【レポート】企業変革実践シリーズ第9回:「そもそもUNLOCKってなんですか?~EGB構築におけるUNLOCKジャーニーを振り返る~」

2021年4月16日(金)、DBICでは企業変革実践シリーズの第9回として「そもそもUNLOCKってなんですか?~EGB構築におけるUNLOCKジャーニーを振り返る~」をオンラインで開催しました。DBICではこれまで有識者の講演やディスカッションなどを通してUNLOCKの必要性についてお伝えしてきましたが、今回はUNLOCKのそもそもの意味について深堀していく初のイベントとして開催したものです。スピーカー3人からは約半年にわたるEGB執筆活動を通じて経験した挫折をはじめ、「(やる)べき」から「(やり)たい」という思考回路の変化、気づく力の習得で得られた自信などについて語って頂きました。

今回のイベントでは「DBIC DXエスカレーションガイドブック(EGB)」の執筆に携わった大日本印刷の吉岡あずささん、東京電力ホールディングスの松永美由紀さんに参加して頂き、 EGB執筆委員で東京電力ホールディングスの石橋雄司さんのコーディネートの下、時折、背景で山手線が走り抜けるDBIC恵比寿で開催されました。

冒頭、コーディネータの石橋さんから、今年2月にDBICから発刊されたEGBの出版の目的、EGBに記載されている内容について紹介され、いずれも険しい山登りに各章を例えて説明されました。その後のセッションでは、吉岡さん執筆の生原稿が画面上に映し出されました。修正やコメントが原稿全体に余すことなく書き加えられ、EGB執筆陣の苦労がひしひしと伝わる内容。吉岡さんからは「昨年の秋はとにかく書くことに必死でした。ご覧の通り、皆さんの添削でワード文書が真っ赤っかにされました」と苦笑交じりのやり取りなども披露されました。吉岡さんはEGB制作で、「分からないことをちゃんと吐き出すことの大切さとか、助けてって言えることが次の行動につながる」ことが理解でき、さらに物事に対してそれまで「(やる)べき」と思っていたことが「(やり)たい」と思えるように変わっていったと心境の変化を語ってくれました。

次に、「DX以前に既存の事業は大丈夫ですか?」というテーマに移行。その中で石橋さんとDBIC代表の横塚裕志との間で、いくつか意見が交換され、横塚代表からは「DXって女性の方が向いていると思う。女性の方が壁にぶつかった時に生活者視点から物事を分析できるし、大勢の前で堂々と正論が言えるから」と強調されました。

講座の中間では、DBICが取り組んでいるプログラムの「トランスパーソナル」についても触れられました。石橋さんから、このプログラムが五感を取り戻し、行動を起こそうというプログラムであることが紹介されました(下図)。その中で、プログラムを受けてUNLOCKに近づいてきた人は、思考回路が「わたしは」に変化していく。それまでは、「それが」とか、「会社が」とか、「組織が」とか、が主語になっていたと石橋さん自身の実感を元に説明されました。

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講座の途中には横塚代表から、「今回、悩んだ末に自分で書きたいと思った決定的なトリガーは?」との質問があり、それに対して、吉岡さんは、「合宿を通じて見えたことを素直に発言できたことと、やりたいこと、ありたい姿が見えてきたことがトリガーになったと思う」と回答。石橋さんからは「過去の決まり事をいったん手放して、全部精算して、未来のところから自分が何を求められているのかというのを考えた瞬間にLOCKが外れる人もいる。行動を起こしてみたら、もう1人の自分に気がついて、いままでの自分を捨てようと思う人。また、病気になって悩みに悩んだ瞬間に、考えるのが無駄だと気がつくこともある」など熱がこもったやり取りがなされました。また、EGB作成にあたって横塚代表からは、「組織をリ・デザインしたことがない人たちが組織のリ・デザインの話しを書けるはずないじゃないかと発言したのです。最初は正直期待していなかったのですが、皆さんの話しを聞いているうちに、どんどん面白そうだと感じるようになってこれは出来そうだと思えた」との感想も。

次に、「UNLOCKのための基本となる問い そこに無条件の信頼はあるか?」についてのテーマの議論になり、石橋さんからは「最近、心理的な安全性が必要だとよく言われますが、一般論として上司が持っていればよいという解説が多いけれどそれは違いますよね。私は全員で共有していなければ成り立たない」と。吉岡さんからは「心理的安全性というのも、単なる優しさとか、こう言ったら、こう思ってしまうかもとか忖度することではない。丁寧に作り上げていくもの。そこに集まった人たちで丁寧に作り上げていくべきものでしょう。意識をちゃんと合わせて努力すればできると思います」と強調していました。

EGBプロジェクトの価値については、「経営の血を入れ替え、世界と共存するためのプロセスとして、UNLOCK、UNCHAIN、TRANSFORMによる3つのステップによる変革をEGBのDXモデルとして提示」という資料をもとに議論が進められ、石橋さんは公共事業においてDXという山登りをしようとも、そもそもスタート地点にさえ立っていないことが分かったと吐露。さらに「電力事業などの旧規制産業はゴールが間違っているのではなくて、そもそもゴールが存在していない状況だと気がついた。ミッションがあるのかなと思って探しても出て来なかった」という事実を説明されました。

最後に、UNLOCKのための成熟度モデル(下図)についての意見交換が行われました。感じる力、気づく力、考える力の3つの要素をUNLOCK前とUNLOCK後で整理した図についての議論で、松永さんからは「EGB執筆活動で、観察し続ける力がついた」との感想が、そして吉岡さんからは、「時々、5感を活用しきれていないと気づける力が持てた」ことがEGB体験前の自分と違ってきたとの思いなどが紹介されました。

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その後もZoom参加者を交えた意見交換などがなされ、最後の最後に今年1月に開催された紀里谷和明監督によるDBIC新春セミナーでの一言が紹介され幕を閉じました。
その一言とは、
「正直に話せ。
言葉で終わらない行動に移せ。
美とは何かを考えろ。
考えるだけではなく感じろ。
社会の欲望ではなく自分の欲望を知れ。
自分の人生を生きろ」
です。

【スピーカーのご紹介】

吉岡あずさ 氏
DBIC DXエスカレーションガイドブック(EGB)執筆委員
大日本印刷株式会社情報イノベーション事業部価値創造推進本部

松永美由紀 氏
東京電力ホールディングス株式会社DXプロジェクト推進室

【コーディネータのご紹介】

石橋雄司 氏
DBIC DXエスカレーションガイドブック(EGB)執筆委員
東京電力ホールディングス株式会社DXプロジェクト推進室

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