前回のコラムで、「デジタル化は、3つの役割が協働することで初めて、効果がある内容につくり上げることができる。ビジネス・BA・ITの3つの役割が必須なのだ。日本は、なぜか、ビジネス・ITの2つの役割しか認識していないから、効果があるものができていない。なんとしても、この3点セットを日本に定着させないといけない。欧米では、200万人のBAがいるのだから。」と書いた。
Ⅰ.なぜ、BAの役割が日本企業で認知されていないのだろうか
それを、生成AI(パープレ)に聞いてみた。その回答が以下の通りだ。
日本でビジネスアナリスト(BA)が定着しない理由には、いくつかの要因があります。
1.歴史的背景
1980年代から1990年代にかけて、欧米企業がIT投資を積極的に行う中、日本は「失われた20年」と呼ばれる長期的な経済停滞期に入りました。この期間中、多くの日本企業はIT投資を削減せざるを得ず、新しい職種や専門性を導入する余裕がありませんでした。
2.日本企業の特徴
- ITベンダーへの依存
日本企業のIT導入は、多くの場合ITベンダーに依存しています。このため、自社でイニシアチブを取ってビジネスプロセスを分析し、改善する文化が育ちにくい状況にあります。
- 「強い現場」の神話
日本には「強い現場」という考え方があり、管理職と現場が一体となって業務を改善する「カイゼン」文化が根付いています。このため、外部からプロセスを分析する「アナリスト」という役割に対して拒否感が生まれやすい傾向があります。
- 経営陣のIT理解不足
多くの日本企業の経営陣がITに対する理解が不足しているという指摘もあります。このため、ビジネスとITを橋渡しするBAの重要性が認識されにくい状況にあります。
3.構造的な問題
- 人材配置の偏り
日本のICT人材の所属先企業の比率は、ユーザー企業:ベンダー企業=3:7となっており、米国と比較してユーザー企業側のICT人材が少ない状況です。このため、ユーザー企業内でBAの役割を担う人材が不足しています。
- 情報システム部門の負担
多くの日本企業の情報システム部門は、既存システムの運用管理やプロジェクト管理に追われており、新たにBAの役割を担う余裕がない状況にあります。
4.今後の展望
日本企業がデジタル変革(DX)を推進し、グローバル競争力を高めるためには、ビジネスアナリシスの重要性を認識し、BAの育成と活用を進めていく必要があります。そのためには、以下のような取り組みが求められます:
- ビジネスアナリシスの知識体系(BABOK)の普及と学習促進
- IT部門とビジネス部門の連携強化
- 経営層のIT理解向上とBA育成への投資
- ユーザー企業におけるICT人材の増強
これらの取り組みを通じて、日本企業がビジネスとITを効果的に結びつけ、生産性向上と競争力強化を実現することが期待されます。
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以上が、生成AIの回答だ。今後の展望を提案しているが、2、3、4の項目は、経営幹部が経営課題として社内にBAの存在を明確に定義する必要性を訴えている。まさに、私も第一義的には、経営の大きな課題として取り組むべきと考える。
Ⅱ.CIOはBAの定着に向けて、責任を持って行動を始めるべきではないか(私見)
1.組織的取り組み
- IT部門の役割再定義
IT部門を「システム開発センター」から「顧客起点デジタル推進センター」へと転換し、BAがビジネス部門とSEの間に入って、顧客起点のデジタル化の視点で企画内容をブラッシュアップする業務を明確に認知・定義してはどうか。
- ビジネスアナリスト職の設置
シニアなSEで、実質的にBAの役割を行動している人がいるはずで、そういう人たちを、ビジネスアナリスト職として正式に定義し、デジタル化の工程に明確に組み込むことを決める。
2.スキル開発
- BAというプロ人材を人事制度として確立
ビジネスアナリストの専門性を認定する人事制度を確立し、役割とスキルの可視化と向上を図る。ゼネラリスト全盛の日本独自文化のなかに、一つのチャレンジとしてプロ人材制度を導入し、プロ人材の存在の重要性をIT部門から発信する。
- 実践的なトレーニングプログラムの提供
外部の力も借りながら、ケーススタディやワークショップを通じた実践的なビジネスアナリシススキルを習得できるプログラムを開発する。1人前になるには、数年をかけて育成するという長期プランで取り組む。