1944年に設立され120か国以上が参加している、世界最大の人材・組織開発団体である「ATD」(The Association for Talent Development)が、「人材育成」担当者が持つべき能力を示している。以下に紹介する。
私はこれを知った瞬間、大きな衝撃を受けた。日本では、この世界標準についての報道や議論があまり行われていないと思うが、正面からこれを受け止めて、今までの人材育成活動そのものを見直す必要があるのではないかと感じた。率直な私の感覚を以下に3つ書いてみる。
1.人材育成の専門性 人的資本経営とかリスキリングとか、威勢のいい言葉が飛び交っている昨今だが、その議論に軸となる本質的な柱がないように感じている。DXだとかサステナブルだとか、何か流行りのことをつまみ食いするだけの発想になっているのではないかと感じている。 「人材育成」あるいは「企業人の学び」を、もっと科学的に分析し、効果的なトレーニングを実施することが必要なのではないかと考えているが、まさに、このATDの能力標準はその一端を顕わしている灯台のように見える。 欧米の企業では、このような専門能力を持った社員が人事部を構成して、自社の戦略を実現するための人材・能力を洗い出し、それを効果的に育成する方法を企画し、トレーニングプログラムをベンダーとコラボしてつくり、実施後の育成度を測定するという活動をしているのが一般的だと聞く。日本は、「しっかりお金かけてやってます」というようなふわっとした姿勢のままでいいのだろうか。人材育成の領域でも彼我の差は大きい。
2.専門性とは言え人間力や組織開発力も必要 「人材育成」というテーマだが、その領域の専門性だけではなく、Personal CapabilityとOrganizational Capabilityという分野の能力を必要としている。ここが、日本でのスペシャリストとイメージが違う。ATDが言うプロ人材とは、日本で言う「できるゼネラリストがある領域の専門性をも持った人材」というイメージだ。まさにこれこそ、プロフェッショナルであり、ゼネラリストやスペシャリストを超えた能力と考えるべきなんだろうと思う。
3.どこへ行って学べばいいの これらの能力を習得するための研修プログラムが日本にあるのだろうか、と不安になった。最新の「学習理論」を例にしても、教えている機関が日本にはないのではないだろうか。どうするのだろうか。
DBICは、これに立ち向かうことを理事会で決めた。メンバー企業と一緒にトライしながら、新しい学び・人材育成を探しに行く挑戦を始める。
他のDBIC活動
他のDBICコラム
他のDBICケーススタディ
一覧へ戻る
一覧へ戻る
一覧へ戻る