【横塚裕志コラム】ヒトは 脱皮しながら マインドを変え行動を変えていく

ヒトは、脱皮しながら行動を変えていく生物だと知った。もちろん、身体そのものを脱皮するわけではなく、マインドを自分の力で脱皮していくのだ。脱皮すると、自然と行動が変化していくようになり、今までとは違う人生をつくっていくことになる。そんなことを感じる瞬間だった。

脱皮のスタイルはヒトによってさまざま。
会社の論理という皮に気づき、肩にかぶさる皮を少し剥いでみるヒト。
自信がなくて、いつもネガティブに考えている自分に気づき、胸にかぶっているその皮を直に見ることで、スタートラインに立つヒト。
自分を見つめていたら、皮に隠れていた自分を見つけ、なにか肩の力が抜けていく気分というヒト。
ヒト同士がこんなに素直に心を許して語り合えることができるんだということを知り、皮を剥いでその隙間から素直に自分を出してみて感激するヒト。
顔にかぶさる皮が邪魔して、自分の視野がかなり狭くなっていることに気がつき、少し破ってみたくなったヒト。
気が許せる仲間とだったら、皮を捨てて何かができると勇気が湧いてくるヒト。
自分のための楽しさを求める自分に、脱皮したいと思うヒト。

以上は、UNLOCK QUESTを3か月体験したヒトたちが発した言葉から、私が感じたそれぞれのヒトの脱皮の表情だ。彼らの発言は、何かのお手本に沿ったものではなく、自分が思い悩んだそのままを発している言葉だ。その背伸びしない、褒められようとも思わない、素直な言葉に、「脱皮しかけている様子」をはっきり感じとれる。そして、あらためて「ヒトは、脱皮しながら行動を変えていく生物だ」と知ったのだ。
マインドの脱皮なので、外からはその状況が見えないが、そのヒトだけが感じている出来事なのだろう。でも、外からでも、その発言から脱ぎかかっていることを感じることができる。こちらまで、うれしくなってくる。コーチをしている渋谷氏も「共に成長している実感がたまらなく楽しい」とコメントしている。きっと、手伝うコーチも脱皮中のヒトも楽しいのだろう。

では、なぜ脱皮しかかることができたのだろうか。
シンガポールでCLO(チーフ・ラーニング・オフィサー)を支援する仕事をされている三井氏に教えていただいた。
「ラーニングは、世界では科学的な研究が大きく進んでいる分野だ。そのラーニング科学に基づいて、MBAを中心に多くのプログラムが開発されている。そのプログラムは大きく二つの種類がある。インプット型は、最新の情報を多く知ることで視野を広げるもの。アウトプット型は、マインドや行動を変えるためのもの。行動まで変えるためには、アウトプット型のトレーニングを受けることが必要。」
まさに、UNLOCK QUESTは、「アウトプット型」のトレーニングであり、故に、参加者が自分で脱皮し始めたのだろう。
インプット型のセミナーやカンファレンスでは、なるほど勉強になるという感じはあるが、行動を変えるまでのインパクトにはならない。自分への問いに対して自分に向き合いながら自分の素直な想いをアウトプットし、それをマンツーマンでコーチからフィードバックを受けてまた考える、というアウトプット型が、脱皮を強く促す大きなインパクトを持つようだ。

さて、QUESTプログラムを受けた方々を仮にQUESTERSと呼ぼうと思うが、QUESTERSの皆さんは、これからどうなっていくのだろうか。 私の勝手な推理を以下に2つ書こう。

① ご自身が持つ裏に隠れていた能力が、徐々に表に出ていくだろう
私は、普通の企業人は本来持つ能力をほとんど発揮していないと思う。本来の能力が、組織の文化・常識とか上司の圧力、自分が持つ忖度心などに邪魔されて、ほとんど稼働していないように見えるのだ。その能力発揮を妨げている皮を脱ぐことができるだけで、本来の能力や好奇心、五感力などが機能し始めるに違いない。だから、少しずつではあるが、本来の自分に戻ることができ、やりたいことができてきて、眠っていたエンジンが動き出すように思う。そうなると、知りたいことや学びたいことが出てきて、知識や情報を武器として手に入れるような行動に変わっていくだろう。

② もう一層の皮の存在に気づき、また脱皮するのだろう
忖度する態度がなくなり、素直に会社を見てみると、変えたくなることが見つかってしまう。人事制度だったり、組織構造だったり、商品なども変えた方がいいと思う「挑戦の心」が芽生える。しかし、それらを実際に変えることは相当難しい。行動をしても壁に当たる。そしてそこで、もう1回脱皮することを始めるだろう。その脱皮する力は、原則自分の力に頼ることになるが、心許せる仲間やコーチが背中を押してくれたり、助けてくれたりすることがあることを知っておこう。私自身の経験でも、登りたいけど登れそうにない高い壁があるとき、その壁の周りをうろうろしていると、白馬の騎士が現れたり、壁の向こうから縄梯子をぶら下げてくれる人が現れたり、壁の間に隙間があることを見つけたり、いろんなことが起こる。しかし、そういう奇跡は、「うろうろ」していないことには起きない。脱皮しようと努力すれば、何かが起こる。そんな人生になっていくと思われる。

QUESTERSの皆さんには、自分の感性に忠実に、自分の考えを大切にして、正しい仕事に挑戦してほしいと思う。それが、きっとイノベーションになると思うのだ。

参考

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