【横塚裕志コラム】会社・部門・自分、どの変革が一番難しいでしょうか

10月4日、富士通のイベントで時田社長が興味深いお話しをされた。「富士通を変革する活動を進めているが、半年おきに社員の状況をサーベイしている。そのなかで、「会社・部門・自分、それぞれの変革状況がどうか」という問いの回答を見ると、会社40%、部門30%、自分20%という状況になっている。個人の変革がいかに難しいかを実感している」と。
実に深いテーマだと思うし、個人の変革が一番難しいという事実にも激しく共感する。時田社長もコメントされていたが、会社の変革はドレスコードを変えただけでも変革された感じがするので、ある意味わかりやすい。デジタル化も同様で、リモートでの業務が可能になるだけで大きく変わった感じがする。一方、個人の変革は、一人一人の心の中での考え方のシフトだから、起こしにくいし見えにくい。

さて、自分を変革するということはどういうことだろうか。私は、こう考える。会社を新しい時代でも生き残れるために変革するのと同じように、自分自身の古くなった今までの考え方を捨て去り、新しい時代を幸福に生きるための考え方に変革していくことではないだろうか。簡単に言えば、今までの常識をすべて疑ってかかり、自分が幸福に生きていくための新しい常識を自分で創っていく、ということではないだろうか。例えば、「いい大学、いい会社でいい人生」という常識から、「自分や社会の幸福とは何か」という常識への変革ということではないだろうか。

そう考えたとき、確かに今までの常識に違和感を覚える。例示として、自分の現役時代を思い返しながら、私個人の今までの常識を列挙してみる。今思えば、違和感があるものが多い。
・毎日、満員電車での通勤は当たり前
・水曜日以外は毎日遅くまで働くのが当たり前
・忙しければ、休日出勤も当たり前
・上司へのホウレンソウ、上司からの指示への服従
・上司が飲みたそうにしていれば、飲みに誘う
・転勤を命じられたら、日本や世界のどこにでも赴任するのが当たり前
・できれば、管理職に昇進して、さらに上を目指したい
・失敗やミスは許されることではない
・売り上げ目標(予算)は何としてでも必達
・業界内のライバル会社には絶対勝つ
・年初決めた経費予算は必ず守る
・中期経営計画は半年かけていいものをつくる
・部門同士の会議では、こちらの領域は守り、余計な仕事は引き受けない
・業務委託は、継続性を考え安全な企業を選択する

まだまだあるが、これらが私個人の今までの常識だ。たぶん典型的な昭和おやじの常識ではないだろうか。孫の世話をしながら、自分は子供の世話をしたことがないことに気づき反省することしきりだ。

毎日の会社生活で必死に生きるために磨いた常識は、そう簡単に捨てることはできない。しかし、理論的に考えれば、売上目標達成から社会価値創造に会社のパーパスを変革するのであれば、社員個人の常識もそれに合わせて変革しなければならないのは当たり前だ。だから、個人の変革は実は大きなテーマなのだ。
では、個人の変革は個人が時代の変化を自覚することで進むのだろうか。そう簡単なことではないことは多くの方が理解している。各社のDX(変革)事例の発表があるが、個人の変革をテーマにしたケースは見たことがない。

個人が自らを変革するためには、目指すべき新しい時代の新しい生き方を知ることが必要だ。世界の中で進んだ国や会社の人が、どのような人生観で生き、働いているのかをつぶさに見ることが必要だ。そして、その事実を自分の人生観に照らし合わせてみて、納得のいく形で取捨選択しながら少しずつ自分の変革を始めるようなステップが必要なのではないだろうか。
これこそ、「学び直し」だと思う。流行りの「リスキリング」という言葉は、転職や職種の異動を想定した技術的なスキルの学び直しをイメージしているようだが、その前に、生き方や働き方の心の「学び直し」を行い、自身を自己変革することがもっと大事なステップではないかと考える。その大事な視点を個人に依存するのではなく、企業として、政府として、組織的な活動にしていくことが日本再興には必須の取り組みと考える。

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