ある企業グループのシステム会社が「アジャイルチーム」をつくり、そこに属するプロたちが、その企業グループの企業文化を「プロダクトアウト」から「顧客ファースト」に変えようとする活動をしている。その奮闘ぶりをレポートする。
商品やサービスを開発するときに、伝統的な企業が古くから採用してきたモデルは、企業として作りたい製品を開発し、市場に販売するという「プロダクトアウト」という考え方だ。しかし、モノがあふれお客様が商品を選ぶ時代では、顧客にとっての価値をつくるという考え方「顧客ファースト」でビジネスをしなければ成功しないというのは世界の常識になっている。このモデルは、まさにイノベーションの神様であるクレイトン・クリステンセンが言う「Jobs to Be Done」と同じ趣旨だ。そして、このモデルを具体的に実現する方法論が「アジャイル開発」という「仮説・検証」型のプロセスだ。
この「プロダクトアウト」は企業の歴史を長年にわたってつくってきた根幹の企業文化なので、それを変えようとすることは並大抵のことではできない。そこで、この「アジャイルチーム」は、ビジネス部門が新規の商品やサービスを開発するとき、また、お客様とのプロセス改革を行うときには、「アジャイル開発」というプロセスを実践し、「顧客ファースト」と「仮説・検証」を体感する取り組みを行っている。「アジャイル開発」の体感を梃にして、ビジネス開発自体を「プロダクトアウト」から「顧客ファースト」に変えていきたいとの熱い想いだ。
「顧客ファースト」は思想とか文化なので、それを経営陣、ビジネスオーナーが理解する必要がる。そこで、「アジャイル」のプロが全員に説明している。
年初に、アジャイルチームの一定の開発工数と一定の委託費予算を確保し、その範囲の中で1年間、多くのオーナー部門との共同開発を行っている。新商品もあれば、顧客とのデジタルプロセスもあるようだ。
(1)ビジネスオーナー
(2)社長・役員
現実の課題は多いようだが、「顧客ファースト」への変革の切り札は「アジャイル」マインドセットを文化として根付かせるしかないと考える。企業文化の変革は、スポーツに例えるなら、野球に慣れ親しんだチームをサッカーに切り替えるようなもの。時間と労力はかかるが絶対に必要なこと。山が大きく動き出す時期がきっとくる。役員の一人が、命がけでこれを駆動し始めたら、一気に動き出すことだってありうる。 頑張って続けてほしい。心から応援している。
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