DXをデジタルからの切り口ではなく、トランスフォーメーションの切り口から、いくつかのパターンに分類することを試みた。その理由は、DXに関わる人材の議論がデジタル技術に偏っていると感じているからだ。DXはXの方が重要だと口では言いながら、人材育成の議論になるとデジタルばかりという世間の風潮に疑問を持っている。そこでXに焦点を当てて、DXを分類してみた。 この分類作業は、巷に出ている情報を私の個人的でかつ表面的な受け止めの中で作成しているので、正確性は疑わしい。加えて、私の意図を表現する支えとして具体的な企業名を出しているが、果たしてその企業がその分類を目的として進めているのかも確認しているわけではない。それをあらかじめお断りしたうえで、人材のあり方を考えるために、仮説として分類にチャレンジしたものだ。 この分類をざっと俯瞰したうえで、Xを実行するための人材の能力、組織の能力を考えてみてはどうか、というのが私の真意だ。あくまで人材の議論を進めるための試論だ。4パターンの分類は以下の通りだ。
Ⅰ. 企業丸ごと変身型
Ⅱ. 新規事業創出型
Ⅲ. 価値追加型
Ⅳ. 企業文化の変革
これを見ながら感じることは、DXとは企業の存続を賭けた大勝負だということだ。従って、各社の危機感や各社の企業文化によって、DXは各社ごとに大きく違ってくるものだということ。そして、デジタル技術が大きくその変革をドライブしているものではあるけれど、変革をリードするコアはビジネス戦略そのものであるということだ。従って、デジタルだけではDXは起こせないし、リードすることもできない。
この視点でDXを起こすことができる人材・組織のあり方を考えてみよう。製品・サービス・プロセスなどを大きく変革するケース、あるいは従来の組織文化を大きく変革するケースを例にとると、その変革は何十年に一度の大事業だということがわかる。従って、それを起こしリードできる人材は、今まで通りのビジネスをうまく進めることができる能力とは一線を画すまったく別枠の人材でないと難しいのではないかと推察できる。だから、世間で言う「DX人材」が、このような大変革を起こすことができる人材とは私には思えない。
DXは、10年後の生き残りを賭けた企業の真剣勝負だ。故に、会社を背負って立つ胆力を持ち、的を射た危機感を感じ、熱い生きざまで活動する指揮官が必ず必要だろう。そして、それを具体的で現実的な戦略に落とし込んでいくプロ集団、それを支える経営陣、そのセットが絶対必要だ。通常の業務ではなく大きな変革を実行できる人材・組織をどのように作っていくかが、今求められている経営ではないだろうか。
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