前回のコラムでは、デジタルメニューをテーマにして、それが「顧客起点デジタル」になっているかを考えてみた。結論は、その企業が実現したい顧客の価値を定義したうえで、その価値を実行するシステムになっていれば、「顧客起点デジタル」になるし、違う方向になっていると「企業論理デジタル」になってしまう、ということ。つまり、ゆっくりメニュー見ながらスタッフの方と会話しながら食事を楽しむ、ということを価値とするお店なら、デジタルメニューはやめた方がいい、という結論だった。 加えて、デジタルメニューをどのように導入するかを考える際、お店の経営者とSEだけでは広い視野での検討ができないので、第3者であるビジネスアナリスト(BA)が両方の意見を聞きながらあるべきシステムを見定めることが重要だということもよく分かった。
デジタルメニューは、従業員の採用が難しいという状況だけで導入を進めてしまうと、逆にそのお店の価値を失いかねない。デジタルメニューを顧客がどのように感じるのかを考えることを忘れがちになる。これと同様に、顧客の視点が「盲点」となるデジタル化ケースが多い。その盲点を以下に挙げてみる。
発注するビジネス部門と、受注するIT部門という二つの役割だけでは、お互いに盲点があって、「顧客起点デジタル」が実現できない構造になっていることに気がつかなくてはならない。それぞれがさぼっているわけではなく、構造上、もう一つの第3者の機能が不足しているのだ。それがビジネスアナリスト(BA)の役割だ。
BAは、「旅行代理店」のような存在と考えてみるのはいかがだろうか。旅行をするのはお客様で、旅行代理店はその支援するという構図だ。旅行をしたい人は、必ずしも旅慣れているわけではないので、何処に行くといいのか、切符購入はどうやればいいのか、現地で注意すべきことは何か等を、誰かに教えてもらいたいと思っている。それが、BAだ。ビジネス部門といいながらも、顧客起点にするにはどうしたらいいかを具体的に学んでいるわけでもなく、BAに教えてもらいながら意思決定していくプロセスが必要だ。
デジタル化は、3つの役割が協働することで初めて、効果がある内容につくり上げることができるのだ。ビジネス・BA・ITの3つの役割が必須なのだ。日本は、なぜか、ビジネス・ITの2つの役割しか認識していないから、効果があるものができていない。なんとしても、この3点セットを日本に定着させないといけない。欧米では、200万人のBAがいるのだから。
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