「学びへの投資が不足していると言われるが、人事部が多くの研修を行っているし、資格取得の奨励金も出している。これ以上、何を学べと言うのか。」 「MBAに通ったり、資格を取得したところで、売上を増やす力になるのかわからない。勉強している時間があったら客先を回る方がいい。」 などなど、毎日忙しくしている企業人には「学び」は縁遠いようだ。このままでいいのだろうか。
私の意見は以下の通り。
日本企業の社員一人当たりの生産性は欧米に比較するとかなり低い。例えば、一人当たりGDPのOECDの中での順位はかなり低い。そしてそれに比例して給料も安い。 なぜ、低いのか、高めるためには何をすべきなのか、を「学ぶ」必要がある。 この30年、日本だけ上がっていないのだから。
上記の違いは体系的に整理されたものではないが、欧米と日本の経営方式が大きく異なっていることを示唆している。日本企業の経営方式が、この30年で欧米の企業の経営方式と大きく違った道を歩んでおり、日本企業独特の方式になっているように見える。というか、日本企業が昭和のままで固まっているうちに、欧米は大きく進化してしまっているようだ。 この大きく進化したであろう欧米の経営方式をあらためて「学び」、日本企業に取り込んでいかなくてならないと思う。それが、生産性の向上につながる早道ではないかと思う。少なくとも、生産性の大きな違いを放置しておいて、「学ぶことがない」とするのはあまりにも無責任だろう。
何が違うのかを明確に私が説明することはできない。私もわかっていない。ただ、違いを感じていることはいくつかある。 例えば、「マネジメント」だ。「マネジメント」とは、業務を小さなタスクに分解し、スケジュールし、状況を可視化して、全員で共有化する。滞っているタスクがあれば誰かがカバーし助け合う。そしてその業務プロセスは常に組織的に改善を続け、誰が担当しても効率的に進む。日本の「管理」とは似てなくて全く非なるものだ。
このように本質的に日本と違う経営が欧米では行われていると推測できるので、その本質を学びに行く必要があると思うのだ。欧米では既に30年続いている方式だから、これをあえて体系立てて教えている機関はない。従って、実際の企業に行って肌で学ぶ作業を一定期間しなければ理解できないだろう。MBAに行けば一式教えてくれるというおいしい話はない。
誰かが助けてくれることはないだろう。そして、短期間に学びが終了することもないだろう。また、学んだだけでは意味がなく、自社で新方式を実践することがなければ学びにならない。学びたいとする強い意志がある企業が集まって、長期的な本格的な仕掛けを摸索するのだろうか。
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