【横塚裕志コラム】イノベーション(DX)の内容を「構想」する アジャイルチーム

前回のコラムで、イノベーションを起こすためにはその動機となる「トリガー」を発見することで初めて着手できると書いた。今回は、そのトリガー、例えば、血液サラサラの会社にしたい、とか、おいしい日本酒を造りたい、とかというトリガーを基に、その内容を構想していくためにはどうしたらいいかを書こうと思う。

イノベーションを具体的に「構想」していくためには、「構想」のスタートから、ビジネス部門をリーダーとしてデジタル担当も入れたチームを組成し、アジャイル方式で活動することが一番の早道だと思う。その理由が以下の通り。

1.多くの大企業で、本質的なDXが構想できていないのはなぜか

その理由を考えてみると、以下のことがありそうだ。

  1. お客様の課題、企業の本質的な問題を見つけることができない
  2. 個別の事業部門だけでの検討で、小さな効率化にとどまっている
  3. AI、データなどの技術が先行して、真の問題が見えない
  4. 会社・組織の成功体験や常識という呪縛から抜けられない

2.上記の課題への対応策

  1. 事業部門から切り離した、コーポレート機能として全体最適を検討する
  2. 戦略のプロ人材、お客様を感じるプロ人材、ビジネスプロセスの課題を見抜くプロ人材、最新技術を知るデジタル人材、などを確保したチームを構成する
  3. トリガーを引いた役員を交え、全員フラットな関係で対話を繰り返し、ステークホルダーからのフィードバックを受け止めながら、構想を磨き上げていくアジャイル方式が最適

3.アジャイル方式が適切な理由

アジャイルは、システム開発のプロセスとして使われているケースが多いが、ビジネス変革の「構想段階」から使うことが効果的だ。
その理由は以下の通り。

  1. アジャイル方式とは、可視化したアイデア案をお客さまやステークホルダーと対話しながら、繰り返し、改善していくプロセスだから
  2. 専門人材が集まり、フラットに対話するプロセスだから
  3. 特に、デジタルは案ができてから受託するものではなく、構想をつくるうえでの必須の要素だから、最初から対話のなかにデジタル担当を入れておく

4.構想チームでは、ビジネスアナリシス担当とデジタル担当を必ず配置する

  1. ビジネスアナリシス担当
    • 鳥の目でビジネスや産業全体を俯瞰して、価値を分析
    • 虫の目でお客様の課題を観察し、深堀し、肌で感じる
    • 過去の常識やルールにとらわれないで、正しさを追い求める
  2. デジタル担当
    • SEが持つ論理的な思考能力でアイデアを論理的に構想していく
    • 最新の技術をどのように応用するかのアイデアを考える
    • 自社の情報システムを概略知っており、実現可能性を推測できる

5.活躍できるデジタル担当

デジタルがキーとなるので、「やもり」なデジタル担当をチームに入れることがポイントだ。「やもり」とは、「やってみましょう」「もっとこうしませんか」「リーズナブルに考えましょう」と言える人だ。
くれぐれも、「むかで」の人は遠慮願おう。「むかで」とは「むりです」「かんべんしてください」「できません」という人だ。

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