【横塚裕志コラム】社外の友人が 勇気をくれる

1.利害関係がない社外の方とは安心して話せる

友人には、勤めている同じ会社の友人と別の会社の友人と二つのグループがある。私の経験では、社外の友人から多くの示唆をいただいたり、勇気をもらったりしたという記憶が強い。
同じ会社同士だと、どこかライバルであったり、組織の縄張り感などの利害関係があったりして、芯から率直に話し合うことができない宿命にあるように思う。特に、会社の問題・課題をあからさまに語り合うようなことは難しい雰囲気がある。共感する前に、どこの組織の責任かということがどうしても頭をよぎり、素直な対話が難しい。

それに比較すると、社外の方とは自由に安全に話ができる。もちろん、こちらが素直にすべてを正直に話そうという姿勢を持つことが前提だが、そういう姿勢をとると、多くの方と正直に対話していただける。ライバルでもないし、何か脅かされる危険性もないので安心だ。「議論」ではなく「対話」ができる。この安全な対話が、自分の中の眠っている何かを呼び起こす力があるように思う。

2.具体的な体験

DBICで、「質問会議」という方式の「対話」を実験したことがあった。私が実験台になって、私が悩みを語り、それに対して、様々な会社の方10人が順に私に質問し、私が回答していくというスタイルだ。あくまで10人は「質問」するだけで、こうしてはどうかとかこんな手もあるよとかというアドバイスはご法度というルールだ。 私がまず悩みを話す。

「DBICでセミナーを企画するのだが、集客がままならない。
いいトピックだと思うのだが、皆さん忙しいようでいつも苦労する。
どうしたらいいだろうか。」

10人が順に質問して私が答える。

「なぜ、セミナーを企画するのですか」
「なぜ、一定の人数を集めないといけないのですか」
「集客が少ないと何が問題なのですか」
「人が集まらない理由を分析していますか」

という感じだ。

私はこのとき、質問に答えながら今までにない深いレベルでセミナーの本質を考えさせられた。そしてこのやり取りは鮮烈な記憶として今でも残っている。
「集客することが目的ではないよな。俺は、本来、何をやりたかったのだろうか。」という本質的な問いに対峙することになり、DBIC設立の起源に立ち返ることができた。凄い経験だった。

このような鮮烈な体験でなくても、社外の友人と「対話」していると、いろいろなことが起きる。私の体験では、こんなことがよくある。

  • 話しているうちに、自分の考えが整理されていく
  • 話しているうちに、思ってもみなかったことが湧いてくる
  • 相手の話に刺激を受けて、自分もそうしてみようかなと思い始める
  • 今まで知らなかったことに気づく
  • それがそういうことなら、自分の課題はこうしたらいいのかな、と思いつく
  • 相手の考えと私の想いを足すと、新しいアイデアが生まれてくる

こんなこともあった。

  • キリンビールのビジネス担当の常務と話していたら、IT企画部長としてやるべきことがはっきりイメージできた
  • 韓国からきている廉さんと話していると、自分も日本のために少しだけでも貢献しなくてはとの使命感が湧いてくる
  • 西野さんとおいしい日本酒を飲んでいたら、DBICを一緒に作ろうというアイデアと二人ならできるという勇気が生まれた

3.社外の方との対話が創造性を育む

社外の友人と話すことは、脳のいろいろなところが自然に刺激されるようで、新しいアイデアを思いついたり、本質的な課題にたどり着くことがある。結果として、社外の方とのつながりが人生にとっての転機になることが少なくない。 この効果をうまく使って、DXの中心をなすテーマを探究するとか、本質的な企業の課題を突き詰めていくことができないだろうか。
30代、40代の方には、ぜひ、率直に話せる社外の友人を持つことをお勧めする。「対話」を通じて、前へ進む勇気をいただくこと間違いない。

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