのは子どもたちです。決してあなた自身ではありません!

デンマークサッカー協会 少年指導10ヵ条

  1. 子どもたちはあなたのモノではない。
  2. 子どもたちはサッカーに夢中だ。
  3. 子どもたちはあなたとともにサッカー人生を歩んでいる。
  4. 子どもたちから求められることはあってもあなたから求めてはいけない。
  5. あなたの欲望を子どもたちを介して満たしてはならない。
  6. アドバイスはしてもあなたの考えを押し付けてはいけない。
  7. 子どもの体を守ること。しかし子どもたちの魂まで踏み込んではいけない。
  8. コーチは子どもの心になること。しかし子どもたちに大人のサッカーをさせてはいけない。
  9. コーチが子どもたちのサッカー人生をサポートすることは大切だ。しかし、自分で考えさせることが必要だ。
  10. コーチは子どもを教え導くことはできる。しかし、勝つことが大切か否かを決めるのは子どもたち自身だ。

著者紹介

横塚 裕志 Yokotsuka Hiroshi
一橋大学卒業。1973年、東京海上火災保険入社。2007年に東京海上日動火災保険の常務取締役に就任、2009年に東京海上日動システムズ株式会社代表取締役社長就任。2014年より特定非営利活動法人CeFIL理事長となり、2016年にデジタルビジネス・イノベーションセンター(DBIC)を設立、以降代表を務める。DBICでは日本を代表するメンバー企業約30社と共に、DX促進や社会課題の解決に取り組んでいる。
  • 特定非営利活動法人CeFIL 理事長 / DBIC代表
  • 日本疾病予測研究所取締役
  • 富山大学非常勤講師

デジタルビジネス・イノベーションセンター(DBIC)が活動を続ける理由

設立エピソード

2014年、世界で起きていることを肌感覚で確かめるため、半年をかけて世界を回った。そこで感じた危機感を日本企業に正しく伝え、行動を促すための研究会を発足するために奔走。26社の名だたる企業と世界有数の大学と連携し、デジタルビジネス・イノベーションセンター(DBIC)の立ち上げとともに我々のイノベーションジャーニーが始まった。

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