DBICメンバー企業の幹部の皆さんとデンマーク王国大使館を訪問し、大使や大使館の方から競争力1位の理由をうかがいました。 ここでは、ピーター・タクソ-イェンセン大使からのお話を書こうと思う。
1. 持続可能性への取り組みが、成長・イノベーションをドライブしている
大使が語る。
「政府・民間・アカデミアが、サステナブル、特に温暖化への取り組みで世界をリードする気概で行動している。サステナブルな国にする、という変革モチーフが、政府や企業、大学に成長やイノベーションを起こしている。そして、これが競争力の源泉になっている。国民が、政府や企業の行動を注視しており、議員の選挙でもサステナブルへの考え方を投票の判断にしている。投票率は常に80%を超えており、毎回連立する政党が変わっている。」
このお話で私が思うこと。
2.若者の批判的な問いに答えることが、イノベーションをドライブしている
大使が語る。
「企業の若手社員が、思っている疑問や問いを、ストレートに経営者に投げかける。そして、経営者がその問いに真摯に答えることでイノベーションが起きている。その問いは、サステナブルに関すること、効率性に関することだ。経営者にとって、その問いに答えることはかなりハードだが、その結果、新しい発見を促している。デンマークでは、「公平」を大事にしている。誰でも誰にでも意見が言える社会、性別に関係なく働く権利が行使できる社会構造を目指している。特に若者の意見が貴重で、それがイノベーションをドライブしている。」
このお話で私が思うこと。
以上二つの点を大使が話してくれた。 さて、競争力とは何なのだろうか。1989年から日本は1位を5年続けている。「24時間働けますか」が流行語大賞の年だ。今は、残業無し・5週間の休暇という国が、日本の生産性の1.5倍で1位を連続して取っている。 毎日同じ仕事を体力で頑張るゲームから、イノベーション・創造性で価値をつくるゲームに世界が変わってきたということだろうか。創造性は、個人が自立し、意見を自由に言い合うフラットな組織で、個人から生まれてくるものだということなのだろうか。 私たちは、1980年代の高度成長の時代の成功体験から目を覚まし、創造性・イノベーションのための企業のあり方を考え直すことから始めないとならないのではないだろうか。そのためには、頑張る成功体験を持つ年齢の高い方々は既存事業で金を稼ぎ、新しい事業やDXなどの新しい取り組みは若者に主導権を譲っていくことしかないのかもしれない。
先日、ベトナムの方が中心のコンサートに行った。指揮者39歳、ピアニスト27歳、オーケストラのメンバーもいかにも若い。演奏内容は、ベテランぞろいのオケと比べると円熟度は劣るが、一生懸命さが心に響いた。荒削りながら新しい時代を演奏している感じが心地よかった。そういうことなのではないだろうか。
【横塚裕志コラム】
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